サスペンスのような物語にのせて、人の心のなかに住む鬼や畜生そして人間や仏の姿が表現されて、自身を見つめさせられる。 志村喬と千秋実が、誤解を乗り越え、互いを認め合い、人の心のなかの「仏」と出会い、互いに拝みあうようにして別れる秀逸のラストシーンに、人の世を生きる希望を見出す。 秀逸な人間ドラマである。