ドナルド・キーンの大著である「明治天皇」を読了した。
記録にもとづく誕生前から崩御にいたるまでの国内外の情勢の変化、時代の動きを明治天皇とその周辺という視座から概観することができた。
心に重い何かを残してくれた著作だった。
明治天皇は1904年に、ロシアの「武力による現状変更」から日本を守るための対ロシアとの開戦に踏み切らざるをえなかった年に、
四方の海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ
と詠まれて平和的解決へのお気持ちを表された。
昭和の戦争を諮る御前会議の席で、昭和天皇はこの御製を詠じ、開戦反対のお気持ちをあらわされたという。