座安氏は昭和二十五年五月に東京に出て、『鉄の暴風』の出版を朝日新聞に依頼するとともに、同月二日、米極東軍司令官マッカーサー元帥との会見に成功するのである。座安氏は、自分が見たマッカーサーの素顔を次のような雑感記事にまとめている。
「あたかも遠方の不遇な息子の安否を気づかう慈父のような態度に一行はすっかり気をよくして歯に衣を着せないで実情を訴えた。記者が『終戦以来太平洋の悲劇は沖縄人だけで背負った形で前途頗(すこぶ)る悲観していた、今日ではゼネラルシーツの赴任によって希望をとり戻し明るく復興にまい進している、この際元帥のメッセージを』と云えば『君は僕と話しているから、それを書けば一片の紙切れにすぎないメッセージなど、どうでもよいではないか』と軽く打込んで一本参らすなど、すっかり父親の意地悪にベソをかかされた形で、いよいよ思い切り甘えてみたくなった」
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http://www.worldtimes.co.jp/special2/okinawasen/shidoku/okinawajiketu.htm