財務省が発表しました2012年の貿易統計よりますと、12年の輸出額は63兆7446億円、輸入額は70兆6720億円で、貿易収支は6兆9273億円の赤字となっています。これは2年連続の赤字となります。
この赤字の最大の理由は火力発電向け燃料輸入の増加に加え、日本企業の生産拠点を海外に移しつつあることもあり、日本経済は今や半導体部品や繊維製品、家電製品等、海外生産に依存しており、輸出主導型経済ではなく、輸入主導型経済に変わってきているのです。
そこに、円安が襲ってきたら、どうなるでしょうか?総輸入代金が膨れ上がるだけです。
(暦年) (輸出) (輸入) (国債及び借入金現在高)3月末
2002年 52兆1089億円 42兆2275億円 607兆3122億円
2003年 54兆5483億円 44兆3620億円 668兆7605億円
2004年 61兆1699億円 49兆2166億円 703兆1478億円
2005年 65兆6565億円 56兆9493億円 781兆5517億円
2006年 75兆2461億円 67兆3442億円 827兆4805億円
2007年 83兆9314億円 73兆1359億円 834兆3786億円
2008年 81兆0180億円 78兆9547億円 849兆2396億円
2009年 54兆1706億円 51兆4993億円 846兆4970億円
2010年 67兆3996億円 60兆7649億円 882兆9235億円
2011年 65兆5464億円 68兆1111億円 924兆3596億円
2012年 63兆7446億円 70兆6720億円 959兆9503億円
2013年 (見込み)1085兆5000億円
日本の輸出は2007年にピークを迎え、現在はピークから20兆円余り減少していることが分かります。また輸入は2008年の78.9兆円がピークで、今が70.6兆円ですからピークから8兆円余りしか減っていません。更に、前年と比べますと、輸出が65.5兆円から63.7兆円へ1.8兆円減少している中、輸入は2.5兆円増加しているのです。
今、日本に求められていますのは円安ではなく、円高なのです。円安で喜ぶのは自動車産業位なもので、輸入国になりつつある日本に円安が襲えば、輸入物価が跳ね上がり、大方の企業や国民の負担が増え、業績の悪化や生活苦に陥ります。
円安で日本経済復活と言われますが、日本経済が悪化してきたのは、円高だけが理由ではありません。
円高はその一つの要因ですが、何より日本の輸出が減少していることにあります。いくら円安になっても、輸出が減少していけば、企業は増益どころか、円安で輸入物価が上がり減益ないしは赤字に転落します。
25日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、日本銀行の追加緩和観測などから円売りが加速し、一時、1ドル=91円20銭の円安・ドル高となっていますが、円安は一面、対外的には日本のGDPを小さく見せることになり、国際社会で一層日本の地位の低下を招きかねません。
現在世界のGDPの1位は北米15兆75億ドル、2位:中国7兆298億ドル、そして4位:ドイツ3兆607億ドルとなっています。
日本のGDP490兆円は1ドル80円なら6兆1250億ドルになりますが、1ドル100円であればドルベースで4兆9000億ドル余りになり、一気に1兆2250億ドルも減少してしまいます。
以前の一ドル120円に戻れば4兆830億ドル余りになり、80円時に比べなんと2兆ドルも日本経済が縮小することになります。それだけ日本の地位が「堕ちる」と言う事ですが、2兆ドルと云いますとイタリア・ロシアのGDPに相当するぐらいの金額に匹敵します。
また、日本の場合、所得収支の黒字が年間10兆円超に上り、貿易赤字になっても、すぐに経常収支が赤字になるわけではありませんが、貿易赤字が巨大化し、慢性化していけば、経常収支が赤字に転じることは間違いありません。2012年の貿易赤字は11年の2.7倍に膨らみ、12年の経常収支の黒字幅は大幅に圧縮されることになります。経常収支が赤字に転じることになりますと、大量発行が続く国債を消化するためには海外の資金に頼らなければならなくなる事態になります。
2002年の小泉内閣の時には607.3兆円あった国債及び借入金現在高が増え続け8代目の現安倍内閣で1085.5兆円(2013年3月)と478兆円近く増加することになります。
今後、輸出が減る中で、輸入が増加しそして貿易赤字が資本収支を上回る金額になれば、当然経常収支は赤字になります。今回の安倍内閣の積極財政で、財政赤字は避けられません。貿易赤字・財政赤字・経常赤字の「三つ子の赤字」に陥ることになり、日本国債が暴落の危険性が膨らんできます。
日本が財政破綻となれば一ドル1000円~2000円も考えられ、そうなれば日本のGDP規模は海外から見れば途上国並みになり誰も相手にしてくれなくなります。仮に現在のGDPで一ドル1000円としますと4,900億ドルとなり、24位のノルウエー、25位のイラン並みになってしまいます。
日本にとり安倍政権は救世主になるのでしょうか、はたまた日本を最終破壊に追い込むことになるのでしょうか。
答えはそれほどかからないような気がするのですが・・・・・?