正吼の日記

日々の何気無い事を綴って行きますのでよろしくお願いします。

扇子 Part2

2011年03月02日 23時19分01秒 | 舞踊
 今回も、「扇子」を2回に渡ってお届けします。

 

 「扇子」の歴史は、とても古いもの。

 始まりは、平安時代初期、筆記用具の代わりに使われていました。

「筆記用具?」と疑問に思う方も多いと思いますが、実は、木簡(もっかん)という、長さ30セン

チ位の木の札に文字を記したものが、「扇子」の始まりとされているのです。

木簡は、記録をするために使われていたので、何枚も綴じ合わせる必要があったのです。

ひとつに綴じておけば、バラバラになりませんよね。

これがヒントになり、最初の扇「桧扇(ひおうぎ)」が生まれました。

十二単を羽織られた時に持つ「扇子」が、「桧扇」、という訳です。

今、日本に存在する最古の「扇子」は、西暦877年と記された京都東寺の千手観音像の腕の中か

ら発見されたものです。(昭和35年に発見されました。)

その後、松竹梅や鶴亀など、おめでたい柄が描かれるようになりましたが、「涼」をとるために用い

られたのではなく、あくまでも美しい姫君の美しさを引き立てるものとして使われていたのです。

(暑いから扇ぎたいと思っていても、重くて扇げなかったというのが本音のようですが・・・?)
  その次に登場してくる「扇子」は、「蝙蝠扇(かわほりせん)」です。

この名は、広げた形がコウモリ(蝙蝠)に似ている事から付きました。

紙で作られた「扇子」の登場です。

この当時の「扇子」は、片面だけに紙が張られたもので、使用が許されていたのは、朝廷・貴族の

遊芸用・僧侶・神職の儀式用だけでした。

一般庶民は、許されなかったのです。

 時代は変わり、鎌倉時代には、中国に「扇子」が渡り、室町時代には、「唐扇(とうせん)」として、

 日本に逆輸入されました。

「唐扇」は、日本で今まで作られていた片面だけに紙が張られた「扇子」ではなく、両面に紙が張

られたものでした。

これが、現在の「扇子」となって受け継がれています。

室町時代には、庶民にも使用が許可され、また、武家文化の影響で、能・演劇・茶道などにも取り

入れられるようになりました。

昭和35年頃から普及した「扇風機」が登場するまで、「扇子」は、蒸し暑い夏の「涼」をとるのに

かかせないものだったのです。

今でも、バックに忍ばせ、持ち歩けて、暑ければ、開いて扇げる、となんとも便利な「扇子」。

身だしなみのひとつとして、夏らしく涼しさを演出してみてはいかがですか?

描かれている絵も個性のひとつ。

次回は「扇子を扇いではいけないの?」
扇ぐための「扇子」が扇げない?
何故・・・