科博SCA会員のエッセイ,第2弾をお届けします。
吉田さんは,このエッセイの他にも,「sorae(そらえ)」というサイトで天文に関する解説を書かれています。こちらから吉田さんの書かれた解説がまとめて読めます)。
よろしければこちらもご覧ください。
見上げてごらん、夜の星を!
空の晴れた夜、たまには星を見上げてみよう。いろいろな明るさや色のちがう星(恒星)が輝いている。まず明るさに注目してみると、あの明るい星は一等星、こっちに見えるのは三等星くらいかなと思う。次に色。星はどれも青白く輝いているように見えるが、目をこらしてよく見てみると、少し黄色っぽい星や赤っぽい星があることに気がつく。実は星の明るさと色のちがいから、星の一生がわかってくる。
どんなに明るい電灯でも遠くにあればかすかな光になってしまうように、星の本当の明るさも星までの距離がわからなければ比べることができない。星を決まった距離において比べたとき、その明るさのことを「絶対等級」という。また、なぜ星に色のちがいがあるのか昔の人はわからなかった。でも今では、色のちがいは星の表面温度のちがいを表わしていることがわかっている。これを星の「スペクトル型」という。
「絶対等級」を縦軸(上が明るい)に「スペクトル型」を横軸(右が低温)にして星をプロット(配置)したグラフを作ると、星の特徴が詳しくわかるのではないかと考えた二人の天文学者がいた。二人は別々に考えついたのだが、二人の頭文字をとってこのグラフは「HR図」と呼ばれている。「HR図」を見てみると、星はいくつかのグループ(エリア)に分かれていることに気がつく。それぞれのグループは、人間に例えれば子ども、大人、老人などの年代を表わしている。人の一生に比べて星の一生はあまりにも長いので、星の一生などわかりそうにないと思いがちだが、このグラフによって星の誕生から死までの様子がわかるようになってきた。
「HR図」は国立科学博物館の地球館でも解説されているので見てほしい。そしてあらためて星を見上げてみよう。あの星はいま何歳なのかなと思うと、時間と空間を飛び越えた不思議な気持ちにならないだろうか。
(SC1期 吉田 哲郎)