科博SCA サイエンスライティング分科会 (科博SCA-SW)

国立科学博物館サイエンスコミュニケータ・アソシエーション(科博SCA)サイエンスライティング分科会のブログです。

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そこにキラリと光るもの[エッセイ]

2020-03-18 12:06:14 | エッセイ

 科博SC講座ではサイエンスライティングについても学びます。
 こちらのブログでは,講座でライティングを学んだSCA会員の手になるエッセイなどもご紹介していきたいと思います。
 サイエンスコミュニケータの視点をお楽しみください。


 

そこにキラリと光るもの

 薄明るい部屋の中央にできた人だかりの陰に、何かがキラッと光った。その一瞬の輝きに目を奪われ、思わず足を止める。部屋の入り口でじっと宙を見つめるのは、黒人のガードマン。ささやかな緊張感の中、光の正体の方へと歩を進める。心なしか、少し鼓動が高まる。

 現れたのは、大きなブルーダイヤモンドのペンダントだった。ホープダイヤモンドと名付けられたこの宝石は、頑丈なガラスケースの中でまばゆいばかりの光を放っている。なんと、45.52カラットもあるそうだ。こんな宝石を身につけるのは、一体どんなお姫様だろう……なんて、つい妄想にふける。

 しかし、と我に返る。ここは宝石店でも大富豪の家でもない。訪れたのは、ワシントンD.C.にある国立自然史博物館。Harry Winstonから寄贈されたこの美しい宝石も、実は立派な科学の展示品――と改めて宝石に向き合う。

 そもそも、なぜ宝石がここに……? 実は、ブルーダイヤは科学的にも大きな魅力を秘めるのだ。

 ダイヤモンドは炭素からできる。鉛筆の芯と原料が同じとは、わかっていても不思議だ。そして、ダイヤモンドにふつう色はないが、この宝石はブルーダイヤ、つまり青色なのも興味深い。鉱物の色は微量な不純物の種類によって決まることが多いのだが、この青はホウ素に由来するそうだ。さらには紫外線を当てると、今度は赤い光を発するらしい。ただ、今のところその理由は分かっていないとか…。

 少々釈然としない思いでもう一度青の光を見つめる。神秘的だった。そして、ふと気づく。きっと、科学を解説するだけが博物館じゃない。それは、いまだ解明されぬ謎への好奇心を掻き立てる場所でもあるのだ、と。なかには、宝石を一瞥しただけで、キレイだねと通り過ぎる人もいるかもしれない。だが、その奥にキラリと光るサイエンスに思いを馳せた時、私にはその青色が一層深く、美しく感じられるように思う。

 一抹の名残惜しさを覚えながら青の光を目に焼き付け、踵を返した。

 

* ホープダイヤモンド at スミソニアン博物館(英語サイト)https://www.si.edu/spotlight/hope-diamond

(SCA 14期 若林 里咲)

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SW分科会,再始動します!

2019-09-21 16:46:30 | 開催予告

以前の投稿から相当な時間がたってしまいました……

前回投稿したサイエンス・ライティング・トライアルでご応募いただいたエッセイの1つは,その後無事科博SCA広報誌「サイエンスコミュニケータだより」第5号に掲載されました。

あれからン年……。現在,2019年・秋です。

このたび,広報誌のリニューアル予定に合わせて,SCA会員からエッセイを募集し,掲載していく計画が決まりました。
SW分科会も協力の上,ライティングの練習・実践の場にできればと考えております。

会員のみなさまには詳しい募集要項をお知らせしています。
ご応募いただいたエッセイは広報誌のほか,こちらの方でもご紹介していく予定です。

どうぞお楽しみに! 

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第1回サイエンス・ライティング・トライアル(SWT)

2017-04-29 21:53:48 | 実施報告

 前回のイベントからだいぶ間が空いてしまいましたが,2016年度末から2017年度はじめにかけて,第1回サイエンス・ライティング・トライアル(SWT)を実施しました。
 2015年8月に開催したサイエンスライティング研究会でも,上達の秘訣として「読んで読んで読みまくれ,書いて書いて書きまくれ」と言われていましたので,継続的に「実際に書いてひとに見てもらう」ことのできる実践的練習の場を作ろうと始めた試みです。

 特定の日時に特定の場所に集合するのでなく,オンラインで作品を投稿・閲覧(パスワードつきページでの限定公開)するスタイルをとりました。また,特定の人に負荷をかけることなく継続的に「ひとに見てもらう」を実現するために,相互コメント制としました。作品投稿者には最低1件,他の方の作品へのコメントをお願いしています。

 今回は2月末から3月末にかけて作品を募集しました。短い募集期間ではありましたが,3点の作品が投稿されました。
 内容の科学的正しさなどの確認にまで手がまわらないため,科博SCA会員内のみでの閲覧となっていますが,作品の1つは手直しを経て科博SCA広報誌に掲載される予定です。

 せっかくですので,今後も作品の一部は広報誌や何らかの形で公開できればと思っております。

***1702 第1回SWT 概要***
【作品募集要項】
[テーマ]:科博の中のお気に入り展示とその見方
[想定読者]:科博来館者(≒科博広報誌読者)
[字数等]:本文600字前後 + 関連画像1点(あれば)。タイトルもつけてください。

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サイエンスライティング研究会(共催)を開催しました

2015-11-25 22:11:09 | 実施報告

 2015年8月30日,東京・茗荷谷にて,サイエンスライティング研究会を開催しました。

 小説,ノンフィクションなど,エンターテイメントとしてのサイエンスライティングの第一線でご活躍中の瀬名秀明さんと植木不等式さんをお招きして,作品を書く際の心がけや工夫についてお話しいただきました。また,渡辺政隆さんにはサイエンスライティングを研究する立場から解説をいただきました。

 

 瀬名さんは,これまでのお仕事(小説,ノンフィクション,書評など)についてご紹介くださったあと,フィクション作家の立場からという企画者のお願いに沿ってお話しくださいました。

 例に挙げられたのは,現在連載進行中の『生まれかけの贈りもの』です。再生医療を題材としたこの作品は,書くにあたって取材の過程でいろいろと思うところがあり,主役になりそうな人(たとえば幹細胞の研究者)の周囲で頑張る,あまり主役にならない人たち(薬剤師,理学療法士,などなど)を描きたいと思ったそうです。

 後半には,SFの中で未来を描く手段についてのお話がありました。よくある方法の1つは,現時点のサイエンスから考えて,ありそうな未来を描くことです。そしてもう1つは,絶対にありえない物理法則を使うなど,ナンセンスを狙うこと。瀬名さんは,もう1つ,これらとは違うやり方を指摘しました。それは,現在のサイエンスを踏まえて,科学者が考えたこともないような未来を描くことです。この方法は,ほかの2つの方法と違って科学者から批判される可能性がありますが,瀬名さんは,こういうやり方をする人がいてもいいのではないかと思って書いているとのことでした。

 

 植木さんのお話は,まずペンネームの由来から始まりました(最近の大学生には説明するのが難しいそうです……)。

 ノンフィクションライターとしての経緯とバックグラウンドについてご紹介くださった後,ライティングの技法について,6つのポイントにまとめて解説してくださいました。6つのポイントとは,比喩,擬人化,スケール置換,つかみ(タイトルのつけ方),“逃げ”(簡潔に言い切って不正確な表現にならないよう文章が長く煩雑になることを避けるなど),ストーリーラインの仕立て方,です。これらはサイエンスに限らず,ライティング全般において重要なことです。

 それから,文章の機能についてお話しくださいました。「説明」することの効果の1つは「理解」ですが,もう1つ「説得」があります。特に,一般販売の書籍や不特定多数の人を相手とするところでの語りは,受け手の方々に「納得」という現象が起こってくれるよう,「説得」できたほうがよい場合が多々あります。ライティングは後者に重きを置いて書いているのでは,とのことでした。確かに,納得させないとお金は取れません。

 

 本研究会の企画者でもある渡辺さんは,相手が耳を傾けてくれるようなサイエンスコミュニケーションの基本はライティング,ストーリーテリングにあるにあると考え,ライティングにこだわっているとのことでした。日本にはそのよい例として科学者の随筆という伝統がありますが,近年見られる,キャラクター,マンガ,お酒など,さまざまなポップカルチャーとのコラボによる成功例もあります。本日はそのいくつかをご紹介くださいました。

 

 休憩時間を挟んで,講演者の方々には,参加者からの質問にお答えいただきました。時間が足りず全ての質問にお答えいただくことはできませんでしたが,たくさんの参考文献情報や,第一線で活躍なさっているからこそ出てくる印象的なお話を聞かせていただきました。

 具体的な技法についても教えていただきましたが,具体的な技法の前にまず「読んで読んで読みまくれ,書いて書いて書きまくれ」というお言葉が,強く心に刺さりました。

 

 ご登壇者のみなさま,ご参加くださったみなさま,ありがとうございました!

(質疑応答のひとコマ)

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サイエンスライティング研究会を開催します(共催)

2015-08-13 10:03:52 | 開催予告

2015年8月30日に,サイエンスライティング研究会との共催で研究会を開催いたします。
ふるってご参加ください。

本研究会は終了しました。たくさんのご参加,ありがとうございました。
実施報告はしばしお待ちください。 

◆◆サイエンスライティング研究会◆◆
『サイエンスライティングの技法はあるか:エンターテイメントとの相性』

 サイエンスライティングに特化した技法があるかどうかは,サイエンスライティングの実践および研究における課題の一つです。今回はその入り口として,瀬名秀明さんと植木不等式さんというサイエンスライティングの名手をお招きし,サイエンスをエンターテイメントに仕立てる上での心がけ、工夫などについて,それぞれフィクション作家とノンフィクション作家の立場からお話しいただきます。そして渡辺政隆さんにはサイエンスライティング研究の観点から,サイエンスライティングの課題と可能性についてお話しいただきます。

 ライティングのプロセスの具体例を知ることで,参加者のみなさまがご自分のライティングについて具体像を描けるようになれば幸いです。

【開催概要】
日 時:2015年8月30日(日)15:00~17:00(14:30開場予定)
    ※前の時間に同開場でJASC研究会が開催されているため,開場時間は前後する場合があります
会 場:筑波大学東京キャンパス 文京校舎1階 120講義室
    (東京メトロ丸ノ内戦「茗荷谷」駅(出口1)から徒歩5分https://www.tsukuba.ac.jp/access/bunkyo_access.html )
対 象:どなたでも
定 員:50名(先着順,事前申し込み制)
参加費:無料

※当日は,記録・広報のために写真等の撮影をいたします。また,個人が特定できないかたちで,写真や発言内容をレポートとしてWEB等へ掲載させていただく場合があります。
※ご記入いただきました個人情報は,本研究会のご連絡にのみ使用いたします。

【お申し込み方法】
お申し込みフォーム
にて,必要事項をご記入ください。

お問い合わせ先 sw@kahaku.sc

【講演者】
瀬名秀明氏(小説家)
植木不等式氏(サイエンスライター)
渡辺政隆氏(筑波大学教授/サイエンスライター)

主 催:サイエンスライティング研究会  http://sciencewriting.info
    国立科学博物館サイエンスコミュニケータ・アソシエーション(科博SCA)サイエンスライティング分科会  http://blog.goo.ne.jp/sciencewriting

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