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松田オートサービスの記録

私の本職は整備士でアル!

JZX100系 マークⅡ(BRID) 【オーバーヒート】

2012-06-26 12:47:06 | エンジン系統
路上にてオーバーヒート →

JAFによるとラジエターキャップからの水漏れ→

水を補充して破損したキャップ取り付けて帰還→



という事で日曜日に入庫しました。



まぁお話だけ聞くと、

キャップが割れて冷却水が沸騰→蒸発にて水温上昇。
キャップ・シール部からの水漏れ→冷却水不足に水温上昇。


その後、水を追加してなんとか帰還できている。

という事から考えると、その後の冷却水系統は問題が無く、
ラジエーター・キャップのみ交換すればOKみたいなのですが。



とりあえずひととおり点検してみます。

まずは、ハデなアンダーカバーを全てはずーす。




ラジエター類が見えてきました。
特に問題はなさそうですね。






そして破損したラジエター・キャップ。
問題はバネ部分が樹脂製なので、破損したカケラがラジエター内に入ってしまうと
詰まりによる冷却系統の不良を招いてしまいます。




よーく観察すると・・。
見た限りでは問題無いのですが、中に入ってしまってる可能性ももちろんあります。





冷却水を抜き取ります。




新しい冷却水を注入開始。
やはり抜き取った量より大目に入っていきます。
冷却水の色は関係ありません。

あれはただの蛍光着色料なのです(エアコンの水と違いを持たせている)




とりあえずパンパンに満タンになる。

※もしここで永遠に冷却水が入っていったときは
エンジンが焼きついています。




このとき、エア抜きバルブを外してから、エア抜きバルブから冷却水が出てくるまで補充します。
出てきたらエア抜きバルブを締め付けます。

ラジエター・キャップを外したままエンジンをかけます。
そして暖房をかけます。

冷却水の補充、交換は暖房をかけながらやらないと
意味がありません。




■水面がすぐにあふれ出たら、ほぼ満水状態。
■水面がボコボコと泡を立てて吸い込まれていったら、まだ冷却水が
入ります。

水面の状態を見ながら、
暖房ラインに冷却水が回っているか、ヒーター・パイプの温度を手で確認します。


暖房は効いている。おおむね良好のようですがまだ判断しません。



マフラーの状態も見ます。

水蒸気があまりに多い場合は、燃焼室やオイル部分に冷却水が混入してしまっています。
オーバーヒートの瞬間に引き起こす【ガスケット抜け】の確認ですね。





水面が下がっていっているので少しずつかつ迅速に追加します。

もうあふれ出しそうだな・・・。


ってなった瞬間にラジエター・キャップを取り付けて封をします。



その後は冷却水系統の【サーモスタット】を開ける為、
エンジンを一気に加熱させます。

ブォーーーーンっと 大体3500~4000RPMまで一定の回転数でアクセルを踏みます。
大きい車であれば、50秒程度で加熱します。



先ほどのマフラーの様子も見ます。
黒煙がでたらエンジン・コンデシションの不良、
白煙がでたらエンジンが終わっちゃってます。

この車は大丈夫!









まだまだ確認作業は続きます。
ラジエター全体を軽く触り、ムラ無く加熱しているか確認します。

そしてシャーシ側、
エンジン下部の、

ラジエター・ロワー・ホース
ラジエター・ロワー・タンクの 温度を手で触って確認。

この二つが熱くなるまでエンジンを吹かし続けます。



ロワーホースの温度確認。


ロワータンクの温度確認。

温度が上がるのが遅かったら、エア抜きバルブをゆっくりと緩めて、
エアが入ってないか確認。
チョロチョロと滲み出したらまた締め付けます。

(エアが入ってしまってる車だとココを緩めると一気に加熱するものです)




ロワーホース、ロワータンクも熱くなりました!

これにてラジエター、冷却系統は正常に作動しています。



あとは、一旦冷えるまで放置して、ラジエター・キャップを
外し、冷却水の量が減っていないか確認。



水面に変化なし!
これにて終了です。








※結果だけ見れば、冷却水を補充してラジエター・キャップを
交換すればそれで終わりなのですが。。。。


今回の点検で、
【ガスケット抜け】の確認
【冷却系等の詰まり】の確認
【その他水密状態】の確認
【冷却部品】の確認

を同時にしています。


それは、
ラジエター・キャップが割れたことは単なる物理的な損耗なのですが、
キッカケとなった【真因】が隠されている事もあります。

サーモスタットの開き、
水漏れの確認、
冷却系等の詰まりを確認すれば、ラジエター・キャップの損耗は
物理的な損耗と断定できます。


それと、オーバーヒートした事による二次被害の確認もしています。


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