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こがら通信

書き残したいこと

『山恋記』に出会って 

2021-04-11 09:24:54 | 読書
  私は登山の趣味を持たなかった。別に高所恐怖症でもなかったが、生活に追われてとても高い山に登るという気にはなれなかった。
 二十代で 「山を見ることによって感動するためには、山の全容を遠くから仰ぎ見るという姿勢が必要であるように思われる」 などと生意気なことを書いて自分を慰めていた。
  このたび、ブログのお仲間のお蔭で、三浦千鶴子さんという方の 『山恋記』 という本で登山の魅力を余すところなく知らされる機会に恵まれた。
 この本に出会えてまだ間もないのだけれど、まず全体を通読して、あと一篇ずつ選んで精読しているが、どのページでも目の覚める思いをしている。以来毎日ページを開いては改めて読書の歓びに浸っている。

  巻頭の最初の数行を読んで既に私は、この著者の展開する物語にすんなりとついて行きたくなる暗示を受けた。

  奥多摩の水根沢入口のバス停に降りたとき、私は微 (かす) かに身震いをした。五月末の、水を浴びたあとのような周囲の若葉が、あまりにも眩しくてふと気が高ぶったのか、それとも深い樹林の中に消え入っている、山道の細さに茫とした不安を感じたのか、それは自分でもよく判らなかった。(「青い蝉しぐれ」)

 ごく普通の言葉で書かれ、読点一つにも行き届いた著者の感性の豊かさに導かれながら、私はもういちどこの人生を見直したいという気持にもなった。
  「水を浴びたあとのような周囲の若葉 」 のように、身も心もフレッシュになれることを期して、そして気づいたことを、折々に記して行こう。

(これからずっと、いいと思ったお言葉を引用したいので、故人になられた著者のお許しを乞いつつ)。


2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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こんばんは (asakawayuki)
2021-04-11 18:23:27
こがらさんへ

素敵な記事をありがとうございます。
見識が深く、文章力抜群のこがらさんに、
『山恋記』をこのように取り上げてくださって大変嬉しく思います。
私の大先輩の三浦千鶴子さんも天国で喜んでいらっしゃることでしょう。
こがらさんと三浦さんは、一本筋が通っていらしゃって、よく似ておいでのように思います。
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こんばんは (こがら)
2021-04-11 20:30:09
asakawayuki 様

79歳のお誕生日おめでとうございます。この場からお祝い申し上げます。

思いがけないコメントを賜り、とてもうれしいです。
「こがらさんと三浦さんは、一本筋が通っていらしゃって、よく似ておいでのように思います。」のお言葉、私にはこの上ないお褒めです。
三浦さんのことを益々知りたくなりました。
yuki さんにおける三浦さんとのエピソードなどもお聞きしたいと思っております。
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