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AC4★モラルハラスメントをするのはどんな人なのか?~虐待は虐待を生む

2006年03月23日 14時53分54秒 | 心理学・健康・その他

前回はモラルハラスメント(精神的虐待)の被害者の心理状態、その特徴を、最悪なケースを例にして、説明しました。
深く考えれば、誰にでも何らかの当てはまる面があり、全ての人が該当するような錯覚さえおぼえてしまいますが、そんなことは決してありません。同じ環境下でも、個人への影響は千差万別です。
ですからこれらの記事は、 “生きにくい”と感じる人、でもどうしてなのかわからない人。そんな人たちの、問題解決の糸口として読んでいただければと思います。
すべて、あくまでも私が参考文献を読んで噛み砕いて書いた文章ですので、その点をどうか、ご了承願います。

さて、モラルハラスメントの加害者について、今回は分析していこうと思います。
虐待を受けつづけると、被害者には様々な症状が表れ、たとえ支配から抜け出しても、PTSD(心的外傷後ストレス精神障害)に悩まされることもあります。
こうしたリスクを避けるためにも、本人が被害にあっていることに早めに気づいて加害者の支配から脱出する必要があるのです。
それにはまず加害者の特徴を知っておくことが肝心になります。
全ての親(家族、養育者、上司、教師、恋人等)がモラルハラスメントの加害者であるはずはなく、加害者には何らかの共通の特徴があります。今回はその共通点をあげていってみましょう。

◆仏の精神科医イルゴイエンヌ氏の説
フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌ氏は、著書のなかで、加害者を「自己愛的な変質者」「症状のない精神病者」であると語っています。
彼らは、幼少期に精神的に貶められた経験から転じた自己愛性人格障害の持ち主であり、自ら症状を自覚していない人であるということです。
加害者本人も過去にはモラルハラスメントの犠牲となった人物であるため、自然にそれが被害者にも伝わり、同情から加害者を被害者が擁護し、受け入れてしまうこともありますが、そこでとどまっても状況は好転しません。

加害者は自分が虐待を行っているなどとは夢にも思っておらず、考え方を修正しようという気持ちがないのです。どんな方法を使ってでも虐待の事実や権力の濫用を正当化し、合理化します。ときには優しい態度や、へりくだった態度で近づこうともします。
被害者がなんとかして加害者の心を変えようと思っても、やり場のない挫折感が重なり、精神的負担を増やしてしまうだけなのです。

◆相手に問題がある
<責任転嫁>
加害者は被害者に問題があると主張します。加害者の会話のパターンは「あなたは」「おまえが」であり「俺を怒らせるおまえが悪い」と、被害者の側に責任を押しつけます。もし被害者がまわりに訴えても、その人の性格、能力の問題点を(たとえ作ってでも)主張し、その人の話の信憑性を打ち消してしまいます。

<指導、教育>
加害者は、自分の考えは正しいと信じています。そうして暴力は、指導、教育という名、つまり、いたらない相手のために愛情のある自分が指導、教育してやっているという意識で行われ、実際は相手を支配することになります。
その上加害者は、被害者自身にも愛情からのことだと認めるよう強制し、自分がしていることは正しいと認めさせようとします。

<虐待の否認>
加害者は、されることには敏感で自分の苦しさは強く訴えますが、自分がする事には鈍感です。感覚が麻痺しているように、自分の行為に伴う受け手の苦痛には気づきません。
いくら被害者が「つらい」と言っても、自分が原因だとは夢にも思いません。

◆勝ち負け
 <思い込みによるこだわり>
加害者は、まわりの人間には敵か味方かのどちらかしかいないという極端な考え方をする傾向があります。対人関係を力関係でしか捉えることができないので、その相手によって巧妙に態度を変えます。
味方にしたい人が自分より上か同等の力をもつと思っている場合、親密さを相手にも周囲にもアピールします。しかし、その相手が少しでも批判や拒絶的態度をとると、自分に対する敵意と受け取り、何とかして抑圧し、排除しようとしがちです。

 <一貫性がない>
加害者は、情緒不安定で不安感を強く持っています。その時の気分によって変化し、言動に一貫性がありません。被害者は、その予測がつかないルールを加害者から強制されます。
被害者が毅然とした態度でいると加害者は怒り出しますが、硬直し萎縮していても加害者のイライラは増長されます。その使い分けには一貫した理論がありません。

 <支配>
加害者は、力のある者に対して迎合する反面、弱い者や敵とみなした者に対しては支配的、威圧的な態度をとります。そうしておけば、必ず自分の意見に同意してもらえるため、有能感を感じられるからです。
また、自分のストレス解消のための対象を確保しておくためにも、弱者を常に支配しておく必要があるのです。

◆自己愛的
加害者は自分を偉く見せようと、まるで全てを知っているかのように振る舞います。例えば難しい専門用語を使ったり、抽象的な表現をする、誰かを軽蔑し悪口を言う、相手の考えや行動の意味を勝手に決めつけるなどの方法を使います。
また、質問されても答えを途中まで言いかけてやめる、自分についてはあまり話さないなどの方法で相手の興味を引き、特別な人だと想像させるようにします。

◆妄想症的
加害者にとって、周囲はいつも自分をおとしめ、攻撃を仕掛けようとしている人たちだと感じられています。自分が先に攻撃を仕掛け、支配しておかないと、相手の方から攻撃を仕掛けられると思っているのです。加害者にとって人生とは悪意に満ちたとても困難なものであるようです。

加害者がこのような傾向をもつ原因は、まだ、はっきりしてしないのが現状です。
ただ、彼らの生育歴や過去の経験が、強い影響を与えているのではないかと言われています。加害者も以前、モラルハラスメントを受けており、それを虐待だったと認識していないことが多いのです。
そのうえ、自分がかつて受けた苦しみに対する復讐の表れともとれる自分の虐待行為にも、加害者自身はまったく気づいていません。今までに対等な関係の経験がなく、今も安心して本音を語る場所を持っていないであろう加害者にとっては、そのように自分の加害行為に無自覚でいることが、生きていく限られた方法なのかもしれません・・・。

またもや長くなってしまいました。申し訳ありません。次回こそアダルトチルドレンについて触れたいと思いますので、更にもう少しお待ちくださいね!

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