¶タイタン号の宇宙探検¶

ご訪問いただきありがとうございます。

心の傷、傷、傷・・・「アイルランド」

2006年01月22日 14時45分47秒 | 韓国ドラマの話

「オレ将来絶対白血病になってみせる」
ジェボクがジュンア(職業が医者)に言ったセリフです。
これ、関係者が聞いたらさぞかし激怒しそう──。

不思議で優しく、でも痛々しくて何故か泣けてくる・・・
それがこの韓国ドラマ「アイルランド」です。ストーリーも斬新で他のドラマでは見たことのないようないろんな愛の形が描かれているカルトドラマ。

主な登場人物は
ジュンア・・・・イ・ナヨン(「愛の群像」「勝手にしやがれ」)
カン・グク・・・・ヒョンビン(「私の名前はキム・サムスン」)
ジェボク・・・・キム・ミンジュン(「茶母(チェオクの剣)」「嵐の中へ」)
シヨン・・・・キム・ミンジョン(「ライバル」「酒の国」)
ジェボク母・・・・リ・フィヒャン(「天国の階段」「美しき日々」)

このドラマは登場人物全員が心に傷を持っています。主な登場人物はもちろん、グクの元上司の社長、シヨンの両親、ジェボク義父まで・・・。この傷の表現も他のドラマと違って淡々としてあざとさがなく、そのぶん痛くて深いです。

ボディガードのカン・グクは雇い主の付き添いで飛行機に乗っているとき精神的痛みを抱えたジュンアに出会い次第に惹かれてやがて結婚。
(ドラマの中で何度も精神科に入院するジュンア。その描写もものすごく淡々としています・・・)

家計を助けるためAVに出演しているシヨンは、だらしがないけれど憎めないプー太郎ジェボクと出会い、そのまま家に迎え入れてしまいます。
そしてジュンアとジェボクは横断歩道の真ん中で印象的な出会いをし、やがて恋におちていく・・・。

不思議な描写がいっぱい(本当に数え切れないほど)あり、セリフも抽象的でまるで詩を読んでいるようで
「どういう意味?」
という例えようのない会話の数々も、私は何度も頭をかしげてしまいました。

ジュンアとジェボクは本当に兄妹じゃないのか?
これは最後まで疑問でした。違うという結論に達しているけれど描写がなんだか怪しい・・・。
(兄妹であろうと関係ない、ということなんだろうと私は解釈したのですが)

ジュンアが愛してるただ一人の人というのはやっぱりジェボク?

これは間違いなくそうでしょう。
なのにグクの子供を妊娠して、それを全く意に介さずジェボクとジュンアはずっと愛し合っている・・・。他のドラマではありえない展開です。
ジェボクはグクにそれを知られても彼にまとわりついて

「俺の目標。尊敬してる」と言って妙な信頼関係を築いてしまうし、一方で

「あいつより長生きして、絶対結婚する」
なんてジュンアに言ったりもします・・・。

グクはジュンアとジェボクの関係に傷つきながらも耐え続け、一方で大きな重荷を背負い懸命に生きるシヨンにも惹かれ、シヨンはシヨンでジュンアと奇妙な友情で結ばれて・・・。

迷宮のようなこのドラマ、やっぱり私はジェボクの“壊れてしまった心”にすごく共感してしまいました。
絶対ありえない悲劇がいつも自分のすぐ側で起こる。
自分はそういう役回りだから──と言うジェボク。妹を里子にだされたときから彼の魂は凍りつき、喪失感の中で見つけた愛も幻のようなもの・・・。淡々と“落ちていく”ジェボクは私には悲しすぎました。

最終回もとっても不思議な描き方です。
抽象的すぎてなんと表現したらいいのかわかりません。ただ、人の痛みも苦しみも、何もかもすっぽり包んでくれるようなこの終わり方は万華鏡の如く延々と心にメッセージを残し続けてくれるエンディングでした。

本国において多くの廃人を生み出したのも納得です。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

韓国ドラマの話」カテゴリの最新記事