¶タイタン号の宇宙探検¶

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「淋しいのはお前だけじゃない」前編・・小悪党が旅芝居のドサ回りに魅せられるまで

2007年12月13日 10時31分14秒 | ドラマ・映画 全般の話

突然このドラマが見たくなり、急遽BOXで買いました。

残念ながら当時(1982年)は、もっとミーハーなドラマを観ていたようで、まったく内容の記憶がありません。でもタイトルはずっと記憶にあったんですよね…。

クドカン(宮藤官九郎)は西田敏行も出ている『タイガー&ドラゴン』のホンを書く時、このドラマを参考に観たそうで、なるほどね~と妙に納得がいきました。

まず、タイトルがいい!

なんともそそられるこのタイトル。実は脚本の市川氏が、演出の高橋氏に

「『淋しいのはお前だけじゃない』みたいなタイトルがいいんだけど、何かないかな」

と持ちかけ、高橋氏が「それいいね。そのまんま行こうよ!」と言って決まったものらしいです…。

そして期待を裏切らない見事な筋書き、演出。
最後に流れる主題歌で、殺伐とした心が一気に癒される作品です。
(この歌は何度聴いても染みる。主題歌だけでも泣けて来ます…!)

このドラマで西田敏行はいきなり団地の中に軽トラで乗り付けて、
「○○さ~ん、貸した金は返してちょうだいよォ~!」みたいな事を拡声器で叫んで廻る、エゲツない取立て屋。
でも内実は、サラ金業者の下請けみたいなもんで、虎の威を借りて横暴に振舞ってるだけだというのが次第にわかります。

大衆演劇とサラ金の取り合わせによって展開される内容はユニークかつ斬新、またそれは当時の世相を鋭くつくものでした。

脚本は市川森一。
メルヘンと毒気が同居する氏独特の持ち味が遺憾なく発揮された本作は、その創作活動における集大成的作品といえるかもしれません。

※なお、西田敏行の心情の変化がこのドラマの支柱となっておりますので、私が感じた【沼田の小悪党度】を100点満点で付けさせていただきましたm(__)m

●出演●

・沼田薫:西田敏行~サラ金の取立て屋。国分から常子の取立てを命じられるが、幼少期の彼女の母親への恩義から一芝居打つ。しかしすぐに嘘がばれ、逆に借金二千万円の連帯保証人に。花村月之丞一座の芸名は嵐熊吉。

・由良常子:木の実ナナ~国分が面倒を見ていた女。幼馴染みの市太郎と駆け落ちし、慰謝料として二千万の借金を背負うことに。沼田と協力し、女剣劇座長だった母親の二代目を襲名し、花村月之丞一座を結成する。

・小川妙子:萬田久子~借金苦で自殺未遂を計った夫の看護をしながらスーパーのレジ係をしていたが、意を決して花村月之丞一座に入る。芸名は芳澤みなと。

・畑中洋一郎:河原崎長一郎~自動車販売セールスマン。妻と6歳の子供あり。花村月之丞一座での芸名は中村京四郎。

・山村謙二郎:山本亘~元は優秀なコンピュータープログラマー。沼田の取り立てにはすべてコンピューターの自動音声で対応し、不信感の塊。心身症自律神経失調症を患い、医者に仕事を休むことを勧められる。花村月之丞一座での芸名は尾上松之助。

・松永健次:潮哲也~一流ホテルのフロント係。社長令嬢と婚約中に、過去に妊娠させた元恋人にゆすられて借金をする。花村月之丞一座での芸名は市川染太郎。

・久保三郎:矢崎滋~町田の駅員。カラオケ好きでマイクを持ったら離さない。花村月之丞一座での芸名は坂東玉二郎。

・馬場利夫:小野武彦~沼田を国分に紹介したサラ金業支店長。沼田の責任を負わされて、業務の後を継ぐことになったヤクザ崩れ。

・竹村市太郎:梅沢富美男~幼い頃から旅芸人一座の中で育つ。常子と駆け落ちしたため、借金返済に追われる。(※TVドラマ初出演)
 
・西方:尾藤イサオ~国分の部下で用心棒。凶暴な性格で沼田や馬場に恐れられる。
10日締めの借金の利息取立てに度々現れる。

・ベラ谷口:佐々木すみ江~シャンソン喫茶を経営。失踪した鈴なり座の持ち主・南郷マリアと鈴なり横丁の土地を買う。

・花村月之丞:真屋順子~初代・花村月之丞で常子の母。幼く、貧しい沼田にハーシーのチョコレートをあげた。沼田はその恩義を未だ忘れられず。

・清水政吉:原保美~一座の裏方を取り仕切る。花村月之丞一座の先代からの座員で、常子、市太郎を幼い頃から知っている。

・沼田よし江:泉ピン子~沼田の妻。苦境の中でも献身的に沼田に尽くす。

・国分英樹:財津一郎~広域指定暴力団・青竜会の幹部にして、大手サラ金会社のオーナー。政財界にも顔が広い。

●放送日:1982年6月~8月
●脚本:市川森一
●音楽:小室等
●主題歌:西田敏行「淋しいのはお前だけじゃない」(作詞・作曲・小室等、編曲・青木望)
●演出:高橋一郎、浅生憲章、赤地偉史


★第1話★ 一本刀土俵入り
沼田薫(西田敏行)は小悪党で今日も借金の取立てに余念がない。そんなある日、取立ての腕を買われて、馬場を介して国分から、逃げた女(木の実ナナ)に対し、慰謝料二千万円という法外な借金の取り立てをしてくるように依頼される。しかし債務者である常子の母親が、沼田の貧しく、孤独な幼少時の恩人だったことを知り、国分に一芝居打って逃がしてやることにするのだが…。
《沼田の小悪党度・・80点》 

★第2話★ 任侠・吉良の仁吉
国分に嘘の取り立ての報告をする沼田の前に現れたのは、債務者の常子と市太郎だった。国分にはすべてバレていたのだ。
保証人として血判を押すはめになり途方にくれる沼田。よし江には「離婚だ!」と言って当り散らした揚げ句に追い出し、仲介した馬場の恨みも買うことになる。すさんだ気持ちで死をも覚悟するが、常子と市太郎は希望を捨てていなかった。芝居の御祝儀で借金の返済をすると言い、沼田は半信半疑で旅芝居を観に行くが…。
《沼田の小悪党度・・60点》 

★第3話★ 札吹雪白浪十人衆
常子たちは一座を旗揚げしようとするが、集まった昔の座員は裏方の政吉だけ。そこで一計を案じ、サラ金時代に執拗に取り立てていた債務者たちに目を付けた沼田。お詫びと称し、白浜無料一泊旅行に招待する。
車のセールスマン・畑中、駅員・久保、ホテルマン・松永、コンピューター技師・山村、病気の夫を抱える主婦・小川妙子。沼田に不信感を感じながらも日々のストレスから逃げるように彼らはこの旅行に参加するが…。
《沼田の小悪党度・・50点》 

★第4話★ 土蜘蛛
ホテルで一行の前に現れたのは、座員に逃げられ途方に暮れる常子と市太郎だった。(実は沼田らが仕組んだ”お芝居”)
半ば自暴自棄になっている債務者たち一行は、旅の開放感も手伝い、常子と市太郎に手を貸すことにする。即席座員となった彼らは拙い芝居ながら、舞台上で沼田への鬱憤を晴らし、今までにない喜びを感じることに…。
《沼田の小悪党度・・40点》 

★第5話★ 名月赤城山
日常に戻った債務者たちは再び砂を噛むような生活に戻った。そこへ現れたのは常子、市太郎、沼田たち。再び一座を立ち上げるので協力してほしいと頼まれた彼らは二つ返事で承諾する。
しかし公演をしたくても劇場側に次々と断られてしまう。更に、国分の用心棒に半殺しの目に遭わされた沼田は「逃げるしかない!」と絶望しかけるが、妻のよし江からサラ金を追われる時に持ち出した借用書をもとに、倉庫番をしていると聞かされ、鈴なり横丁を訪れる。そこは昔、芝居小屋として使われていた場所だった。
《沼田の小悪党度・・60点》 

★第6話★ 沓掛時次郎
倉庫を鈴なり座として改装することを決意した沼田。座員たちは芸の稽古と共に、ベラ谷口(佐々木すみ江)の世話で夜のアルバイトも強要される事になる。沼田は二千万の利息の支払い期限を気にする一方、常子と市太郎の芝居に対する情熱にイライラ…。いよいよ花村月乃丞一座旗揚げの挨拶まわりの日、畑中(河原崎長一郎)の妻と子が別れを告げにやってきた。
《沼田の小悪党度・・40点》 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

70年代から80年代にかけ、山田太一、倉本聰と共に、TVドラマ界をリードした市川森一による傑作ドラマ。
その作品を愛するあまり、“○○史上に残る傑作”という表現を使って、贔屓の引き倒しをしてしまう事がよくあるのですが、今作は、正真正銘、TVドラマ史に燦然と輝き、いつまでも語り継がれる傑作でしょう。

このドラマの最大の魅力は何か──。
それは、社会の中で、堕ちこぼれ、どうしようもなくみっともなく生きている者たちへの共感であり、優しさであり、可笑しさであり、切なさであり、激励。

サラ金という現代的な社会問題と、アナクロな魅力の大衆演劇を組み合わせた設定の妙が光る一方で、軽妙なやり取り、人情にほろりとするエピソードも大衆演劇そのものです。

なお、本作はTBS金曜ドラマ枠が放った名作のひとつとして、1982年度テレビ大賞および第一回向田邦子賞を受賞しています。(後編へつづく・・・)

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6 コメント

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小悪党度 (美狂)
2007-12-13 19:39:00
小悪党度が表示されているあたりが,かなり面白いです。
ひとつ,質問ですがタイタンさんは,こういうドラマや映画は夜に見ているんですか?ご飯食べながらとか?寝ながらとか?
良ければ教えて欲しいです。いつ観ているのかな?ってずーーと前から気になっているんですよ。
自分は睡眠時間は減らせないし,時間の使い方下手で・・見習いたいのです。
返信する
美狂さん (タイタン)
2007-12-13 19:56:29
小悪党度はちょっと甘かったかな~と思うんですけどね。
結構辛口な話です。
暴力もあるし、情け容赦ない借金取りって感じ…。
私も時間の使い方下手ですよ~。
だってこれ見始めたのって夏ですもん!
いつまでかかってんだよ!って話で、毎日こつこつ観てました。
だいたい朝と夕方ですかね…。
とにかく一気には観られないので、少しずつ観ました。
後半はさすがに加速度つきましたけどね(^_^;)
返信する
朝ですか? (美狂)
2007-12-14 12:56:53
夏からでしたか~(笑)それにしても,朝ってことは仕事に出かける前ってことでいいのかな?やはり,タイタンさんでも一気には無理ですよね(笑)
ありがとうございました。
返信する
美狂さん (タイタン)
2007-12-14 15:15:01
何事も遅いんですよ。
深夜ラジオも録音したはいいけど、次の放送までにギリギリ聞いてたりします(^_^;)
手元にあるってことでもう満足しちゃうんでしょうね、きっと。
返信する
観てないわ^^; (メロディ)
2007-12-14 15:53:58
これって、梅沢富美男さんがブレイクしてドラマ出演ってことで話題になった作品ですよね。
私も裏で何を観ていたんだろう?と考えたけれど、記憶なし。でもパスした記憶はあるのです^^;

あの妖艶な美女にフツーのオッサンが化粧だけで変化したことにショックを受けたせいかも?

返信する
メロディさん (タイタン)
2007-12-14 16:06:38
「思い出づくり」とか、そのあたりじゃないかと思うんですが、わからないんですよ~。
視聴率は低かったらしいです!(^_^;)

これ、西田敏行や矢崎滋も女装してるんですよ!
(しかもめちゃ綺麗)
んでもって梅沢さんは木の実ナナさんと初ラブシーンがあったんですが、体重かけないようにすごい腕の筋肉使った!と特典映像で言ってました。
返信する

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