短歌：偶（閏）

タイムマシン用のスーツは期せずして遮光器土偶にとても似ていた




Hail Sathanas.

短歌：走（閏）

悩んだ末フラッシュバックと訳しても多分通じてない走馬灯




Hail Sathanas.

短歌：初雪（閏）

初雪の山で三筋の足跡を追いかけて着く断崖絶壁




Hail Sathanas.

短歌：バー（閏）

赤と黄のかばんの中は革命の夢とバールのようなものです




Hail Sathanas.

短歌：鈴（閏）

夜も更けてテレビも砂に変わるころ鈴虫の鳴く宿舎の風呂場




Hail Sathanas.

短歌：ドーナツ（閏）

健康のためにシュガーレスで揚げる小麦粉ドーナツ爆発事件




Hail Sathanas.

短歌：カバ（閏）

震度５で棚から顔に降ってきた重さ２キロの防災カバン




Hail Sathanas.

短歌：前（閏）

タクシーが乗せてくれない千日前わたしの顔を見ようとしない




Hail Sathanas.

短歌：直（閏）

後輩に素直になれとアドバイスした翌日の殺害予告




Hail Sathanas.

短歌：ネクタイ（閏）

ネクタイを頭に巻いた局長が改札前で力尽き、冬




Hail Sathanas.

短歌：滝（閏）

呪いより集団リンチされた日の空気で満ちる袋田の滝




Hail Sathanas.

短歌：鈍（閏）

作業着の同じ男を四度見た函館本線鈍行の旅




Hail Sathanas.

短歌：矢（閏）

三本の矢などそもそも飛びもせず刺さりもせずに折れぬまま朽つ




Hail Sathanas.

短歌：階（閏）

幾度となく数え覚えた階段の１３段目の無い雪の夜




Hail Sathanas.

短歌：半島（閏）

日の入りの能登半島の先端に去年もあった靴と書き置き




Hail Sathanas.