短歌：本（閏）

本牧のウッドヘンジの真ん中で佇む白く顔のない影




Hail Sathanas.

短歌：枯（閏）

水面に着物の女性が映るという名物井戸が枯れていた夏




Hail Sathanas.

短歌：台（閏）

男山展望台で秋にだけ見かける女性霊が美人で




Hail Sathanas.

短歌：ススキ（閏）

苦し気な嗚咽の漏れるＡＴＭすすきの駅はラフィラの奥で





Hail Sathanas.

短歌：数（閏）

顔フォーカスオフに出来ない誰も居ぬ嘉数高台展望塔で





Hail Sathanas.

短歌：温泉（閏）

黒々と聳え犇めくビル群の半ば廃れし鬼怒川温泉




Hail Sathanas.

短歌：秋（閏）

秋ヶ瀬の森の道からついてくる青白ロングコートの女




Hail Sathanas.

短歌：華（閏）

災難のとき忽然と現れる華厳の滝の顔の写真が




Hail Sathanas.

短歌：蜂（閏）

奥多摩は蜂集落でいちど見て以後夢に出る無人のミシン




Hail Sathanas.

短歌：落（閏）

斧落隧道内で斧よりも無慈悲に崩れ落ちる天井




Hail Sathanas.

短歌：服（閏）

俯いて駆け抜ける泉の広場まだ赤い服が目の端に居て





Hail Sathanas.

短歌：鮭（閏）

好きだった鮭フレークの材料に「サケ・マス類」とあって泣いた日




Hail Sathanas.

短歌：獏（閏）

寝室にベヒモスの絵を飾ったらはたと途切れし連続悪夢





Hail Sathanas.

短歌：小豆色（閏）

掛川で拾った石の小豆色褪せて砕けて龍の来る夢




Hail Sathanas.

短歌：町（閏）

手首から先と思しき物体が地下階を這うパレ１番町




Hail Sathanas.