短歌：珊瑚（閏）

さんご園近くの橋の対岸の陰で手招きする赤い影




Hail Sathanas.

短歌：加（閏）

草加市は瀬崎角田公園でブランコに乗るふたつの鬼火




Hail Sathanas.

短歌：用（閏）

平賀源内が文案家の位地で遺した惹句土用の鰻




Hail Sathanas.

短歌：せい（閏）

非通知でショートメールが届きます事故を見てから「お前のせいだ」と




Hail Sathanas.

短歌：地図（閏）

千葉の山奥で全てが懐かしく二度と行けない地図に無い村




Hail Sathanas.

短歌：法（閏）

法の番人と呼ばれて四半世紀見えて来たのは人間の情




Hail Sathanas.

短歌：日記（閏）

密やかな丑三つ時に黒鏡を眺めて綴る明日の日記




Hail Sathanas.

短歌：だよ（閏）

まだ夜中の白んだような伊予灘よ虚無を漂うブラフマンダよ




Hail Sathanas.

短歌：断（閏）

幽霊を見たくなったらシナモンを多めに摂ってラーメンを断て




Hail Sathanas.

短歌：相（閏）

相模原グリーンホールでホンモノに憑かれつつ観る稲川淳二




Hail Sathanas.

短歌：飛（閏）

届出をせず飛来するヒーローは登場前に撃墜される




Hail Sathanas.

短歌：呼（閏）

子の刻に呼び鈴が鳴る入院で不在の筈の祖父の寝間から




Hail Sathanas.

短歌：藤（閏）

さまざまな記憶を抱いて音もなく森に飲まれるホテル藤川




Hail Sathanas.

短歌：としては（閏）

野菜汁凝屋としては見逃せぬ天下の籠目『つぶより野菜』




Hail Sathanas.

短歌：いつも（閏）

いつも中に顔の見えてた窓が割れどこか明るい向かいの廃墟




Hail Sathanas.