短歌：峰（閏）

コツコツと足音はないだが鈴の音が迫り来る久峰隧道




Hail Sathanas.

短歌：石鹸（閏）

合宿の大浴場の入り口に石鹸を塗り込んでいた夏




Hail Sathanas.

短歌：像（閏）

ビル閉館後のほの暗いフロントでトレードマークの像がいてへん




Hail Sathanas.

短歌：遅（閏）

宿題を如何に遅れて出したとて裏口入学よりは善良




Hail Sathanas.

短歌：背（閏）

馬ヶ背に張り巡らせた木の柵を夜な夜な覆う白い手の跡




Hail Sathanas.

短歌：せい（閏）

雨のせいではなかったよ駅までの走りにくさは左右別の靴




Hail Sathanas.

短歌：和（閏）

騒がしき従弟を三日黙らせる三和交通心霊ツアー




Hail Sathanas.

短歌：クワガタ（閏）

オキナワマルバネクワガタを捕まえたヒトも捕まる法律の怪




Hail Sathanas.

短歌：花火（閏）

夏の度買い足して天井裏に配備していたロケット花火




Hail Sathanas.

短歌：過去作から一首（閏）

コピー機のカバーの下に隠されし『新・忘れもの防止マニュアル』




Hail Sathanas.

短歌：夕立（閏）

折り畳み傘が収まらないほうの鞄の日だけ迫る夕立




Hail Sathanas.

短歌：レーズン（閏）

最寄り駅からセブイレとローソンへレーズンバターサンドのハシゴ




Hail Sathanas.

短歌：字（閏）

血まみれの女が乗って来ぬように大字関根でバイクは手押し




Hail Sathanas.

短歌：八（閏）

八鶴湖公園で夜祠とは逆の畔で揺れる赤光




Hail Sathanas.

短歌：ガム（閏）

バッキンガム宮殿前の湖でライカに写る首なし女性




Hail Sathanas.