サスケ。
君が我が家に来てくれてからもう何年になるのだろう。
今日の様な寒い日、山下さんちの玄関先に置き去りにされたあなたは、まだ片手に乗る位の小さな体で、箱の中でブルブル震えていたのです。
山下さんの家ではあなたを飼うことが出来ず、猫ボラさんの木村さんが我が家を推薦してくれたのです。ちょうどその頃チンチラのピンキーと迷子ネコのマオ(中国語でネコの意味)が相次いで天国に行ってしまい、家中みんなで落ち込んでいたところでしたから。
あの子達との別れがあった直後で、もう辛い思いをしたくないと、一度は断りました。
で、山下さん、「これ、見て。可愛いでしょ!」 と言って君の写真を見せたのです。
そう、山下さんの作戦勝ちでした。
それから一週間後、子ども達と共にサスケ、あなたを迎えに行きました。
捨てられていたあなたは、人間不信の表情で、私たちとは絶対に目を合わせてくれず、「この子は私たちになついてくれるだろうか?」とそれは心配でした。
家族の心配を他所に、我が家にやって来たあなたは、すぐにヤンチャぶりを発揮しました。興奮した時の顔が可愛らしくて、わざと刺激しては、皆で大笑いしました。
マオに続いて二代目キジトラの美しい毛並みの体にピカチュウのようなカクカクっと曲がったチャーミングなしっぽ。
ハスキー犬のロボには、何度もガブリとされていましたが、懲りずに近寄っていました。そして、またガブリ。
家族の居ない昼間寂しくないようにと、半年後ヒナコがやってきました。
まる二日間、君は、ヒナコを警戒して押入れから出てきませんでした。ワン子は平気なのに仲間のニャン子が怖いなんて!・・・。三日目、小さなヒナコを甲斐甲斐しく面倒をみるサスケがそこにいました。君の姿に、家族みんなが感動しました。甘えん坊のヒナコは、まだママのおっぱいが恋しいようで、サスケ兄ちゃんの肉球をいつもチュウチュウと吸っていました。困った顔をしながらサスケはされるに任せていました。
それから何年かして、ヒナコが四匹の赤ちゃんを産み、あなたは、赤の他人のヒナコの子を育て、育児のストレスから体調を崩したこともありました。
優しいあなたは、母のヒナコより子猫たちに慕われ、立派な父さんでした。
早いもので、あれから7年の月日が経ちました。
もう片手では持てない位に成長し、最近では、お腹廻りがチョイと気になります。(サスケ=お母さんには敵いませんヨ)
子猫達の前では甘えないサスケだけれど、夜になると「母さん時間だよ」と催促して来ます。
こんな寒い日は、湯たんぽになってくれるサスケです。