Lunatics in the air

with maniac love of SHINJI TAKEDA
since 6 Jan 2006

27日ソワレ(真治トート千秋楽)<1>

2006-05-31 | 舞台「エリザベート」
2006年5月27日土曜日、17時開演。
真治トートの千秋楽、行って参りました。

FCで取った席でしたがO列右ブロックでした。
そんなわけで、残念ながら、
この日の細かい真治君の表情は見ていません。

当然オペラグラスは劇場で借りて用意したんですが
使うとその場の雰囲気が見えなくなるので
本当にほんのちょこっとしか使いませんでした。

後ろのほうの席だと細かい部分が見えない代わりに
その“場”の中での雰囲気が見えるときがあります
劇場全体を占める空気。その流れ。色。
今回、それを実感したのは、
「愛と死の輪舞」の冒頭のシーンでした。

「愛と死の輪舞」の最初のフレーズが流れる中、
顔に手をかざしたまま静かに振り向いて、
舞台中央に立ち、ゆっくり大きく両手を広げる。

劇場全体の広さに比べると、本当に小さな体。
その体に、溢れるように降り注ぐ青い光。

光を受け止めるように少し上を向いた顔に、
満員の観客の視線が集まっているのがわかる。

体いっぱいに光を、満場の視線を受け止め、
静かに、その体に懸命に力を漲らせて立つ姿。

その瞬間、舞台にはトート1人。
(トートダンサーズはいましたが)
彼の演技を、歌を、劇場を埋めた観客が見ている。
この劇場を支えているのは彼なんだ、と思うと
その役の重さが今さらながら感じられて怖かった。
とても怖かった。

彼の挑戦の凄さ。そのハードルの高さ。
本当に彼は凄いことに挑戦したんだな、と
初めて実感として思い知らされた気がしました。

もう、そう思ったら、舞台上のその姿が、
いとおしくてたまらなかったです。


その冒頭に続く「愛と死の輪舞」は、
動きと歌と表情とがきれいに噛み合っていて
トートの感情が心にすんなり入って来ました。

驚き。戸惑い。恋に落ちた自覚。
「生きたお前に愛されたい」という
有り得ない欲望に抗うことが出来ずに、
シシィに命を返すことを決める。
だが、返せば自分は忘れ去られてしまう。
忘れられてしまうことへの胸の痛み。苦しみ。
それでも、どこまでも追いかけようと誓う。
純粋な、そして無謀な、一途な想い。

歌を1曲聴いたというよりも、
短い芝居を1本見たような気分。
すごいなあ・・・。


ふうっ、と息を吹いて命を返したあと、
シシィに声をかけられて振り向くのですが、
この振り向くシーン、この前に見た時辺りから
振り向き方が大きくなってる気がします。
前はちらっとだったように思うんですが、
今は思いっきり体ごと向けて振り向いてます。
気のせいですかね??


トート閣下のその次の登場シーンは「婚礼」。
で、それが終わるともう「最後のダンス」。

「愛と死の輪舞」の時のトート閣下と
「最後のダンス」のトート閣下は、ほとんど別人。

その差をどう見るか?

「嫉妬」でしょうね、やはり。
嫉妬に狂ったトート閣下は、これ以降、
「愛と死の輪舞」で見せた静かな表情は見せない。
最後に、愛を手に入れるまでは。


で、この日の「最後のダンス」。

半爆裂状態??(爆)
「おーれえええ」の後が相当激しいシャウトになり、
ファルセットで相当高く細く「さーあーあー」、
その後に大きな声で笑い声が入って終了、でした。
最後に最近入ってた叫び声は無し。
シャウトは18日と同レベルの激しさだったと思う。
ファルセットも高すぎな気がしてヒヤヒヤしたけど
その後はしっかりとした迫力の笑いでまとめたので
なんとか着地したんじゃないかと思います。

まあ、ちょっと微妙ではありました。
観客席の反応もちょっと困ってた気がする。
でも好き(笑)かっこいいよ♪
めいっぱい拍手しましたよ!!

それにしても、最終日まで壊してきたね(笑)
結局、デフォルトのバージョンを確定したら
それを毎回やる、という方向性はなかったようです。
うーん、さすが真治君(爆)

踊りも14日以降では1番激しかったかも。
千秋楽だから余計に踊ってくれたのかな??

さて。その次の登場までは少し間が空いて、
長女ゾフィーが死ぬところですね。
(ハンガリー訪問時と言ったほうが正確かも)

私、このトートのソロの「闇が広がる」と、
その後に続く、トートダンサーズがすれ違って
黒い鳥のように舞台の両側へ走る去る場面好き。
不吉で、かっこいい。

トートソロの闇広は、真治の声がよく聞こえる。
真治の声が好きなもんでうれしい。
最後の「だー」のところで、音響もエコーも
大きくなって、声が大きくなって伸びるのと
いい感じに合わさっているのもとても良いです。
聴いていて気持ちいいっ!!
ここ、最初の頃は音がヨレっとなりがちだった。
でもここ何回かはまったく危なげなし。
思わず、手がグーになります(笑)

冒頭の歌詞の「2人で踊った婚礼の夜」には、
いつも「踊ってたのは主にあなた1人では?」と
心の中でついつい突っ込みを入れてしまう(笑)
確かに最初はシシィと無理矢理踊ってるけど、
途中からトートワンマンショーになってるんだもん。
だから「早く認めるんだ、俺への愛を」と言っても
きっとシシィには伝わらないな、って気がする。
なんか、全体的に可哀想なんだよね、片思いで。
この歌の前には「あなたを決して許さないわ」と
シシィに怒られて、ちょっと舞台端のほうに
いったんひっこんでから出直してくるし(爆)


その次はカフェですね。

歯切れの良い曲調はとても好きですが、
この曲、日本版はタイトルが「退屈しのぎ」。
元々のウィーン版の「楽しい黙示録」のほうが
断然かっこいいと思うんですけどね。
歌詞の中身も比べるとだいぶ違います。
向こうのは、もっと不吉な歌詞。
こっちのは、のんきに「嫁と姑大戦争」(笑)
最後のほうでは革命家の皆さん&トート閣下で
革命についてちょいちょい歌ってますが。

このシーンでは、ルドルフが生まれた!という
新聞を持っている人々の間を通って、
赤いショートコートのトート閣下がご登場♪
ああー!!かわいいっ!!!
いつも、ドアが開くところからずっと見てます。
正面に来て、帽子の前を上げてかぶり直して
わざわざ顔をちらっと見せる仕草もいい!
見えた顔もいい!(笑)

千秋楽では、どういうわけかいつもより
動きがやわらかかったのが面白かったです。
ここのシーンではいつも動きがキビキビしてて
それも結構“萌え”ポイントだったのですが
この日は動きのひとつひとつがやわらかかった。
それはそれでなんか魅了されてしまいました。
わざとなのかなんなのか・・・???

そして、最後の帽子クイッにまたもやヤられ、
クルッと後ろ向いて去っていく後ろ姿にヤられ。
うがーっ!!かわいすぎです!!
あの服の後ろにギャザー寄せた人ありがとう!!
あの細いウエストと揺れる裾がたまりません。

「これが最後になるのだから、
 この揺れるギャザーを目に焼き付けなければ!」
・・・どうやら私はそう思ったらしく、
脳裏にやたら激しくインプットされてます。
後ろ姿の、揺れる赤いコートが・・・。
その下の、細い脚も一緒に(笑)


冷静に見た場合の27日の真治トートの出来は、
いろいろ少しネットで覗いてみた結果と
一緒に見た真治友達の意見とで合っているので
「前半は× 後半は○」というのが多分正解。

でも、私はこの日の前半の出来、
別に悪いとは思わなかった。
当てにならない私の耳♪♪
でもまあ、私が良いと思ったのだから、
私にとっては良かったということで(笑)
私は幸せな人なのかもしれないですね。


さて、後半の山場と言えば「闇が広がる」です!
今日は、私の周りの真治仲間の支持率が高い
浦井くんルドルフとの「闇が広がる」!!

私は最近偶然パクさんばかりに当たってたので
浦井くんは結構久しぶりでした。
久々に聴いてみると、やっぱ声質合いますね!!
ハモるところがきれいに響き合う感じ。
ビビッと来るっていうんでしょうか。
気持ちいい~っ!!かっこいいっ!!!
今日も「座るんだー」の「だー」が決まった!
よっしゃーっ!!と、またもこぶしを握る私(笑)

でもやっぱ最初の「闇が~」の歌い出しだけは
ほんのちょびっと物足りないと思ってしまいました。
浦井くんルドルフは、自分で手一杯という感じで
自分の苦しみをあまり外に向かって吐き出さない。
パクさんルドルフのように、
激しくトートを求めて叫んでくれない。
ほんのちょっとだけ、そこが不満(笑)


その後に続くシーンでは、トートがホントに
クルクルとよく表情を変えてクルクル動いて、
見ていて飽きないしめちゃめちゃかっこいい!!

ルドルフが「ハンガリー国王」と口にした瞬間に
トートがハアッ!と笑うのがツボな方がいますが、
私の場合は、そこよりもその前後がツボです。
「今なら救えるハプスブルク」と新聞から顔を出し
「お前が自ら導くのだ」と妖しく誘いかける。
高らかに「ハンガリーの王冠が待つ」と歌って、
覗き込むようにルドルフの様子を伺う、その表情!
ハアッ!の悪い顔を挟んで、クルッと回って
途端に澄ました表情になって馬車へと導く姿。
ルドルフが乗った馬車を得意げに操る姿。
ここは、本当に短い時間で、
ものすごくいろんな表情と動き、振る舞いを
鮮やかに切り変えて次々と見せてくれる。
まるで万華鏡のようです。
その見事な変化っぷりがたまりません!!!

演技が上手いとか、身のこなしが軽いとか、
そういうレベルの問題じゃないと思う。
なんでしょうね、これ。
なんか、真治君ならでは、という気がします。


ここはそこからトートダンサーズと踊って、
ルドルフとまた踊って、ひとりこっそり脇に寄り、
銃声がする中、さっさと後ろにひっこんで
舞台中央奥に立つところまで、全てかっこいい!
ここの流れ、ものすごくいいと思う。
立ち姿がまた美しい・・・!!!
(前にも書いた気がしますが)

27日は右ブロックの後ろのほうだったため、
この、真ん中中央に立ったトート閣下と
トートダンサーズの1人が少しかぶってしまって。
ダンサーズがはけるまでよく見えなかったのが
ちょっと心残りでした。

あとはあれかな。

千秋楽の「悪夢」は凄かったですよ!!
いつもすごく好きだけど、この日は最高!
壊れっぷりがもう、すごいことになってました。

指揮棒を一瞥してポイッと放り出してからが
いつもよりもさらにむちゃくちゃな指揮ぶり。
やりたい放題の大暴れで、えっらい楽しそう!!
ああもう、大好きっ!!!

ここ、「彼女は俺を愛している」と叫ぶ時の、
「彼女は」が、すんげー真治声でシャウトで
ものすごく好きなんですよ、私!!!
ミュージカルなのかどうなのか、っていうと、
本当に地声になってるんで微妙なのかもな、とは
思わなくもないんですけどね。
私は好き。あー、真治だ、って思う。
すこーし、少年っぽい青さの残る声でね。
ここ私、微妙な思いでいつも待ってるんですよ。
今日はもう少しキレイな発音で歌えるかな?
でも、あの声、好きなんだよな~・・・と。
最終日も、ここは“真治声”でしたね。

手の動きもいい!!
両手を下に向けて左右に振りながら、
死者たちを呼び出す小気味いいリズム。
あー!思い出すだけで気持ちいい!!!!!
真似したくなっちゃう!!(似ないけど)

トートの振りに合わせて、死者達が踊る。
その微妙な間をあけた、シンクロニシティ。
潔いまでに力いっぱい振り切る腕の動き。

「エリーザベート」と高らかに歌いながら
頭グルグル回して獅子舞状態で踊ってたりしてて
この日は今までに見たことないほど激しかった!!
思い出しても血がたぎります!!
ああー!!きもちいいっ!!!

悪夢のシーンは、見てること自体ががすごく快感。
歌、音楽、動き、全てがすごく気持ちいい。
もしまたいつかどこかで真治トートに会えるなら、
この「悪夢」はこのままでいってほしいです。
もっとすごくてもいいけど(笑)


悪夢が終わると、その後はあっと言う間。


シシィが刺され、純白のドレスで現われる。
戸惑うシシィの後方に、トートが静かに姿を現す。

千秋楽、右側ブロックだった私の席からは
その、歩いて近づいてくるトートの姿が
ちょうどシシィの目から見た姿に思えました。
(実際は角度にズレは相当あるんですが)

美しかった。救いの天使のようだった。
悪夢での姿がまるで嘘のような、
一途な愛に彩られた、その静かな佇まい。

シシィはもうトートの世界にやってきてるのに
トートの表情に余裕は全く感じられない。

あるのは、ひたすらに純粋な一途な想い。
他の場面では激しく波打っていたその想いが
今は、ただひたすらに優しく、細やかで。

両手を広げてシシィを待っている瞬間も、
その表情は変わらない。

シシィをしっかりと抱き締めて
その体に貪るようにキスして確かめる。
シシィの首筋に何度もキスをしているその姿を
私は1度もエロいと思ったことはないです。
切羽詰ったギリギリのところから溢れる仕草が
とても自然で切なく見えるからだと思う。

「私だけに」「俺だけに」と歌いあった後、
激しい、ほんの数秒間のキスを終えると
シシィはトートの腕の中でガクンと崩れ落ちる。

抜け殻になったシシィを棺に納め、
正面を向くトートの表情には微塵の甘さも無く、
愛の成就の満足感などどこにもない。

足元には痙攣しながら息絶えていくルキーニ。

この日の幕切れのトートの表情は、
強く光る目が印象に残る、不思議なものでした。
威圧的でもない。
哀しみでも、諦めでも、悟りでもない。

私が見たここ何日かに比べて強い表情でしたが
もっと前に見た、場を支配するような顔とも違う。
違う、気がする。


脳裏にトートの残像を残して、舞台に闇が訪れる。


少し遅れて、拍手。

終わった・・・・


( <2>へ続く )


コメントを投稿