三星堆玉器の古代文字

三星堆遺跡で出土され、まだ世に知られていない玉器に刻まれている未解読古代文字を紹介します。解読のヒントを求めています。

「眼」の象徴

2011-04-08 22:34:21 | 古代文明
http://en.wikipedia.org/wiki/Tell_Brak 英語 
http://www.learningsites.com/Brak/Tell-Brak_home.html

四川省広漢市の西郊、鴨子河南岸の三星村・回龍村・真武村を中心とした地域では、二十世紀二十年代の末に、大量の玉石器が発見され、脚光を浴びたことがあった。残されている南城壁に近い三星堆の地域で、レンガ工場の土取り作業中に玉・石器が見つかったことで、四川省文物考古研究所が中心となって一九八六年に発掘調査を行い、ふたつの祭祀坑が発掘され、総計800点以上の大量の青銅器など貴重なものが出土した。

その後、四川大学などによって周辺地域の数ヵ所で発掘調査も行われた。そして土器による炭素14の年代測定でいまから四八〇〇~二八五〇年前の数価が出され、しかも範囲が十二平方キロにおよぶことも判明し、三星堆文化と命名されることになった。

これによって、四川省の古名である「蜀」における古代青銅文化のレベルと芸術の特徴が明らかとなった。この地の古代文化や歴史ならびに商周時代の宗教、儀礼、さらには彫塑、冶金などの分野を研究する上で、このうえなく貴重な資料となったのである。 

これらの青銅器のなかに、異質性・独自性を持ち、これまで他の地域ではまったく見られなかった数多くのものが存在している。一番世間を驚かせたのは「縦目仮面」と呼ばれ、幅1メートル38センチ、高さ65センチという巨大な青銅仮面である。(地図と仮面の写真)いままでの青銅器の常識を超えたスケールであった。しかも、その仮面の表情の異様さ、額全体を覆う眉と目。その目玉はきわめて強調され、まぶたから巨大な筒が飛び出している。まさに、「游離する目」である。

三星堆遺跡の出土品のなかに、縦目仮面のほか、大量の「目」をかたどった青銅鋳造品の飾りや目をモチーフにした文様、図案が確認された。これらの出土品は当時の人々のなかに、「目」に対する特殊な崇拝が形成されていたことを物語っている。専門家たちが遺物の研究を通して、「目の神殿」で「目を呼び出す」儀式が行われていた、と考えている。

そもそも四川省の古名である「蜀」を表す漢字は、字の上の部分は「目」であり、下の部分はヘビあるいはムシを表している。まさに「目」を強調した形の文字である。商(殷)・周時代に属する甲骨文に刻まれた「蜀」字は、まるで巨大な目の形をした頭を持つ人間がよろめきながら歩いているようであった。当時の黄河流域の人々の、古代の蜀国に対するイメージは「目玉人間の国」とでもいうようなものだったのであろう。このようなイメージをいだいた理由は、いままで無視されてきた伝説の書『華陽国志』に由来すると指摘する専門家がいる。文献のなかには古蜀国の歴史に関する略述が見える。それによれば「蜀」という国は「縦目の王」を始祖とする王国である。

 出土品のなかで中核となる青銅器は、商(殷)・周時代のような神に供献する神聖な儀礼用の容器としてのではなく、直接神としての崇拝の対象として造形されたものであった。三星堆遺跡において、目玉が強調され、数多くの青銅器はやはりシュメールの「眼の神殿」で行われた目を呼び出す儀式と同じように使われたのだろう。


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