憲法をつくる・論じる・考えるblog

 外圧による小手先の憲法改正でもなく、今の憲法を玉条として祭り上げるのでもない、第3の道を追究するblogです。

第1章 基本権

2005-04-19 06:15:21 | オランダ王国憲法(1983年改正)
オランダ王国憲法(1983年2月17日施行)

第1章 基本権

第1条 【平等】
 オランダにいる人はみな、おなじ条件のもとでは平等にあつかわれる。宗教、信条、政治に関する意見、人種、性別、そのほかどんな理由であれ、差別はゆるされない。

第2条【市民権】
(1)だれをオランダ国民とするかは、法律で定める。
(2)外国人を受け入れたり送りかえすための規則は、法律で定める。
(3)外国人は、条約にしたがっている場合にだけ、送りかえしてよい。それに関するさらに細かい規則は、法律で定める。
(4)だれにでも、この国を去る権利がある。ただし、法律で定める例外をのぞく。

第3条【公務につく権利】
 すべてのオランダ国民は、公務に任命される権利を平等にもつ。

第4条【選挙する権利・される権利】
 すべてのオランダ国民は、代議員を選挙したり、その選挙に立候補する権利を平等にもつ。ただし、法で定める制限や例外をのぞく。

第5条【請願】
 すべての人は、役所の応対すべき部門へ、文書により請願する権利をもつ。

第6条【宗教、信条】
(1)すべての人は個人か集団かを問わず、法律のもとで責任を問われないかぎり、自分の宗教や信条を自由に表明する権利をもつ。
(2)健康をまもるため、交通整理のため、あるいは混乱をしずめたり防ぐためならば、密室以外で上の権利を行使することは、法律で規制してよい。

第7条【表現】
(1)だれも、法律のもとで責任を問われない限り、思想や意見を出版するのにあらかじめ許可を得る必要はない。
(2)ラジオとテレビに対する規制は、法律で定める。ただし、それが放送内容をあらかじめ検閲することであってはならない。
(3)だれも、法律のもとで責任を問われない限り、思想や意見を上記以外の方法で公表するのにあらかじめ許可を得る必要はない。よい習俗をまもるためならば、16歳未満の人びとに公開される演し物は、法律で規制してよい。
(4)以上のことは、商業広告には当てはまらない。

第8条【団体】
 仲間と団体をつくる権利はみとめられる。みんなの秩序のためならば、法律でこの権利を制限してよい。

第9条【集会】
(1)集会やデモ(示威行動)をおこなう権利は、法律のもとで責任を問われないかぎり、みとめられる。
(2))健康をまもるため、交通整理のため、あるいは混乱をしずめたり防ぐための制限ならば、法律で定めてよい。

第10条【プライバシー】
(1)すべての人は、法律で定める例外をのぞき、私的な世界を尊重される権利をもつ。
(2)個人の情報を記録し公開するときに、私的な世界をまもるための規則は、法律で定める。
(3)個人の情報を記録したことやその使い道をその人に知らせ、またその訂正を受けるための規則は、法律で定める。

第11条【身体の不可侵】
 すべての人は、法律で定める例外をのぞき、身体を侵されない権利をもつ。 

第12条【住居】
(1)住む人の同意なしに住居に侵入できるのは、法律が定める場合で、しかも法律によって許可された者が行なう場合にかぎる。
(2)法律で定める例外をのぞき、上記のようにして住居へ侵入する場合は、あらかじめ身分証明書を見せ、侵入する目的を知らせなければならない。
(3) 住む人には、侵入したことをなるべく早く文書で報告しなければならない。国家の安全のため、あるいは法的な訴えにもとづき住居へ侵入する場合については、法律で定めた規則にしたがい、その報告を遅らせてよい。報告そのものをしなくてよいのは、報告すること自体が、国家の安全に必ず反する場合である。

第13条【通信】
(1)通信の秘密を、侵してはならない。ただし、法律にしたがい、かつ裁判所が命じた場合をのぞく。
(2)電話や電報の秘密を、侵してはならない。ただし法律が定める場合で、法律にしたがい権限を与えられた者か、あるいはその者から許可を得た者が行なう場合をのぞく。

第14条【私有財産】
(1)私有財産を没収してよいのは、みんなのためになり、完全な補償を確約でき、かつ法律が定めた、さまざまな規準を満たしている場合にかぎる。
(2)緊急事態で、私有財産をすみやかに没収することが必要な場合は、完全な補償を確約する必要はない。
(3)政府が、みんなのために私有財産を破壊するか使えなくし、あるいは財産権の行使を制限した場合、法律にしたがい、完全に、あるいはその一部を補償させる権利が生じる。

第15条【自由】
(1)法律で定める場合をのぞき、だれの自由も奪ってはならない。
(2)裁判所の命令によらず自由を奪われている人はみな、裁判所にその釈放を求めることができる。それに対し、裁判所は法律で定める期間のうちにその人を法廷で証言させ、法に反して自由が奪われていると判断したら、ただちに釈放を命じなければならない。
(3)裁判にかけるために自由を奪われている人には、その点を考慮して適切な期間のうちに裁判を行わなければならない。
(4)法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよい権利は、使うと自由を奪った意味がなくなるものに限られる。

第16条【遡及処罰の禁止】
 どんな行為も、行なった時点での法律に反していないかぎり、処罰してはならない。

第17条【裁判を受ける権利】
 だれも、法律でその権利を認められたことについて、裁判を受けることを妨げられない。

第18条【弁護される権利】
(1)だれでも、訴訟や政府への請求を行なうために、必要な手助けを受けることができる。
(2)お金がない人も、裁判の手助けを受けられるようにするための規則は、法律で定める。

第19条【仕事】
(1)仕事の口がじゅうぶんに確保されるようはたらきかけるのは、政府の義務である。
(2)労働者の法的地位に関する規則、労働者をまもるための規則、また労働者と使用者の共同決定に関する規則は、法律で定める。
(3)すべてのオランダ国民には、自由に仕事を選ぶ権利がある。ただし、法律で定める制限や例外をのぞく。

第20条【福祉】
(1)住民の社会生活を保障し、富を配分することは、政府の義務である。
(2)社会保障を受ける資格に関する規則は、法律で定める。
(3)オランダに住むオランダ国民で、社会生活を営むことができない人には、法律で定める基準にしたがい、政府の手助けを受ける権利がある。

第21条【環境】
 国土を住むに足るものにし、環境をまもり向上させることは、政府の義務である。

第22条【健康】
(1)政府は、人びとの健康を増進するための諸策を講じる。
(2)じゅうぶんな住まいを得られるようはたらきかけるのは、政府の義務である。
(3)政府は、社会と文化の発展や、余暇活動が活発になる条件をととのえる。


第23条【教育】
(1)教育は政府の、尽きることのない課題である。
(2)教育を行なうことは、自由である。ただし政府はそれを監督し、やりかたを法律で定める教育に関しては、教育者の能力や倫理を法律にしたがって調べる。
(3)公的な教育に関する規則は、みなそれぞれの宗教や信条を尊重しながら、法律で定める。
(4)公的な普通初等教育は、政府がすべての自治体に、じゅうぶんな数の学校を置いて行なう。そうした教育の機会が与えられていれば、法律に定める範囲でそこから外れてもよい。
(5)全体またはその一部を公的なお金によって設置される学校が満たすべき要件は、私立学校における教育方針の自由を尊重しながら、法律で定める。
(6)普通初等学校に対して定める要件を満たすことで全体を公的なお金によった私立学校は、その質を公立学校と同じに保たなければならない。その要件を定めるさい、私立学校において教材の選択、および教師を選任する自由は、とくに尊重される。
(7)私立の普通初等学校には、法に定める条件を満たせば、公立学校と同じ規準にしたがい、公的なお金を割り当てる。私立の普通中等教育や高等教育へ公的なお金を割り振るための条件は、法律で定める。
(8)政府は、教育の状況を毎年、国会に報告しなければならない。

23 コメント

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日本の監獄内の無法 (もも)
2005-05-20 07:12:31
管理人様、前便は名前もタイトルも書き忘れました。

もも、の投稿です。たびたびのミスで申し訳ありません。同じ内容をコピーしましたので、前便の削除をお願いします。



>管理人殿。必要がある人が適切な医療を求めることも含まれる、ですね。

>さらにいえば、囚人の身体への権利、社会権、労働基本権などもそうで(あるべき)はないでしょうか(それを奪うことも含めて懲罰だと考えないのであれば)。



 ちゃぶす様、管理人様

 東京拘置所に冤罪で8ヶ月拘留された人から聞いた話しです。(なぜ、8ヶ月も拘留されたかというと、やっていないことをやったと言わないので、罪証隠滅の危険性があるとされたためです。)



 拘置所内では、刑務官が白衣を着て医者がやる行為をしているそうです。医師法に反することが行われいるようです。医師の資格を持った人も週に何回かは拘置所に行くそうですから、実態は知っているはずです。

 若い友人が、東京新聞が連載している憲法関連の特集に「人権のインフレ」と書かれていることに、納得すると言いました。

 みんなが「人権、人権」と主張すると、人権だらけになって社会が成り立たない、といった言い方です。



 友人には、「人権は権利」か「人権は義務」か、ということを、日本の憲法と世界人権宣言を比較して、提起してみました。



 新聞、マスメディアは「人権のインフレ」などといった冗句を書く前に、法務省をはじめとした霞ヶ関・闇社会を取材すべきだと思います。



 スイス憲法や国際人道宣言(ユネスコ)にある、マスメディアの役割についての条文は、日本の現状を反省するなら基本権に入れたほうがいいかな、と思いました。
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共同決定 (ちゃぷす)
2005-05-20 00:26:28
管理人殿。

>たしかアイスランドでは、刑務所も週休2日で囚人は週末は家に帰るのだそうですが。

なんと...(ショックのあまり沈黙)。先日ある会合で、「もし日本語を話す別の国が隣にあったら、国のあり方の違いを考え省みることができたかもしれない」との発言があり、蝦夷共和国を思いました。

もも様。3歳児(孫)を育てている人が「最近の『たまごっち』は不倫とかの言葉を子どもに教える」と嘆いていました。このことと公を結びつけて考えてみます。
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共同決定 (もも)
2005-05-19 11:38:32
管理人様

 ドイツの資料、ありがとうございます。



管理人様、ちゃぶす様

 「共同決定」という視点に、遅ればせながら(と申しますのは、オランダ憲法翻訳には野良猫ジャーナルで接していながら、という意味で)気づき、スイス等の憲法をこの視点から、見直しています。



「官僚主権」を根拠づけていると読める「日本国憲法」を作り出してきた思想。この思想にもっとも欠けていることではないか、と見通しをつけて読み直してます。

 欠けている、というよりは枢密顧問や帝国議会の議員は、忌避し消し去りたかった思想かもしれません。

 この視点を大切にした田中正造は議員を辞めることになった、のかなといま思いつきがでました。





 
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拘留されている人の自由 (管理人)
2005-05-19 08:27:34
ちゃぷす様



>管理人殿。必要がある人が適切な医療を求めることも含まれる、ですね。



 ええ。さらにいえば、囚人の身体への権利、社会権、労働基本権などもそうで(あるべき)はないでしょうか(それを奪うことも含めて懲罰だと考えないのであれば)。



 たしかアイスランドでは、刑務所も週休2日で囚人は週末は家に帰るのだそうですが。

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共同決定 (管理人)
2005-05-19 08:22:32
 狭義の「共同決定」はすでに経済学の術語で、企業の経営方針を決める話し合い(監査役会など)に、株主、経営者に加え労組代表を必ず加えなければならない、という制度です。



 ドイツの場合は共同決定法によって決められていて憲法には規定されていないようですね。ドイツ政府のサイトにかんたんな解説が載っています。



http://www.tatsachen-ueber-deutschland.de/2260.99.html



 ももさん、どうもお手数をおかけしてしまって申し訳ないです。こういうこともあるので、過日、とあるMLで己を省みて浅学だと書いたら「人を傷付ける発言だ」と責められました。でもじっさいそうなんだから仕方ないですよね。
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共同決定2 (ちゃぷす)
2005-05-19 02:03:08
異なる意見がぶつかり合い、合意を見出すことが公に近づくことであれば、公論によって電車のつり皮広告(金とハダカ)のあり方も変えることができるかもしれないと思います。
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共同決定 (ちゃぷす)
2005-05-18 20:45:53
> 共同決定したことがらは「公」に近づく可能性がありますから、安易に「公共の福祉に反する」とは言えないと思うのです。

もも様。衝撃を受けました。
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警察に拘留されている人の自由 (ちゃぷす)
2005-05-18 20:02:14
>たとえば、警察に拘留されている人からも通信の自由や言論の自由、身体の自由、プライバシーは奪ってはいけない、ということになるのだと思います。



管理人殿。必要がある人が適切な医療を求めることも含まれる、ですね。
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共同決定vs自己決定 (もも)
2005-05-17 12:41:00
第19条【仕事】

(2)労働者の法的地位に関する規則、労働者をまもるための規則、また労働者と使用者の共同決定に関する規則は、法律で定める。



 金沢大学医学部での人体実験を裁く患者遺族の訴えに、現役の金沢大学医学部医師として協力し、内部告発者として「嫌がらせ」ともいうべき仕打ちを医局の教授から受けている打出医師が、患者の自己決定権についての議論を呼びかけています。



 日本の憲法13条を拠り所のひとつとしています。

 憲法13条には、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。

 「生命、自由及び幸福追求」と「公共の福祉」が対立するかのごとき条文は、追及が個人でなされる、なすことができる、といった「自由」についての不足した視点が自覚されずに書かれているためと思えます。



 共同決定したことがらは「公」に近づく可能性がありますから、安易に「公共の福祉に反する」とは言えないと思うのです。



 日本では「自己決定」したのだから「自己責任」といった脅迫に近い言動があります。誰にでも、いつでも使われるのではなく、力の弱い者、弱い立場の人が「自己決定」したときに使われると、観察してます。



 オランダ憲法の「共同決定」(co-determination)を読み、ハッとして示唆を受けた気がしました。



 なお、管理人様は、ドイツ基本法にも保障されていると書かれていますが、探せずにおります。

 何条に書かれているのか、教えていただきたいのです。お願いします。



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第15条の4 (管理人)
2005-05-17 07:18:04
ちゃぷす様

>>「法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよい権利は、使うと自由を奪った意味がなくなるものに限られる」

>はい、これは一読して意味がわかりました。



 では本文もこれに直しておきます。



ちゃぷすもも様。

>たとえば、殺人容疑で逮捕され閉じ込められている人にどの自由をどこまで認めるか、といった状態を15条は考えているように読みます。

裁判を受けることができなくなる可能性(=所在がつかめなくなること)を避けること、具体的には移動の自由の制限と考えます。



 「国家権力の制限」という近代憲法の性格を考えると、むしろ拘留されたり懲役に服しているからといって、権力者が恣意的に自由を奪うことは許されない、という規定のように読めます。



 たとえば、警察に拘留されている人(オランダ憲法にしたがえば、制限して良いのはちゃぷす様が指摘されるように「移動の自由」くらい、ということになります)からも通信の自由や言論の自由、身体の自由、プライバシーは奪ってはいけない、ということになるのだと思います。

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第15条の4 (ちゃぷす)
2005-05-15 22:07:55
管理人殿。

>「法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよい権利は、使うと自由を奪った意味がなくなるものに限られる」

はい、これは一読して意味がわかりました。

もも様。

>たとえば、殺人容疑で逮捕され閉じ込められている人にどの自由をどこまで認めるか、といった状態を15条は考えているように読みます。

裁判を受けることができなくなる可能性(=所在がつかめなくなること)を避けること、具体的には移動の自由の制限と考えます。
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>なるほどプラス? (管理人)
2005-05-14 15:31:20
もも様



 こちらこそありがとうございます。訳を見直すきっかけになるので、今後ともご不明の点があればご質問をお願いします。



 さいきん平田オリザの「演劇入門」(講談社現代新書)を読みましたが、「日本語には会話conversationはあるが対話dialogueがなく、概念としてはっきり区別されていない」という指摘がありました。某MLでの議論の有り様なども思い返して、なるほどと思う次第です。
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なるほどプラス? (もも)
2005-05-14 09:57:05
 管理人さま



 ありがとうございます。

 宗教や信条にかかわる「自由」は、それこそ伝統や歴史(観)とかかわるので、よく思いつめてみます。



 以前にアムステルダム中央駅前広場のお土産屋さんで絵葉書をみていて、ローマカソリック、ローマ教皇に対するからかいの強烈さと広がりに噴き出しました。

 この形の「対話」が、日本にはなく、信仰の自由が「教団、宗教団体」業界拡張の自由、信者数倍増の自由になってます。

 シェア拡大です。売上げ倍増、利益減少。



 日本語訳がオランダ語に即していることは分かりました。

 妄想をたくましくします。
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第6条(1) (管理人)
2005-05-13 17:36:39
 「責任を問われない限り」は

 without prejudice to his responsibilty

 under the law

 ですから、逆のニュアンスのような気がします。



もも様、ご質問ありがとうございます。



 ここは(他の条文にも同じ表現がみられますが)、私も最初同じように考えていて、



第6条【宗教、信条】

(1)すべての人は個人か集団かを問わず、自分の宗教や信条を自由に表明する権利をもち、そのことで法的立場を損なわない。



 のように訳していましたが、意味がつながりにくいのでオランダ語原文を参照したところ、明確に「法に触れない限り」という意味だったので、こちらを採用しました。

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第六条1項は直したほうがいいか? (もも)
2005-05-13 14:18:41
オランダ王国憲法(1983年2月17日施行)



第6条【宗教、信条】

(1)すべての人は個人か集団かを問わず、法律のもとで責任を問われないかぎり、自分の宗教や信条を自由に表明する権利をもつ。



 「責任を問われない限り」は

 without prejudice to his responsibilty

 under the law

 ですから、逆のニュアンスのような気がします。

 without prejudiceは「偏見なしに」ではなく「予断ももたずに」といった感じで、予断審問や予断捜査から、宗教、信条を防御する、といった意味合いをだしたほうがいいような気がします。

 でかけますので、また考えます。

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制限してよい自由 (もも)
2005-05-12 11:23:50
ちゃぶすさん、管理人さん、Unknownさん

 ありがとうございます。

 僕が挙げた例の中で制限してよいのは、旅行だけですね。

 こう言うと、日本の常識から外れるかもしれません。しかし、韓国ではすでに刑法を改正して、弁護士が立ち会わずに作成された警察や検察の調書は無効です。だから、拷問や脅迫と甘言のくり返しによる「自白」は生じにくいのです。

 ただし、日本のように「ヤメ検」が刑事事件に弁護士として関わるという異常事態が放置されている国では、生じてしまう危険はあります。

 実例として聞いたものでは、冤罪を晴らそうとする人を押しとどめる弁護士がいて、不思議に思って調べたら、元検察官だったというのです。

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第15条(4) (管理人)
2005-05-12 06:08:15
「法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよい権利は、使うと自由を奪った意味がなくなるものに限られる」



 こっちのほうが明快ですね。
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Unknown (Unknown)
2005-05-12 06:06:38
「法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよいのは、使うと自由を奪った意味がなくなるものに限られる」



 はややマイナーチェンジです。どれがいいでしょうか。



 
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ももさんへ (管理人)
2005-05-12 05:59:19
私も旅に出ているので、ブログからご返事します。オランダ憲法の訳文は、このブログのものをお使い下さい。あ、でも15条は近日中に差し替えですね。
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第15条(4) (管理人)
2005-05-12 05:57:20
ちゃぷすさん、ももさん、投稿ありがとうございます。この条文の要旨は上のお二人の対話で尽くされていると思いますが、たしかに訳に苦労した個所でもあって、あんまりこなれた日本語にはなっていないと思います。訳し直すとすれば、



「法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよいのは、その奪った自由がなければ成り立たない諸権利に限られる」



「法律によって自由を奪った人には、基本権の行使を制限してよい。ただし制限してよいのは、その奪った自由によってはじめて可能となる諸権利に限られる」



などはどうでしょうか。
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第15条の4 (ちゃぷす)
2005-05-01 23:21:50
ももさん、ありがとうございます。

人は基本権を制限されることがない。ただし、法律によって自由を奪われた人が、法律によって自由を奪ったそのこと自体の意味がなくなるものについてのみ、基本権を制限してよい。(例えば自由に出入りできるなど)という意味と理解しました。

(4) A person who has been lawfully deprived of his liberty may be restricted in the exercise of fundamental rights in so far as the exercise of such rights is not compatible with the deprivation of liberty.
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ちゃぶす・さんへ (鏡 もも)
2005-05-01 22:01:16
はじめまして

 ちゃぶすさんの質問の主旨を充分には把握していません。

 たとえば、殺人容疑で逮捕され閉じ込められている人にどの自由をどこまで認めるか、といった状態を15条は考えているように読みます。

 まだ裁判がはじまっていない段階で、ちゃぶすさんならどうしますか。

 旅行(海外、国内)する。(移動の自由)

 検察官にとられた調書が正統なものではない、と公の場で広く知らせる。

 伴侶、恋人、愛人と閉じ込められている場所で愛し合う。

 好きなものを好きなときに食べる。

 創作活動(文章、音楽、絵画など)を行う。



 とりあえず(怠惰なことに)、原文を見ずに書いてます。犯罪を遠いものと思わないなら、近所の顔見知りが人を殺してしまって、自分が裁かなければならないところに追い込まれたら、どうしますか。

 逃がしちゃいますか。

 答えになってないのですが、誰かにまかせて答えをもらうことでもないと思います。

 

 
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第15条の4 (ちゃぷす)
2005-04-29 13:17:41
「その自由を奪った意味を失うものに限り」、という部分が、どうもわかりません。
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