ありとキリギリス

ありとキリギリスの両面性を持った内面を見つめて交流できれば

創作童話

2014-12-22 18:56:42 | 日記

九雀物語、第3話、
トキの思い切った行動に驚きながらもカイは、自分もそんな事に少しは入り込んでみたいと思いだしていました。
実際、トキとは約束をして隣村に行くことにしているのです。
約束の前の日、親と一緒に巣の中に戻ったカイは、明日のことが気になりなかなか眠れません・・・・

親に言ってからでは許してくれるはずがないから、みんなが寝ている間に黙って抜け出そうと思っています、でも親と離れて行動したことのないカイには、少し不安です。
色々と思っているうちに、トキが言っていた、カラスの連中も狙っているエサ場の事を思い出し不安を消そうとしていました。
約束の日の朝、カイは、昨日から考えていたように、親がまだ寝ている間に、気づかれない様にして巣を抜け出しました。

自分が居なくなった後、親が心配するだろうという気持ちは、トキが言っていた面白さの事で一杯になり、なくなっていました。
待ち合わせの場所に行くと、トキは、先に来ていました。
 トキ「よくきたね、もしかしたら、来ないのじゃないかなと思っていたよ」

 カイ「うん!本当は、昨日から親父のことを考えると心配になって少し眠れな
   かったんだよ」
トキ「親達も、俺らが居なくなると心配して捜すだろうけど、大丈夫さ、また   夕方に帰ればいいんだ、少し怒られるだろうけどね。」 
カイ「そうだね」
トキ「じゃあ!行くよ!」
カイ「ようし!」
昨日から色々なことが心配だったカイでしたが、トキの積極さに引っ張られて飛び出すと、そんな事を忘れて、トキが言っていた出来事の面白さに期待がふくらみ夢中になり始めていました。
トキが言っていた村の近くに着いたとき、カイは緊張でいっぱいです。
親と離れてきたこともそうですが、昔、長老たちが出くわした怖いことを思い出し、だんだん心配が膨らんできました。
 トキ「ほら、カラス達が集まってきただろう」
 カイ「うん」
 トキ「カラス達は、人間たちが食べ残した物を、あの村のはずれに集めてくる
  のがもう直ぐだと分かっているのさ」 
「人間は、カラス達が、それを取りに行くとき、エサ以外は、あちこちに   散らかすのを嫌がって何度も追い散らそうとするけど、賢いカラスは見張り役がいて、人間が近づくと、あのカーカー声を変えて知らせるのさ」
カイ「ふーん」
トキ「ほら、人間が、一杯袋みたいなのを持ってきただろう」
カイ「本当だ、ゾロゾロ来るね!」
トキ「時間が決まっているのさ」
そんな事を、二羽の小雀が緊張しながらカラスや人間の動きを見つめていると、
急に二羽の後ろから
「おい!!」と小さな声だが、押しの利いた声がしました。
こわごわ、前のほうばかり気をとられていた小雀たちは、隠れていた所から飛び出そうとするくらい驚いて、その声のするほうを振り向きました。


         第3話終了


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