ありとキリギリス

ありとキリギリスの両面性を持った内面を見つめて交流できれば

創作童話

2014-12-23 03:24:54 | 日記

創作童話「九雀物語」第10話

小雀らしい九羽の願いを聞いていた神の使い「鳳凰」はゆっくりとその輝く大きな羽を広げ、今まで語りかけていた優しい声ではなく、岩をも砕くような鋭い声を天空へ発したと思ったら、そこから大きな雲のようなものが小雀の周りを包むように舞い降りてきました。
そして、あっけにとられていた小雀の姿はなくなり美しい「孔雀」が現れました。



「鳳凰」が孔雀に語りかけます。
 「お前たちが望んでいる(孔雀)に変えてあげたよ、満足かな?」
 「この(孔雀)の姿は、お前たち九羽が気持ちを一緒にしたから
  特別に能力をもった一羽の(孔雀)になったのだ」
 「名前を(ジェイ)としよう。
  (ジェイ)は、これから私との繋がりを人間と同じような(こころ)で行うことが出来るから、わたしが見えなくても、何処からでも語りかけたら私が応えることができる。」
 「そして、先程言った(特別の能力)とは、この世の孔雀とは違い何処へでも瞬時に
移動できる力だ! その力を使うと、今お前たちが生きている世界から全く違う世界へも行くことが出来るんだよ!」

九羽の小雀から孔雀の姿に変身してもらい、新しい名前を与えられた(ジェイ)は、あまりにも不思議な出来事に驚きながらも、あこがれていた(孔雀)になったことに少なからず気持ちを高揚させて「鳳凰」に(こころ)の会話を始めます。
「ジェイ」
 「(鳳凰)さん、ありがとうございます。でもこれからはずっと(孔雀)のままなんですか? それと特別の力で行ける(違う世界)とはどんなところなんですか?」

「鳳凰」
 「(ジェイ)よ! よく聞きなさい!私が言う(違う世界)とは、お前たちが生きてきた森や川、海のあるこの場所を(地球)と人間は呼んでいる、それはお前の親たちさえ知らない大きな世界なのだ。 そしてその場所でお前たち(雀)、お前を
  護ってくれた(カラス)、力のある(鷲や鷹)なんかの空を飛ぶことの出来るものや、犬や猫・牛や馬、川や海を泳ぐ魚。 アリやこおろぎの虫の仲間。
  それに人間だ! 知らないだろうが、同じ人間でも話す言葉が違うものが何十種類以上もいるんだよ!」
 「(ジェイ)がもった能力は、そんな(地球)という星からも飛び出して(宇宙)という 
  人間でもまだ行ったことのない世界を観ることの出来る力なのだ!」
 「その力を使って、九羽の(こころ)をひとつにして冒険してきなさい!
  そして、また元の(雀)に戻りたい時は、九羽の(こころ)をひとつにして
  私に尋ねなさい! 一度だけ機会を与えてあげよう!
  わかれば、行きなさい! 困れば(キキ)が持っている方法でカラスの(ライ)を
  呼びなさい! (ライ)の本当の姿は「正しいことを行う」ため、護る役目を与えられた使者なのだから!」

動揺の気持ちを持ちながらも(鳳凰)の語り掛けに少しずつ自信を持ち始めた
(ジェイ)は、その気持ちと同じように大きく美しい羽を広げ、
大空へ視線を向けました。

新しい冒険が始まりました。

            第10話終了
  
 

  


最新の画像もっと見る

コメントを投稿