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70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

映画「ジョーカー」に思うこと

2020-02-16 17:41:28 | 愛すべき子どもたち

アメリカアカデミー賞の8部門にノミネートされ、ホアキム・フェニックスが主演男優賞を受賞した映画「ジョーカー」は、社会的養護の関係者は必見の作品である。

映画では、後にバットマンの宿敵となるジョーカーは、両親不明の捨て子だったが精神疾患も持つ独身女性に養子として引き取られ、アーサーと名ずけられる。しかし幼児期に母のボーイフレンドに虐待され脳に損傷を負ってしまう。そしてそれが原因で、極度に緊張したり或いはストレスや感情的になった場面で言葉を発しようとすると、不気味な声で笑ってしまうという障害を引きずって生きてゆくことになる。

彼は自分の生い立ちも知らずに、コメディアンになることを夢に抱きつつ病気の母を支えながらピエロのアルバイトで生計を立てていた。しかし、その夢も彼を取り巻く人々によって砕かれてしまう。そして彼は自身に降り注ぐ様々な不条理の中で殺人を犯してしまう。彼は最終的には自らの意志というわけではなく社会に不満を持つ若者によりジョーカーとして暴力革命の教祖的な存在にされてゆくところで映画は終わる。

さて、このジョーカーと児童養護施設で暮らす子たちには多くの点で共通している。複雑な家庭環境、虐待とその精神的な影響、そしてアーサーが不気味に笑うのと同じように、自ら表現できない不条理や痛みを職員の前で負の表現や行為により表出する子どもたち。

アーサーも施設の子どもたちも、社会の圧倒的な弱者だ。適切なケアをうける権利がある。しかし映画のアーサーには適切なケアはなかった。

映画では弱者がたどる負の連鎖が描かれているが、日本の社会的養護の必要な子どもたちがアーサーのような負の連鎖に陥らないために、施設や関係者は最大限の支援を提供すべきという思いにさせられた映画作品である。

映画では、警察がジョーカーの敵になったが、さんあいの地区の駐在さんはとても親切で子どもたちの味方です。

 

 


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