70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

ユマニチュード

2018-09-14 13:43:38 | 愛すべき子どもたち

ユマニチードとは、フランスで提唱されたケアの一つで、イヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏の2人が考案したケア技法で、世界各地の介護や医療の現場で実践されており、特に認知症の人のケアに有効だと言われています。

この技法の柱は、患者や介護対象者をサービスの対象者として見るのではなく一人の人間として見つめ、「見つめる、話す、触れる」ことにより、尊厳ある人間として接することです。

日本人は、人とのコミュニケーションが得意ではない人が多いと思います。じっと目を見つめるてしっかりと話すこと、スキンシップを取ることは、多くの方々にとって大きなチャレンジではないでしょうか?

でも、弱い立場の人に寄り添うときに、この3つのことは不可欠ではないかと思います。児童福祉の現場も同じです。子どもの目線で見つめ、話すことは常に求められています。でも困難なのは、「触れる」ことです。人は不安な時に他の人に触れられると安心します。しかし、他人同士が暮らす施設では、どの程度までのスキンシップが適切かを判断することが難しい場面が沢山あります。

ただ、軽く手に触れたり、握手したり、肩や背中を叩いたりすることは、子どもたちに安心を与えます。小さい子どもたちは、布団の中で入眠する前に職員に背中をトントンしてもらうことが至極の時なのです。

大きい子たちも、自分では意識していないかもしれませんがスキンシップを求めているように感じます。施設に暮らす高校生たちをアメリカの家庭に短期間ホームステイをさせるプログラムの報告書を読んだことがあります。その中で、頻繁なスキンシップが日常的で他人との距離間が近い文化の中で短期間のうちの子どもたちはホームステイ家族と打ち解け、数日後のお別れの時は涙とハグの感動的なものだったとありました。

このような文化を羨ましいと思いますがここは日本です。アメリカの文化を施設で適応することはできません。しかし、ユマニチュードの考えは、文化の枠を超えた普遍的な部分があります。施設でも応用して子どもたちのために活用できると思います。

近くで教えてもらうと、いつもより宿題が進むね。