明け方ベッドから小用に立ってとんという柔らかな足音を耳にすることが心地好い。階段を降りにかかると足元で影のように纏わり、滑らかに少し先を進んでいき下まで降りた所で振り返り鳴き声を出す。ご飯を用意しなさいということだ。猫用食器に猫用のご飯を入れていると尻尾を絡めてくねくねしてくる。その後はご飯を食べるカリカリという音だけが部屋を満たす。
不思議なのは振り返って鳴き声を出す時必ずこちらの顔を見上げて振り返ることである。こちらの顔の何を見ているのだろう?猫科の動物は顔面に模様のあるものが多くそれは取りも直さず彼らが表情をお互いに読み取る動物だからだという説を聞いたことがあるが果たしてそうなのだろうか。犬だって顔を見ながら尻尾を振るのではないだろうか。犬の視力は良くないと聞いたことがあるが犬も猫も実はぼんやり全体を見ているだけなのだろうか。しかし目が合う感覚があってこれは人間側だけの感覚なのかどうか。
サピエンスがどれだけ変化していこうとも動物であるという出自が消えることはないだろう。それはやはり幸福なことなのだろうと思う。
医師K
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