夢にまで見た風景～2008年Jリーグ最終節、埼スタで起こった奇跡

夢にまで見た風景なんだと、ずいぶん経ってわかった。

しかも、うれしいはずのその光景は、
実際に自分が感じていたものとは、
かなり様相がちがっていた。

でも、その美しさは変わらなかった。
そしてその美しさを作り出したのは、
その場にいる人たちすべてだったと気づくまで、
ずいぶんと時間がかかった。

わたしは何もせず、何もできなく、
たたその場にたたずんでいただけ。



試合は1-6という、ここ数年では前代未聞の結果。
毎年ホーム最終節は、試合後に選手たちがスタジアムをぐるっと一周して、
サポータをはじめ、スタジアムに来てくれた人たちにあいさつをする。

こんな負け方して、果たしてどんな挨拶になるのか...
岡野とウッチー（内館）のお別れ会もあるらしけど、、
どうなるんだろう、、





たくさんの花束や紙テープはなかったけど愛があった。
突如、ゴール裏に「30」と「19」の文字が浮き出した。


そして、異例の「セイリング」。

セイリングは浦和が勝利したときのみ歌われる応援歌。
負けた試合でこの歌を聞けるなんてあり得ない。
あり得ないことが、ここ埼スタで起こった瞬間だった。





ヤマがシャレーをあげる姿、見たかったな、、

達也のゴール、見れなかった、、
闘莉王の笑顔、見れなかった、、、
みんなで勝利の瞬間を祝えなかった、、、
沸き起こる拍手もなかった、、、
ゲルトの胴上げも、、、、


ん.......？

胴上げ、あったじゃん！
確かに見てたじゃん！！！！

負けたけど、ぼろ負けしたけど、、
でもゲルト胴上げは見れたんだ。

これもサポータの、選手たちの、みんなの愛のおかけ。。





いろんなものを見て来たけど、
こんなに悲しく愛に満ちた胴上げは、
横浜フリューゲルスが天皇杯での優勝を最後に
チームがなくなるときにみた、あのとき以来かもしれない。


おつかれさま、ゲルト。
いろいろあったけど5年間ありがとう。

どんな形であれ、夢にまで見た光景のひとつは実現されたのだ。