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ファイザーとモデルナの差は?コロナワクチン副反応で知っておくべきこと

2021-07-19 16:16:15 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です

供給量に不安が残るものの、自治体や職場などで64歳以下のコロナワクチン接種が進んでいる。ワクチン接種を予定している、あるいは検討している人も多いだろう。そこで気になるのは「副反応」である。今回はファイザー、モデルナそれぞれの副反応の特徴や、現状の日本における接種状況の課題、知っておくべき世界の状況について解説する。(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
接種後の心筋炎、今後は増える!?
発症は20歳前後の男性が最頻
 海外でも報告されていた新型コロナワクチン接種後の「心筋炎」や「心膜炎」(心臓の筋肉や膜に炎症が起きるもの)について、厚労省が国内での発生状況を公表した。
 報道によれば、6月27日までの接種で、ファイザー製では約2624万人中19人(100万接種あたり0.72人)に、モデルナ製では約94万人中1人(100万接種あたり1.06人)に、心筋炎・心膜炎の症状が報告されている。うち40歳未満の男性が7人という。
 心筋炎といえば、今年3月には俳優の志尊淳さんが発症し、3週間休業したことも話題となった。仕事や学業、そして家族のためにも接種を受けたいと思っていた働き盛りの若い男性にとって、気がかりなポイントだろう。
 米国疾病対策センター(CDC) の最新の報告では、接種後の心筋炎・心膜炎は、ファイザーとモデルナおしなべて100万接種あたり12.6人に発生。いずれも10代後半~20代(最頻は20歳前後)の男性、2回目接種から2日前後(~4日)に多く見られ、男性が女性の8倍以上となっている。
 データからも分かるように国内での発生率は、現時点では米国より大幅に低くなっている。ただ今後、若者への接種が進めば、発生率は米国に近づく可能性がある。国内でこれまでに2回接種が完了しているのは、64歳以下の合計でわずか66.4万人(内閣官房、7月7日時点)。接種後に心筋炎・心膜炎を発症しやすい10~20代にいたっては、微々たるものだからだ。
 それでも、ワクチン接種を受けるメリットを脅かすことにはならないだろう。米国CDCによれば、6月11日までに心筋炎や心膜炎の症状が確認された患者323人のうち、309人が入院後すでに退院しており、9人が入院中、14人は入院もしていなかった。
 国内で接種後に胸の痛みや呼吸困難、脈拍の乱れを感じた場合は、すぐに受診していただきたい。接種後に発症した場合にも、迅速に適切な治療を受けられれば、大事には至らずに済むはずだ。
接種後に起こる副反応
ファイザーとモデルナで差はあるのか?
 徐々に国内の世代の接種も進みつつある中で、「ファイザーとモデルナの違いが気になる」という声も聞く。
 両方とも同じmRNAワクチンだ。どちらも発症と感染をそれぞれ90%以上予防し※、さまざまな変異株でも有効性が確認されつつある。心筋炎を含む安全性も、世界保健機関(WHO)の国際諮問委員会(GACVS)のお墨付きだ。
※2回接種の場合。1回接種でもある程度免疫はつくが、『Nature』誌によれば、インドから広まったデルタ株では2回完了しないと効果が期待できない。遅れてでも2回目の接種を受けてほしい。
 副反応に関しては、どちらのワクチンでも重篤なものは非常にまれだが、細かく見れば頻度に多少の違いはある。
 心筋炎・心膜炎だと、米国ではモデルナ接種者の方が高率で発生している。2回目接種後、ファイザーは100万接種当たり8人、モデルナは19.8人だ。国内でも、発生頻度はモデルナがやや高い。
 さらに、「モデルナ・アーム」という症状を聞いたことがあるかもしれない。モデルナ製ワクチンでまれに、接種部位の腫れがやや長びくものだ。接種から1週間以上たって腫れてきて、多くは4~5日(長いと3週間)で自然に治まる。
 およそ1万5000人に接種が行われた臨床試験(プラセボを含めると参加者3万人超)では、初回接種後に244人、2回目接種後に68人にモデルナ・アームが認められた。他の報告を複数見ても圧倒的に女性に多いが、入院が必要なほどの症例はない。
他方、アナフィラキシーの発生率はファイザーが上回る。
 アナフィラキシーは、mRNAワクチンに含まれる成分への強いアレルギー反応で、接種後15分前後で全身のかゆみ、じんましん、動悸(どうき)や血圧低下などが表れる。米国では、ファイザーは100万接種当たり11.1例、モデルナでは2.5例と、約4倍の差が見られた。
 国内では、メーカーおよび医療機関からの報告を厚労省の審議会が評価したところ(7月7日)、ファイザーは100万接種に7件、モデルナは100万接種に1件の割合だった。
 接種にあたっては、過去に薬物アレルギーの経験がある人は当日、医師に伝えてほしい。また、万が一の場合も応急処置の準備はあり、念のために救急車で病院に行くとしても命に関わることはない。
 上記のようにファイザーとモデルナで起こる副反応の症状や、発生率に多少の違いはあるものの、いずれも重篤な症状はまれであることに変わりはなく、接種に際してそれぞれの差は懸念されるべきことではないといえるだろう。
副反応は大なり小なり出るもの
市販の頭痛薬でしのげる
 ただし大前提として、万人に対し副反応ゼロということはあり得ない。体に異物を入れる以上、それを排除しようとする免疫システム発動の結果が副反応だから、ごく軽微なものは想定しておく必要がある。
 初回接種では、接種した部位辺りが筋肉痛のように痛んだり腫れたりする「局所反応」が中心となる。2回目になるとそれに加え、発熱、頭痛、倦怠(けんたい)感(だるさ)、筋肉痛、関節痛、吐き気、寒気など、「全身症状」が強く出がちだ。
 米国CDCの調査によれば、ファイザーもしくはモデルナの接種後、頭痛や倦怠感の訴えが初回接種で4割前後、2回目では6割前後に上った。発熱は、初回だと数~5%程度だが、2回目では2~3割に見られた。
 こうした症状の多くは接種当日の夜から始まり、たいてい24時間以内には症状は峠を越し、長くても2~3日で治まる。もしつらい場合も、自宅にある市販の解熱鎮痛剤で十分やわらぐ。タイレノール、イブ、ロキソニン、バファリン、ノーシン…などなど、何でも大丈夫。「アセトアミノフェン」に殺到する必要はない。
 初回接種後にこうした全身症状が強く出た人は、念のため2回目接種の翌日の仕事は前もって負担を減らしておくか、可能であれば休みが取れれば安心だ。
 ちなみに、接種後に立ちくらみや失神などが起きる場合があるが、通常、これはワクチンの“副反応”ではない。「血管迷走神経反射」と呼ばれ、注射の痛みや緊張、不安などが相まって自律神経のバランスが崩れ、急激な血圧低下の結果生じたものである。
 接種前に不安を取り除き、少々の痛みや副反応は甘受するつもりで(個人差も大きいが)、穏やかな気持ちで接種に臨むことで、そうした“有害事象”リスクの回避につながる。
 なお、新型コロナワクチンで「不妊になる」「ワクチンのmRNAが細胞のDNAに組み込まれる」といった怪しげなうわさがあるようだが、全くのデマなので安心していただきたい。
接種失速……1日100万回に届かず
供給不足の中、明暗を分けたものとは?
 7月13日時点で、日本の接種数は100人あたり45.3回(米国は99.7回、英国は118.3回)で、OECD38カ国中の下から6番目。南米やアジアの平均を下回っており、途上国レベルである(Our World in Dataから)。
 しかも、東京オリンピック・パラリンピック開幕まであと1週間だというのに、接種回数は失速しつつある。
 先月24日には菅首相が掲げた「1日100万回」の目標達成が発表されたものの、7月に入ってからは1日当たり接種回数が100万回に届かない日が多数。このところは加速度的な減少傾向となっている(内閣官房のデータから)。
 大きな原因は供給不足だ。政府は6月23日、自治体向けファイザー製ワクチンおよび大規模集団・職域接種向けモデルナ製ワクチンの供給不足と受け付け停止を明らかにした。その直前21日に職域接種も始まり、わが国でもいよいよ接種加速かと思われた矢先、水を差された格好だ。
 多くの自治体が供給への不安を抱え、職域接種は見通しが立たないまま断念するところも出てきた。そうかと思えば、予定通り接種を受けられる人たちもいる。両者の明暗を分けたのは、各自治体あるいは企業の初動の早さと見込みの差だ。
 ナビタスクリニックの医師やスタッフは、集団接種や職域接種のお手伝いをしている。その中で私自身、組織によって接種体制に大きな格差があることを目の当たりにしてきた。
 集団接種は、自治体ごとのばらつきが見過ごせないほどに大きい印象だ。無理もない。自治体の組織は基本的に、降って湧いたような大規模プロジェクトを短期に組み立てて遂行するようにはできていないからだ。ノウハウも人材も足りない中、手探りから始めたのではどうしても限界がある。
 それでも、運営や現場レベルでリーダーシップを執る人物を獲得できた自治体では、すでに未成年者への接種が進んでいるところもある。
 職域接種では、企業の組織力が顕著に表れた。率直に言えば、トップから末端までの伝達系統がしっかりしている組織は、意思決定が早く、動きも迅速だ。そこがしっかりしている企業での職域接種は、運営や進行も非常にスムーズだった。
 要するに、どこに住んでいるか、どの会社に勤めているかで、ワクチン接種へのアクセスのしやすさが決まってしまうのが、日本のコロナワクチン行政なのだ。
ファイザー、モデルナの信頼性は高い
誤った知識からの「接種忌避」には危機感
 ただ、世界全体に目を向ければ、日本で接種を受けられることがいかに恵まれているか、お分かりいただけると思う。
 世界では今日までに全人口の約25%が少なくとも1回接種を受けているが、低所得国ではわずか1%にとどまる(Our World in Data、7月13日確認)。しかも、高い有効性と安全性が認められているファイザーとモデルナ、必ずそのどちらかのワクチンの接種を受けられる国はかなり限られている。
 英国はモデルナとアストラゼネカの割合が半々で、人口6665万人に対し1億回分ずつ確保されている。米国ではファイザーとモデルナが圧倒的だが、ジョンソンエンドジョンソンの接種も行われている。欧州連合(EU)では契約数ベースでファイザーが24億回分、その下にモデルナ、アストラゼネカ、ジョンソンエンドジョンソンが約4億回分ずつで並んでいる(日本貿易振興機構)。
 アジアやアフリカでは状況はさらに違う。中国のシノバックやシノファーム、ロシアのスプートニクVが、「ワクチン外交」としてばらまかれているためだ。
 ただ、中国製ワクチンの有効性は揺らいでいる。インドネシアでは接種完了者の間で感染が拡大し、シノバックの接種を受けた医療従事者が6月以降、130人以上死亡。ロシアでも、自国ワクチンの安全性が疑問視されて接種率が上がらないため、多くの地域で接種を義務化せざるを得なかった。
 それらに比べれば、ファイザーやモデルナの信頼性は群を抜いている。先の通り重い副反応もごくまれで優劣はつけがたいし、健康な人なら接種を躊躇(ちゅうちょ)する理由にはならない。これは、日頃からさまざまな予防接種を積極的に行っている一臨床医としての実感でもある。
 自分や大切な人の健康と命を守る一人ひとりのアクションが、経済や生活を守ることにもつながる。他方、誤った知識や漠然とした不安からの「接種忌避」の増加には、危機感すら覚える。正しい知識の下、ぜひせっかくのチャンスをふいにせず、きっちり接種を受けていただきたい。
(監修/ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
◎久住英二(くすみ・えいじ)
ナビタスクリニック理事長、内科医師。専門は血液専門医、



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