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迫る介護「2025年問題」、私たちに必要なリテラシーとは?

2021-04-28 13:30:00 | 日記

下記の記事は日経ビジネスオンラインからの借用(コピー)です

ポイント1 介護は「家族がやるべき」恩返し?
まっつ
社内コンサルタント見習い
 介護は家族だから我慢してやるのです。それは子供を育てるのと似ています。子供は手がかかるけど我慢して育てます。介護はこれまで親が自分を育ててくれたので「恩返し」として頑張るものです

「介護」と「育児」の本質的な違い
 まっつさんのコメントにもあるように、「介護」という言葉を聞くと、多くの方は、真っ先に家族の方が頑張って身内の高齢者ケアをするイメージを思い浮かべると思います。
 実際、企業側の両立支援策について考えてみても、「介護」と「育児」は同列に語られることが多いですね。
 確かに、両方とも「原則として家族がやるもの」という暗黙のコンセンサスがあることは事実だと思います。ただ、「育児」と比較すると、「介護」はあらゆる意味で「家族だけで行う」ことは格段に難しい、ということを、改めて理解しておく必要があるように思います。違いは以下です。
    * 「育児」はいつ始まるかが分かり、いつ終わるかもだいたい想像がつくが、「介護」は始まりも終わりも見通しがつきにくい。
    * 「育児」は、ケアする側が自分が育てられた経験を持つが、「介護」については、ケアする側は自分が「介護」された経験がゼロである(経験値も情報量も少ない)
    * 「育児」は子供の成長支援という「前向き」な側面があるが、「介護」についてはむしろ状況が好転せず悪化していくことも多い(親族であればあるほど心理負担は大きい)
    * 「育児」はまだ自我が完全に確立していない乳幼児のケア、「介護」は自我が相当に確立して人生経験もある大人のケアであり、本人意志とのすり合わせ難易度は介護のほうが高い
    * 「育児」と違い「介護」は、「既往病歴に対する医学的見地や老年医学の専門性」と切り離せないことが多い
 つまり、いつ始まるか、いつ終わるか分からない介護を、本質的に「プロ」でもなく「経験値」もなく、「関係性の観点から心理負担を持ちやすい」家族だけで抱えるのは、育児と比較しても圧倒的に難しい構造にあるのです。
病気の対応は「医者」、対人トラブルは「法律家」、介護は?
 最近、介護のプロや在宅医療を専門にしている医療関係者と話をすることが多いのですが、口をそろえて、「高齢者ケアはなるべく早くプロに相談し、任せることは任せ、ご家族にはご家族にしかできないことをやっていただくのがよい」とおっしゃいます。
 ちなみにこれは、「とにかく早く施設に入りましょう」という意味では決してありません。「早いタイミングで相談してもらえれば、プロとしての専門性と情報リソースをフル稼働させて、ご家族と共に体制を組み立てられる。物理的なケアについても我々は専門家だし慣れているので、ぜひ頼ってほしい」という趣旨だそうです。
 ここで、私にとって印象に残っている、介護業界20年以上のベテランの言葉をご紹介させてください。
 「介護」とは、一人ひとりの人の人生と生活を、心身ともに支援する仕事です。
> 当然、目の前の方がどんな方で、今どんな状態かによって、使う言葉も、支援のアプローチも、必要なケアのパターンも異なりますから、適時適切なケアをするためにはかなりの専門性と経験が必要です。
> 皆さんは、病気かなと思えば「医者」に相談するし、対人トラブルが起きたら「法律の専門家」に相談しますよね。素人考えで判断するより専門家に頼ったほうがいい、と思っているからです。実は介護も全く同じです。私たちには何十人、何百人、何千人という高齢者の方々のケアをしてきている経験と専門家としての知識があります。ご本人とご家族のその後の「生活の質」を担保するためにも、「家族でなんとかしなければ」と思わずに、早めにプロに相談して頂きたいです。
ポイント2 「プロに頼る=施設に入れる=お金が必要」or「自宅で家族が頑張る」?
 私たちは「介護をプロに頼る」というと「お金で解決=高額施設入居」か、「家族が頑張る在宅介護」かという図式をついつい思い浮かべてしまいがちですが、実際には必ずしもそういうことではありません。
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老いに備える「エイジングリテラシー」講座
「人生100年時代」と言われる中、高齢の親、そして自分自身の「老い」とどのように向き合っていった…
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公的制度、自治体・民間サービスの「選択肢」は格段に増えている
 介護保険という公的制度を活用すれば、自宅への介護ヘルパー派遣や、日々送迎つきで食事や入浴のケアをしてもらえる「デイサービス」の利用、定期的に専門家が訪問し、必要な介護サービスをアレンジしてくれる「ケアマネージャー」活用など、それなりに充実した専門職のサポートを1~2割の自己負担で得ることができます。
 最近では、施設的な側面と在宅的な側面を組み合わせ、通いも泊まりも在宅支援も可能な、月額定額で利用できる「小規模多機能型施設」も増えてきています。
 実際の数字をみても、介護中の高齢者で「施設」入居中の方は全体の約3割。7割の方は「在宅」で過ごされており、独居の方や身寄りのない方も、こうした「公的な地域包括支援」の枠組みを活用することで、プロの支援を受けながら暮らしておられます。
 さらに、介護保険の枠外でも、各自治体が自主的に提供している高齢者生活支援サービスも最近は充実していますし、配食・家事代行・見守り等の民間サービスまで含めると、活用できる選択肢は広がってきているといえるでしょう。
 最近ではコロナの影響もあってオンライン診療や在宅医療も浸透し、広がりつつありますから、これまでどうしても家族がやらなければならなかった「病院への付き添い」についても、ご家族の負担軽減ができる可能性が見えています。
 「団塊ジュニア」が「団塊」を介護する2025年問題を解決するためには、重要になってくるのは次の2点です。私たち一人ひとりが、「実はたくさんの選択肢がある」ことを知って、適時適切にそれらを活用できる力を持つこと。もう1点が、そういうリテラシーを一人ひとりが身につけられるよう、個人の自助努力に頼るのではなく、組織的・社会的な仕掛けが再定義されていくことです。
ポイント3 「3つのパラダイムシフト」と「企業」が果たせる役割

ダメおやじ
痴呆公務員
 脳梗塞でもない限り、認知状態の低下、老化はゆっくり進む。だからなかなか気が付かない。
 それに日本人ならではかもしれないが、認知症になること、家族に該当者がいることを恥ずかしいと思う方が多い。だから隠そうとするし、聞いても「まだまだ大丈夫」。
 もう介護認定受けられる状態になっているにもかかわらず、地域包括支援センターのケアマネにも相談していないケースが多くいる。とにかく些細なことでも相談することをお勧めする。窓口だってある。経験からのアドバイスです。

 どういう状況であればどんな公的サービスを受けられるのか、ご本人やご家族の相談に乗ってくれて、要介護申請が下りれば専門家としての経験値と豊富な情報をもってプランを組み立て、サービスを手配してくれるのは、介護のプロ、ケアマネージャーです。各自治体に必ず存在する「地域包括支援センター」に駐在しています。
 しかしながら、ダメおやじさんがおっしゃる通り、「本人が他人を家に入れたがらない」「本人が要介護申請をしたがらない」などの理由で、プロに頼るタイミングが遅くなり、本来なら回避できた負担を抱え込んでしまったり、たとえプロに一部頼れたとしても、心情として「家族が頑張る」前提で体制を組んでしまったりするケースも少なくないようです。
 実際は、そういった家族の事情も含め、介護のプロに早めに相談すれば、豊富な経験をもとに、解決策を考え、実行してくれる場合が多いにかかわらず、です。
 以上を踏まえると、誰もが仕事と介護をアタリマエに両立できる世界になるためには、以下の3つのパラダイムシフトが組織社会単位で起きていくことが、大きな鍵になるような気がしています。
    1. 「どういう状況になったらどうプロに頼るべきか」を知るリテラシー教育を、介護に直面する前の従業員に企業が徹底的に行う

 高齢者のケアは、早期かつ適切な初動ができるだけで、ご本人の生活の質は上がり、ご家族の将来負担は大きく下がりますが、多くのビジネスパーソンはその適切な相場観を持ち合わせていません。「個人が自力で努力する」だけでは、この溝は簡単には埋まりません。
 一気に多くの人のリテラシーを上げるためには、介護に直面する前の従業員に対して、企業側がリテラシー教育を加速することが鍵になるように思います。

    2. 「普通に仕事しながら介護をすることは可能である」という共通認識のもとで、様々な両立支援策を再設計する

 法的に義務付けられている「仕事と介護の両立」支援の多くは、介護休暇や介護休業、時短勤務など、「従業員が休んで家族を介護できる制度」が中核を占めています。
 でも、今後は「なるべく休まず、これまで通り仕事しながら両立する方法論・選択肢がある」という前提に企業側が立ち、従業員に対する実践的なノウハウ・情報支援を格段に強化していく必要があると思います。

    3. もろもろの心理・物理ハードルをなくし、誰もが「気軽に(または自動的に)プロに頼る」仕掛けを、企業単位で創っていく

AMUS
社会福祉法人 役員
 地域における相談は地域包括支援センターが担っており、地域に限定されています。そのため、地域の違う社員の方の相談は自分で自分や親の住む地域にある相談サービス(地域包括やケアマネ)とやり取りしなくてはならない状況です。この様に本来気軽に相談できる仕組みが必要な入口のところで、ハードルが高くなってしまっています。これを解消していけるように、企業内ケアマネ(介護コーディネート)や本人に代わって地域の包括支援センターやケアマネとやり取りを代行できる仕組みを企業単位で作って行く必要があるのではないでしょうか?

みの
 健康・健常なうちに、介護に関する希望を行政がヒアリングして、想定される介護メニューのマスタープランを構築しておくぐらいの「転ばぬ先の杖」を用意できる行政だと安心だと思います。
 AMUSさんがおっしゃるように、今後は企業単位で介護サービスの相談やコーディネートの仕掛けも必要になってくるように思います。
 また、みのさんご指摘の通り、「そうなったときに初めて、家族が自主的に対応する」のではなく、「健康・健常なうちに自動的にヒアリングが行われ、マスタープランが創られている」というパラダイムシフトを、企業が「両立支援プログラム」として仕掛けていく、というのも一考かもしれません。
 団塊ジュニアが団塊を介護する2025年問題は、もう目前に迫っています。その解決を、個人個人の努力に依存するのは、もはや限界だと言わざるを得ないと思います。
 特に、これまでこの課題に本格的に介入してこなかった「企業組織」が、サステナビリティー経営、ダイバーシティー推進、そして従業員ウェルビーイング強化の観点から、どのような役割を果たしていくか。今、その大きな分岐点に私たちは立っているような気がしています。



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