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「延命治療を希望されますか?」電話で迫られた選択…母とは会えないまま

2021-08-10 13:30:00 | 日記

下記の記事はヨミドクターオンラインからの借用(コピー)です

病院・施設で家族が陽性… 顔見ぬまま治療考える
「面会禁止」を伝える都内の病院のポスター
 コロナ禍で病院や施設の「面会制限」が続く。情報の共有や十分なコミュニケーションなどケアの根幹が揺らぎ、患者や家族、医療や介護の担い手をそれぞれに追い込んでいる。現場の実情や課題を3回にわたって考える。
軽視された尊厳
母の意思を確かめるため、ジュンさんが送った手紙の一部(画像は加工しています))
 面会制限下での家族対応は、病院や施設によって異なる。それが、治療や療養場所の選択などの意思決定に大きく影響する。
 1月末、東京都に2回目の緊急事態宣言が出された頃。ジュンさん(58)の82歳の母は、都内の特別養護老人ホームで発熱し、約300床の病院に移った。
 PCR検査の結果は、陽性。翌日午前、突然、若い医師から電話があった。
 「延命治療を希望されますか?」「人工呼吸器の台数が限られ、希望されない方には使用しません」「 看取みと りの時に立ち会うことはできません」
 受話器を置いて、ジュンさんはへたり込んだ。昨年3月以来、面会できていない。延命治療について、車椅子の母と言葉を交わしてもいない。恐怖がジュンさんを襲った。
 幸い母は悪化せず、10日後に特養に戻った。数十人規模のクラスター(感染集団)が発生し、死者も出ていたことが、後になって分かった。情報公開について保健所や行政に尋ねると、「判断は施設に任せています」。
 母も施設に不信感がある。ここに残してよいのか。相談したくても、面会禁止は解除されず、会うすべがない。返信用の封筒を入れ、ジュンさんは母に手紙を送った。
 <面会もできない今、意思を確認する方法がありません。印をつけて手紙を送って下さい>。<他の施設へ移りたい>の欄に○印のある手紙が届いた。
 ジュンさんは思った。病院と施設に抱いた感情は怒りではない。会うことさえできないなかで、母の「尊厳」が大切に扱われなかったことへの 哀かな しみなのだと。
献身的な対応も
 東京都中野区のマサコさん(60)は昨年12月、夫(60)の治療を巡り、決断を迫られた。
 夫は糖尿病の悪化で人工透析をしていた。発熱し、虎の門病院(東京都港区)で陽性と判明。入院5日後に急変した。担当医から電話があった。「口から器具を入れて人工呼吸器につなぐ必要がありますが、本人が嫌がっています」
 夫の意識はすでに 朦朧もうろう としているという。しかし、医師の説明は詳細かつ丁寧で、他の選択肢がないことが納得できた。スマートフォンで「お願いしたからね」と本人に伝えた。返事は聞き取れなかった。
 驚いたことにマサコさんも陽性だと分かり、3週間の自宅待機を強いられた。面会どころか、病院を訪ねて医師から夫の病状を聞くこともできない。
 その間、夫は気管を切開し、人工呼吸器を着け直した。外せなくなるリスクもあった。それでもマサコさんが迷わなかったのは、次の担当医の対応も献身的で、心から信頼できたからだ。
 担当医の電話は、12月中だけで計16回に及んだ。午後7時以降で、未明にも数回。「伝えなければならないことを補っただけ」と、担当医は言う。面会できない分、家族は詳しく状況を尋ねてくる。病院内で行う説明も、3分で済んだ話が30分かかる。時間外と土日にそれをこなすという。
 夫は回復した。「誰よりも私が救われた」と、マサコさんは感じた。
入院か、在宅か 判断に影響
藤田愛さん
 現場の医療者たちも苦悩している。北須磨訪問看護・リハビリセンター(神戸市)所長の藤田愛さん(55)はこの1年、家族の同じ言葉に接してきた。
 「入院したらもう会えない。本人も私も悲しい。もう少しだけ家で頑張ってみます」「介護は限界だけど、今日が最期の別れになるのは耐えられない」……。
 昨年4月から8月の利用者283人の意思決定について、面会制限の影響を調べた。がんや呼吸不全などで人生の最終段階を過ごす場所の選択や、治療の重要な決定を迫られている人が約5人に1人の63人おり、このうち41人(全体の14%)の判断に影響があった。
 41人の内訳は、▽「緩和ケア病棟への入院か在宅看取りかの選択」51%▽「入院治療か在宅療養かの選択」24%▽「予定していた施設入所を 躊躇ちゅうちょ か取りやめ」17%▽「必要な入院治療を拒むと決めた」10%――の順。
 藤田さんは、病院勤務の看護師10人のグループインタビューで、現場が直面している面会制限の課題も浮かび上がらせている。
 「会えない状況を踏まえた意思決定支援と、病院看護師とのさらなる連携が不可欠」と指摘した。



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