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「小室さん問題」は女性皇族の悩みの表れ 女性皇族の位置づけと敷かれたレールの問題点

2021-05-19 11:00:00 | 日記

下記の記事はAERAdotからの借用(コピー)です


安定的な皇位継承を議論する政府の有識者会議が、3月23日からスタートした。女性天皇や女性宮家について話し合われ、政府は年内をめどに論点を整理する方針だ。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号から。

*  *  *
 安定的な皇位継承策に関する有識者会議の主な論点

・天皇、皇族の役割や活動
・皇族数の減少についての意見
・男系男子のみが皇位を継ぎ、女性皇族は婚姻に伴い皇族を離れる現行制度の意義
・女性皇族に皇位継承資格を認めること、女系に拡大することについての考え
・女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する、あるいは皇室の活動を支援することへの意見
・皇統に属する男系男子を皇族と養子縁組することを可能にすること、あるいは現在の皇族と別に新たに皇族にすることについての意見

 秋篠宮家の長女眞子さまとの婚約が内定している小室圭さんを抜きに皇室のことは考えにくい。はっきり書くなら、小室さんのことを考える時しか皇室のことを思わない。そんな昨今だ。

 が、こう考えるとどうだろう。

「女性皇族たちは、濃淡はありながらも自分たちという存在について悩んでいる。それをまざまざと見せられているのが小室さんという存在で、彼女たちの悩みを受け取め、どう解消していったらよいか、国民の側も考える必要があると思います」

 名古屋大学准教授の河西秀哉さん(歴史学)に「安定的な皇位継承のあり方を議論する有識者会議」について尋ねた時の発言だ。詳しく説明する前に、まずはこの会議について。

 3月下旬にスタートし、正式名称は「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」。2019年施行の「皇室典範特例法」の附帯決議が「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について」速やかに検討し、結果を国会に報告せよ、と政府に求めた。その宿題を果たすための会議で、座長は前慶応義塾塾長の清家篤さん。千葉商科大学教授の宮崎緑さんや、女優で作家の中江有里さんら男女3人ずつ計6人のメンバーからなる。

■皇族は曖昧な存在

 会議に示された検討課題は10項目あるが、上の表に示した通り「女性、女系天皇」「女性宮家」など女性皇族の位置付けが主たるテーマになる。そこで気になるのが「女性皇族」の扱いで、「女性活躍社会」のようにならないか、と危惧している。

 女性活躍と言いながら女性は人手不足対策の駒で、実は女性不在。それと同じように、皇室の人手不足対策としての「女性皇族活躍社会」になるのではと思うのは、一つには昨年11月に急浮上した「皇女制度」がある。結婚した女性皇族に「皇女」という呼称を与え、公務員のような立場で公務を続けてもらうというが、「結婚退職→パート労働の義務化」ではないかと思う。

 こんなものを検討してしまう政府だから、有識者会議にはぜひ女性皇族のことをきちんと考えてほしい。本当の意味での「女性皇族活躍社会」の道を見つけるべく話を聞いたのが、最初に紹介した河西さん。「女性皇族に限らず、皇族はそもそも曖昧(あいまい)な存在です。何をするのかは皇室典範にも書かれていません」という話から入った。

 確かに皇室典範第2章「皇族」が定めているのは、誰を皇族とし、どう呼ぶか、どういう時に身分を離れるかだけ。「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」は12条の規定だ。

「女性皇族は、20歳で成人し、二十数歳で結婚する。それまで、つなぎで公務をしてくれればいい。そんな存在でした。でも今の時代、それでは当事者は人生への期待感を持てないですよね」と河西さん。例えば眞子さまは二つの「総裁」職に就いているが、佳子さまは就いていない。「女性皇族に敷かれたレールに反発があるから、就かないのだと思います」

■小室問題は悩みの表れ

 淡々と公務をこなしているように見える眞子さまだが、自分という存在に悩まなかったはずがない。そこに現れたのが小室さんだとすれば、「小室さん問題」は女性皇族の悩みの表れ。「彼女たちの悩みを受け取め、どう解消していったらよいか」国民も考える必要がある。冒頭近くの言葉は、この文脈で語られたものだ。

 前提として河西さんが指摘したのは、拡大した象徴天皇の仕事をどうするのか、それを先に話すべきだということ。平成の時代、天皇は皇后とともに仕事を広げ、それが国民の敬愛につながった。だが、人手が減るこれからも続けていくのか。それを話さず、女性皇族の活用を議論するのは本末転倒だ、と。

「眞子さんと佳子さんは20代、愛子さんも今年20歳になります。だからとにかく彼女たちの位置付けをということで、『宮家』の検討に収斂する可能性はあると思います。ですが、退位を強くにじませた16年の『おことば』で、当時の天皇は象徴の役割、仕事について考えを述べた。それに対し、国民の側はどう応えるのか。そこから議論するのが本来だと思います」

 次に憲法の話になった。天皇制維持のために「皇位は、世襲のもの」と定めた第1章と、「基本的人権」視点で貫かれた第2章以降。そのずれが「皇室という苦しみ」の根本にある。だから、「制度そのものがなくなれば、矛盾は解消します。でも日本を統合していたものの一つをなくしていいのかというと、なかなか答えが出ない」と河西さん。でも、と言ってこう続けた。

「世襲の人たち、つまり人権が制限されている人たちがいることで『統合』というものがある。国民がそう意識すると、小室さんという存在も違って見えるのではないでしょうか」

(コラムニスト・矢部万紀子)



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