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「コロナで母子入院」した中年筆者が、治療の不安を主治医と議論してみた

2021-05-03 15:30:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です

完全な巣ごもりをしていたはずなのに、同居の中年息子である筆者から新型コロナウイルスをうつされてしまった高齢の母…。「高齢母と中年息子」という母子の闘病生活は、まさに「命の危険」にも迫るもので、非常に怖いものであった。今回の「親子同時進行」というコロナ体験から浮かびあがる「コロナ治療の今」について、元大学病院広報という経歴の筆者が、退院後に主治医と議論した。(医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)
軽症でも重症化懸念
紆余曲折のコロナ闘病
 元大学病院広報の筆者(58歳)は、肥満に複数の生活習慣病を抱えるという、いわゆるメタボ(メタボリックシンドローム)であり、コロナ重症化リスクが高い。その上、高齢の母(87歳)と同居のため、家庭内感染だけはどうしても避けたかった。なので、コロナ禍の中、外出はほとんど控えていた。しかし、ある日発熱、咳(せき)、鼻水の症状が続くようになった。
 主治医のA病院B教授に連絡し、PCR検査を受けると陽性が判明。翌日、同病院に入院した。感染経路は不明だった。
 濃厚接触者の母も、既に発熱、咳、鼻水の症状があった。翌日母がPCR検査を受けると、同じく陽性が判明した。母も1日遅れで同じコロナ隔離病棟に入院する事態となった。
入院時の症状・酸素濃度・採血・胸部CT検査で私は「中等症」と診断。抗ウイルス剤「レムデシビル」の適用となった。5日間点滴投与し、症状は改善され、幸いにも10日間で退院できた。
 一方、母は「軽症」と診断。そのため、レムデシビルは適用されなかった。ところが、母の症状は数日間一向に改善されない。夜間、血中酸素濃度もときおり95%未満になる。重症化懸念が高まるが、この時点ではレムデシビルが使用できない。
 入院後1週間の経過、症状・酸素濃度・採血・胸部CT再検査で母も「中等症」と診断された。病院側がレムデシビルの使用許可を厚生労働省に申請、許可が下りた。重症化リスクもある症状が続くため10日間に延長して投与。途中からステロイドと抗生剤も併用した。ようやくゆっくりと回復し、23日間で無事に退院できた。この母子闘病の状況について、B教授とともに振り返る。
どんなに気を付けていても
外に出れば「まさかの感染」はあり得る
――本来は対面が望ましい仕事の打ち合せもオンラインにし、会食含めた不要不急の外出を控え、消毒・マスク・手洗い・うがいなど「正しく恐れる」を実践するもコロナに感染してしまいました。感染経路はまったくわかりません。これは、街にあふれている「無症状感染者」からの感染でしょうか。
B教授 「密接」「密着」「密閉」した空間だけではなく、外に出れば「まさかの感染」はあり得るのです。どんなに注意していても、同じレストランの離れたテーブルから飛沫感染した例もあります。例えば、「マスク会食」は大変ですが、自分の身を守るさらなる対策として、やむを得ないでしょうね。
 また、「変異株の感染力の高さ」が報告されています。感染の原因がはっきりわかっていない現状では、「正しく恐れる」といっても、もしある日突然感染した場合の備えは、なかなか難しいものがあります。
――母も陽性でしたが、むしろ、入院できたことは「最善の結果」と思えました。同居の私が入院した後、一人自宅で症状が悪化したらどうしようと不安に思っていましたので…。高齢の濃厚接触者が陰性であった場合、手放しで喜べないケースもあるのではないでしょうか。
B教授 ご指摘の通り、介護を伴う場合など「今後、どのように対策するか」も大きな問題です。基礎疾患をお持ちの方はもちろん、誰もが、陽性・陰性の場合を想定しておくのが良いと思います。同じ家庭内では、どうしてもトイレやキッチン、洗面台など、共通して使用している場所もあります。いかに接触を少なくするか。個室での非常食・飲料水の準備など具体的な対策が必要となると思います。
効果を実感した治療薬と
ガイドラインの現状
――母の容体が悪くなっていったとき、自分に使用しているレムデシビルを母の重症化阻止に「使ってほしい」と思いました。命に関わる高齢者には適用を見直すことはできないでしょうか。
B教授 はい。早期の利用で重症化を防げる可能性はあるかと思いますが、コロナ感染症の治療の多くに言えることですが、はっきりとしたエビデンス(科学的根拠)が少なく、治療時点での治験や臨床試験での報告があったもので、国内承認された形での使用となります。今後の報告に期待が待たれるところです。
 通常の抗生剤などと違い、レムデシビルは使用方法とその基準が決まっており、厚労省に届け出をしてから使用が可能となります。
 また副作用もありますので、「リスクとベネフィット」の関係もあります。今後また報告が出てきた場合は使用基準が変更される可能性もあるかと思います。
――レムデシビルを10日間投与しても重症化懸念が払しょくできなかったとき、制限されている投与期間を「あと5日間延長できないか」と思いました。現在の「10日間上限」には根拠があるのでしょうか。
B教授 現在のところ、10日間使用しての効果が報告されております。それ以上あるいは、それ以下での使用報告で良い結果である可能性もあるかもしれませんが、残念ながらまだ十分な報告がないのが現状かと思います。
 また、さまざまな領域のお薬が使用されて、結果が良かったとの報告がありますが、これもまだ十分な使用症例がなく、ガイドラインなどに反映されていないのが現状です。
 新型コロナウイルスの標準治療について、レムデシビル含めて、WHOや米国のガイドラインにはその治療方法に相違があります。
 現状では、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」や日本感染症学会が発表している、「COVID-19に対する薬物治療の考え方」、厚労省の発表・世界の最新の論文報告をチェックして、個々の患者の治療方針を吟味・検討する方が良いかと思います。
 もちろん、各病院での感染対策室・呼吸器感染症内科などの中心としてチーム医療の方針も大切となるかと思います。
――母はレムデシビルを投与しても、炎症反応の指標であるCRPが依然高値でした。重症化懸念とレムデシビルにすがる思いが交錯しました。途中からステロイドと抗生剤の内服を併用したのも、リスクよりも安心感が大きかったです。
B教授 CRPは必ずしもコロナ感染症の重症度や治療指標になるものではありません。しかし、お母様はレムデシビル投与3日目の血液検査でCRPが3.6に悪化していました。そのときが分水嶺、踏ん張りどころでしたので、レムデシビルを10日間投与すべく、厚労省に申請しました。まさに高齢の方は突然重症化することも多く、体内の酸素濃度が保てない場合があります。そのため同時にステロイドと抗生剤を投与しました。ステロイドはメンタル面で不穏となるリスクもありましたが、症状を抑え少しでも重症化を回避するために使用しました。
 少し難しい話になりますが、コロナ感染症の炎症の程度を測るにはさまざまな指標があります。その重症度は一般的に指標とされているCRPだけでは推し測れないものもあります。もちろん、低い数値の方が良いですが、逆に低いからといって安心できないこともあります。
 突然酸素濃度が下がる場合もあります。酸素濃度が下がっている場合にはステロイドを使用する場合が多いですが、ステロイドには副作用、特に糖尿病の患者さんは高血糖を引き起こすことが多く、血糖コントロールも問題となります。
 ステロイドの使用に関しても、いまだ多くの報告はなく、一定期間使用した場合に重症化のリスクを減らす報告があるため、使用されているかと思います。もともと使用されている患者さんもおられますので、その使用は担当医の考え方で変わることもあるのかと思います。
(監修/福島県立医科大学病態制御薬理医学講座主任教授 下村健寿)



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