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乳酸菌は生きて腸に届く? ビフィズス菌との違いは?

2021-07-11 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経グッディオンラインからの借用(コピー)です

 日本人にとって発酵食品は身近な存在だが、知っているようで知らないことが実にたくさんある。そこで今回は、「植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違いは?」「乳酸菌は生きていないと無意味なのか?」「乳酸菌とビフィズス菌の違いは?」など、「乳酸菌」に関する素朴な疑問にお答えする(第1回は「ヨーグルトと納豆、微生物が生きてる発酵食品の魅力」)。
知っているようで知らない「乳酸菌」に関する素朴な疑問について、発酵博士に聞いてみました
「動物性乳酸菌」はおぼっちゃま、「植物性乳酸菌」は野生児
ぬか漬けなどに含まれる植物乳酸菌は、胃酸にも負けずに腸に到達する
 一般的な野菜の漬物は、野菜の塩漬けに乳酸菌や酵母などが繁殖してできたものだ。野菜などの植物を発酵させる「植物性乳酸菌」は、牛乳に繁殖してヨーグルトをつくる「動物性乳酸菌」よりも強く、胃酸や胆汁酸にも負けずに腸に到達する可能性が高いという。それはなぜなのだろう?
 「植物性乳酸菌は厳しい環境でも育つからです。動物性乳酸菌は牛乳の乳糖をエサにして、30~35度に保温され、厳密に衛生管理された環境でつくられます。これは、低温だと育たず、他の菌と共生することができないから。一方、植物性乳酸菌は豊富とはいえない野菜のブドウ糖をエサに育ちます。漬物だるの中は塩分や酸が多く、しかも、寒い場所に置かれます。これは、菌にとっては過酷な環境。さらに、ヨーグルトほど衛生面は厳密に管理されないため、入り込んできたさまざまな細菌や酵母と生存競争をしながら生き延びます。動物性乳酸菌が大事に育てられたおぼっちゃまだとすると、植物性乳酸菌は過酷な環境で生き延びた野生児といえます」(東京農業大学名誉教授の小泉幸道さん)
 植物性乳酸菌は生きて腸に到達する可能性が高いため、強い整腸作用が期待できるといわれている。植物性乳酸菌は味噌や漬物などに含まれるが、現在、市販されている漬物には、生きた植物性乳酸菌が含まれているものは少ないという。
 市販の漬物は、調味料で味を付けた“発酵した漬物風”のものが多い。また、発酵させたものであっても、乳酸菌が生きたままだと味が変化してしまうため、乳酸菌を死滅させて発酵をとめてあるものも多い。もちろん、これらには生きた植物性乳酸菌は含まれない。
 「漬物から生きた乳酸菌をとりたい場合、手作りのぬか漬けやキムチがおすすめです。手づくりが難しければ、ぬか漬けは青果店の店先などで売られているものを買うといいでしょう。キムチは時間がたつと酸っぱく変化するタイプのものを選んで」(小泉さん)
菌数のピークと出荷時期が一致しないものも
 ただし、酸っぱく変化してしまったものを積極的に選べということではない。野菜が発酵した漬物は、時間がたつと酸っぱくなる。酸っぱいものほど乳酸菌が多いように思うが、「1年以上漬けたものには乳酸菌はほとんどいません」(小泉さん)。発酵が進む、つまり、乳酸菌が排出した乳酸が漬物内に多くなると、乳酸菌は自らが作りだした酸により死滅してしまうのだという。
細菌の働きによって発酵食品ができる工程は、おおまかにいうと、「菌が徐々に増える段階」「菌数がピークの段階」「菌が減る段階」の3つに分けられるという。「発酵食品には、菌数のピークと出荷時期が一致するものと、菌数のピークが過ぎたあとに熟成期間をおいてから出荷されるものがあります」(小泉さん)
 前者の代表的なものがヨーグルトや納豆だ。手作りのぬか漬けや酸っぱくなり過ぎていないキムチもそうだろう。これらからは生きた菌を摂取しやすい。一方、後者の代表的なものには味噌がある(味噌の健康効果については次回解説します)。
死んだ乳酸菌もムダにはならない
 ちなみに、前回「ヨーグルトと納豆、微生物が生きてる発酵食品の魅力」に続き、今回も主に生きた乳酸菌の話をしてきたが、「死んだ乳酸菌は役に立たないの?」と思った人もいるだろう。そこで、乳酸菌の整腸作用について説明しよう。
 「発酵食品に含まれている乳酸菌を食べると、多くは胃酸や胆汁酸で死滅します。しかし、一部が生きて腸に到達すると腸で乳酸を排出し、腸内を酸性にして悪玉菌がすみにくい環境をつくります。また、乳酸菌は生きた菌も死んだ菌も善玉菌のエサになり、善玉菌を増やします」(小泉さん)
 つまり、死んだ乳酸菌も腸内環境をよくするという点ではムダにはならないのだ。それだけではない。「乳酸菌は生きていても死んでいても、小腸の免疫組織を刺激して免疫力を高める働きが期待できます」(小泉さん)
死んだ菌も腸内環境をよくするという意味ではムダにはならない
 また、ヨーグルトにはビフィズス菌が添加されたものも多いが、これは乳酸菌とは違うのだろうか?
 「乳酸菌とビフィズス菌はいずれも乳酸や酢酸をつくるという点では似ています。違いは、ビフィズス菌は乳酸よりも酢酸を多くつくるという点。酢酸は乳酸よりも腸内を酸性にする力が強く、悪玉菌の繁殖を防ぐ力が強いのが特徴です。乳酸菌は主に小腸で働き、ビフィズス菌は主に大腸で働くため、両方とるとより高い整腸作用が期待できます」(小泉さん)
 乳酸菌について抱いていた素朴な疑問、解消できただろうか。次回は、「味噌・納豆・酢~伝統発酵食の健康効果と食べ方のコツ」をお届けする。
小泉幸道(こいずみ・ゆきみち)さん
東京農業大学名誉教授



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