「レアアース危機」に備えよ
黒川白雲氏のブログより転載
http://kurokawa-hakuun.hr-party.jp/2010/10/1014.html
ハイテク製品の製造に不可欠なレアアース(希土類)の中国からの
日本への輸出停滞が続いており、中国のレアアース禁輸措置は長期化する見込みです。
10月14日の“WALL STREET JOURNAL"紙のオピニオン「日本を襲う
レアアース・ショック」
http://jp.wsj.com/Opinions/Opinion/node_133698の記事より
一部転載致します。
大畠章宏経済産業相が12日、中国が日本企業への事実上の輸出停止
措置を継続していることを確認し、中国の威圧的な振る舞いは新たな
段階に入った。
日本政府と自由主義を標榜する国の政府は、事態の推移に驚愕し
ている。この深刻な脅威に対処するためのより良好な策を練る時期
はとうに過ぎたのだ。
資源を盾に相手に揺さぶりをかけるのは、決して新しい策略ではない。
古代ローマ軍は、相手にとって死活的に重要な物資を握る手法を採った。
米国は1941年、日本への原油と重要資源の供給を遮断。
これが真珠湾攻撃につながり、太平洋を全面的な戦争に追いやった。
中国のレアアース(希土類)の輸出停止措置は、先進社会に圧力を
かけるためのより巧妙な手段だが、やり口は同じだ。レアアースは
ネオジム、ランタン、ガドリニウムを指し、テレビのスクリーンや
ハイブリッド車のバッテリー、レーザーといった先端製品や、
軍事技術に使用される。
これらの鉱物は世界各国で発見されているが、中国が圧倒的な量を
生産・出荷している。これ以外の国が生産を停止したためだ。
一部の推計によると、世界市場での中国のシェアは97%にも上る。
皮肉なことに、日本企業はとりわけ、レアアースの輸出停止にぜい弱だ。
自らが生み出した革命的な「かんばん方式」がその理由だ。
大手企業はこれらの鉱物を貯蔵しているとは言え、供給制限は
日本経済の存続への紛れもない脅威だ。
日本経済はまだ停止していないが、いずれ動きを止める可能性がある。
中国は世界のレアアース生産量の97%を占めており、事実上の
“独占状態"にあります。そして、それを良いことに「レアアース禁輸」
を対日カードの切り札として切ってました。
中国漁船船長の釈放の官邸判断の背景には、経済界からの圧力も
あったと言われていますが、「レアアース最大の輸入国」である
日本は「資源防衛」を早急に固める必要があります。
中国のレアアース生産量は世界シェア97%ですが、レアアースの
埋蔵量自体は36%に過ぎません。中国が生産量の97%を占めて
いるのは、単純に労賃や環境基準が低く、生産価格が安いからです。
他の国々では、レアアース単独では採算が取れないため、中国の
“独占状態"を生み出して来たのです。その結果、日本の資源防衛の
弱点が生まれたのです。
“WALL STREET JOURNAL"紙は「日本とインド、米国はエネルギー
資源とレアアース型鉱物の探査・開発を強化すべきだ。それによって、
中国とロシアの影響力を抑制できる」と述べています。
早速、12日、韓国はカザフスタンとレアアース鉱山を共同開発する
ことを発表しましたが、「レアアース最大の輸入国」である日本こそ、
民主主義国家のリーダーとして、中国以外でのレアアース産出の道
を積極的に拓くべきです。
“WALL STREET JOURNAL"紙は「日本と同盟国は、今すぐ反撃の
ための行動を起こすべきだ」と結論づけています。
これまで、日本では各企業がバラバラにレアアース鉱山の開発に
取り組んできた実績はありますが、日本政府として積極的な
レアアース資源の開拓が急務です。
日本政府はレアアースやレアメタルの安定調達のため、1000億円の
追加予算措置を取り、新たな資源権益の確保や代替技術開発の
取り組みを強化するとのことですが、大切なことではありますが、
やや長期的スパンでのスキームであることは否めません。
日本政府は、政府主導で民間企業と一体となって、迅速に、
アジア各国やオーストラリア等との連携強化・資源開拓に取り
組むべきです。
; ̄ロ ̄)
、