アメリカで強まる歳出削減路線
景気の底が抜ける?
アメリカで強まる歳出削減路線 景気の底が抜ける?
2011.02.18
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1344
アメリカのオバマ大統領は1月の一般教書演説で、
「今後25年の目標は、
自動車による移動時間の半分で済むような高速鉄道を
80%の米国人が利用できるようにすることだ」と表明し、
アメリカに新幹線などの鉄道網を敷く考えを示していた。
しかしながら、共和党系の州知事が相次いで、反対の声を
挙げ始め、そのビジョンが立ち往生している。
フロリダ州知事が連邦予算を拒否。オハイオ州、
ウィスコンシン州の知事も計画を批判した。
いずれも昨年秋の中間選挙で勝利した共和党で、
オバマ政権に対して歳出削減を求めている。
JR東海がフロリダ州を含め4カ所で受注を狙っていたが、
これでアメリカへの鉄道インフラ輸出の出鼻をくじかれた格好だ。
オバマ政権と州政府の財政削減の動きを批判し続けて
いるのが、ノーベル賞の経済学者、クルーグマン氏だ。
「高失業率とデフレ時に緊縮財政をとるのは間違いだ」
「このままでは、1937年のアメリカ、1997年の日本と
同じになる」と主張している。
1937年は、ルーズベルト大統領が大恐慌後の
ニューディール政策を打ち切って、再びマイナス成長に
陥ったことを言っている。1997年は橋本政権の
財政再建路線によるデフレ不況の悪化だ。
アメリカ経済は回復基調にあるとされているが、
米政府も地方も支出カットを本格化すれば、景気の底が
抜ける可能性もある。欧州各国も緊縮財政に舵を切り、
日本も財政再建と称して消費税増税に動く。
クルーグマン教授の不安が世界的に広がっている。(織)