法人税半減と規制緩和で
日本の国際競争力を高めよ
[HRPニュースファイル346]転載
2012年7月26日
東京都が、外資を誘致する為に総合特区を始動させようとしています。
(東京都「国際戦略総合特区 アジアヘッドクォーター特区」)
昨今、日本の国際競争力の低下が非常に懸念されています。
ゆえに、この特区構想は早急に実現させるべきだと考えます。
2010年の外国企業による日本投資残高はGDP比で3.9%となっており、
先進国平均の30.8%に比べ極めて低く、「投資対象」としての
日本の地位の低さが見てとれます。
また、今年の3月に発表された『エコノミスト』誌による
都市ランキングを見ると、東京は6位という結果になっています
(1位:ニューヨーク、2位:ロンドン、3位:シンガポール、4位:香港・パリ、6位:東京)。
問題は、同じアジア経済圏のシンガポールや香港に、東京が
負けているところにあり、国際競争力の強化は差し迫った課題です。
(エコノミスト誌「Benchmarking global city competitiveness」」)
今回の計画では、都は5年間で外国企業500社を誘致する目標を掲げており、
「アジアヘッドクォーター特区」構想と名付けています。
総合特区として指定された対象区域は、六本木周辺、東京駅周辺、
日本橋周辺などの計8か所です。これらの区域に、グローバル企業の
アジアを統括する本部や研究開発拠点を誘致するというのが基本戦略です。
アジア圏のような高い成長が見込まれている市場には、全世界の
企業の注目を集めており、多くの企業が成長機会を求めてこの市場を目指しています。
一般的に、より地域に密着した方が成功の可能性が高くなると
考えられており、それぞれの企業はアジア本部や研究・開発拠点を
どこかの都市に置こうとしています。
それが「金融・経済センター」と呼ばれる中心都市となっていくため、
戦略としては理に適っています。
次に、都の提案や取組について見ると、(1)ビジネス支援、(2)生活環境整備、
(3)都市インフラ整備、(4)誘致・ビジネス交流の促進の4点が
中心となっています。
(1)ビジネス支援
入国・再入国申請審査等の規制緩和や、法人税の優遇措置です。
特に、日本の法人税率は38%と高く、外資誘致に向けて大きな関門と
なっています。(cf.シンガポール:17%、香港:16.5%)
(2)生活環境整備
外国人家族がストレスなく暮らせるためのサポート、教育、
医療等の生活インフラの確立です。最も基本的な点としては、
「英語」の問題です。
英語教育の充実は勿論必要な課題ですが、英語が普及するまで
待つわけにはいかないので、都市政策としての取組も必要です。
例えばシンガポールでは、民間デベロッパー主導で、インターナショナル
スクールを核とした街づくりがなされています。
(3)都市インフラ整備
高い防災対応力の実現や、コジェネレーションシステム等による
自立・分散型エネルギーネットワークの整備により、安定した企業活動を
保証するというものです。
(4)誘致・ビジネス交流の促進
海外への継続的な企業誘致活動や、MICE開催(会議・招待・学会・展示会)
によるビジネス交流の促進です。
例えばロンドンでは、来る五輪開催に合わせて、各国の閣僚や企業の
最高経営責任者ら約200人が参加する世界投資会議の開催や、外国企業と
英国企業の商談会を3500件予定するなど、官民挙げて外資を呼び込む
姿勢を徹底しています。
以上のことを実現するためには国の協力も必要なのですが、ここに
「霞が関の壁」と呼ばれる高い壁があります。
都は、誘致に必要な30項目の規制緩和を国に求めています。このうち
20項目について国の実務者間で協議した結果、要求が受け入れられたのは、
羽田空港にビジネスジェットを連続駐機できる日数の延長など4項目
のみでした。
さらに、法人税引き下げについても難航しています。
現在、東京の都市ランキングは6位となっており、シンガポールや香港に
抜かれています。加えて、ソウル(20位)、台北(37位)、北京(39位)、
上海(43位)が後に控えています。順位はそう高くないように感じるかも
しれませんが、大阪(47位)、名古屋(50位)と日本の2大都市が後塵を
拝しています。
日本の国際競争力強化は差し迫った課題です。
都が掲げる「アジアヘッドクォーター特区」構想が実現し、500社の
外国企業を誘致できれば、雇用創出などにより全国で約2兆3000億円の
経済波及効果があると試算されています。
幸福実現党は日本国内に企業を誘致し、国際競争力を高めていくためにも、
法人税は速やかに諸外国並みの20%程度に半減すべきだと提言して
いますが、政治の強力なリーダーシップで減税や規制緩和を断行すべきです。
日本は必ず復活出来ます。敵は国外にもいますが、国内にもいます。
一つずつ打ち破っていかねばなりません。
(文責・HS政経塾一期生 中川広一郎)
執筆者:中川 広一郎 (4)
HS政経塾1期生