米大統領選毎日新聞2016年1月18日 民主党 クリントン氏をサンダース氏が猛追
【ワシントン西田進一郎】11月の米大統領選に向けた民主党の候補者指名争いで、ヒラリー・クリントン前国務長官(68)をバーニー・サンダース上院議員(74)が猛追している。サンダース氏は全米の支持率で差を縮め、2月1日に指名争いの初戦が行われる中西部アイオワ州では、クリントン氏の支持率とほぼ並ぶ勢いだ。
サンダース氏の支持率は、第2戦が行われる東部ニューハンプシャー州でクリントン氏を上回る。猛追を受ける同氏はこれまで控えていたサンダース氏への攻撃を強めている。「サンダース氏は全米ライフル協会や銃擁護団体の意向に沿って何回も投票してきた」。17日に南部サウスカロライナ州で行われたテレビ討論会で、クリントン氏はサンダース氏が銃器製造企業などを守る法案に賛成してきたと攻めた。銃規制を求める世論の高まりに配慮し、同氏の姿勢を批判したものだ。 「本命候補」のクリントン氏と、「民主社会主義者」を自任するサンダース氏。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計する支持率調査の全米平均値によると、昨年12月はクリントン氏が20ポイント以上の差をつけてリードしていたが、最近は12.7ポイント差まで追い上げられている。
要因の一つは、格差是正を前面に掲げ、公立大学の授業料無料化などを唱えるサンダース氏の訴えが、若者に響いていることだ。
米ニューヨーク・タイムズ紙などが今月上旬に行った世論調査によると、45歳以下の有権者に限るとサンダース氏の支持率はクリントン氏の約2倍。金融危機に伴う就職難や重い学生ローンに直面し、経済格差を実感している若年層がサンダース氏の支持層の中心とみられる。候補者選びに大きな影響を与えるアイオワ州で、クリントン氏のリードはわずか数ポイント。ニューハンプシャー州では、隣接するバーモント州選出のサンダース氏が「地元」の強みでクリントン氏をリードしている。全国の支持率でトップを維持する同氏だが、序盤戦で連敗すれば潮目が変わる可能性もある。
クリントン氏には、2008年大統領選の民主党候補者選びで本命視されながら、アイオワ州党員集会でまさかの3位に終わり、トップだったオバマ大統領を勢いづけた苦い経験がある。これを教訓に、クリントン氏は今回の立候補表明後、最初の集会をアイオワ州で開くなど、同州での活動に重点を置いてきた。だが、クリントン氏を取り巻く状況は今回も厳しい。地元紙デモイン・レジスターの世論調査によると、党員集会の参加予定者の43%が自らを「社会主義者」と答え、38%の「資本主義者」を上回った。クリントン氏は過去の討論会で自身を「資本主義者だ」と語り、サンダース氏との違いを強調してきた。クリントン氏は17日の討論会に先立つテレビ番組で、「私は今の状況に非常に気をよくしている、2月1日まで働きかけ続けるつもりだ」と初戦の勝利に決意を語った。
米大統領選 社会主義者・サンターズ氏が浮上
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10779 The Liberty Webより 2016.01.19
民主党の候補者争いを演じるサンダーズ氏(左)と、クリントン氏。
アメリカの大統領選で、欧米メディアに連日のようにニュースに登場するのは、不動産王ドナルド・トランプ氏をはじめとする共和党候補者の動向だ。ところで、民主党の候補者選びの状況はどうなっているのか。
大統領選の流れは、まず、民主党と共和党がそれぞれ50州で予備選挙や党員集会を行い、「誰が党の大統領候補になるべきか」を決める。全米で最も多くの支持を得た人物が、正式な候補者となって11月の選挙で戦う。
民主党の候補者選びがあまりニュースにならない背景には、ほとんどの米メディアが、「ヒラリー・クリントン氏が民主党候補者になるだろう」と考え、複数いる他の民主党候補者の見解の違いを大々的に報道していない現状がある。
サンダーズ氏の追い上げが始まった
しかし、そんなクリントン氏の支持率が下がり、二番手のバーニー・サンダーズ上院議員が追い上げ始めている。
2月に、最初の予備選挙が開かれるアイオワ州では、クリントン氏が支持率で若干リードしているものの、両者とも40%台の支持率を得ており、拮抗している。翌週に予備選挙が行われるニューハンプシャー州でも、両者40%台の支持率を維持しているが、サンダーズ氏が優勢だ
アイオワ州とニューハンプシャー州の予備選が重視されるのは、この2州で勝てば、「勝ち馬に乗ろう」と考える人々の支持を得て、予備選挙の流れを一気に自陣営に引き寄せられるからだ。
自らも認める「社会主義者」のサンダーズ氏
サンダーズ氏は、自ら認める社会主義者であり、「最低賃金の引き上げ」「国民皆保険の推進」「格差の撤廃」「金融業界に課税することで、公立大学を無償化する」「大きすぎる銀行の解体」など、経済問題を中心に言及してきた。
それ以外でも、「同性婚容認」「妊娠中絶の合法性」「地球温暖化対策強化」「TPP反対」などといった主張を貫いている。アメリカ議会でも最左翼の1人と言える上院議員であり、「クリントン氏よりも左」であることは間違いない。
アメリカ社会を象徴する2016年大統領選
もし、クリントン氏ではなく、サンダーズ氏が民主党候補になった場合、サンダーズ氏vs.トランプ氏になる可能性も出てくる。そうすれば、世界観が正反対の2人が、大統領の座をめぐって選挙戦を戦うことになる。
トランプ氏の人気の背景には、「既存の政治家では国は良くならない」と考える有権者が、「既存の政治家ではない」トランプ氏に、望みを託そうとしている側面もある。トランプ氏が目指す「強いアメリカ」か、クリントン氏やサンダーズ氏が目指す「国民に優しい政府」か。混沌とする世界情勢の中、アメリカの有権者は、いま何を思うか。(中)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『守護霊インタビュー ドナルド・トランプ アメリカ復活への戦略』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1613
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