ブラックホールがやってのける(吸い込む以外の)とんでもない10のこと
ブラックホールは極めて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく
光さえ脱出することができない天体と言われている。
いわゆる宇宙に存在するあらゆるものを吸い込んでしまうのだ。
ブラックホールはその特性上、直接的な観測を行うことは難しいが、
他の天体との相互作用を介して間接的な観測が行われている。
専門家によると、ブラックホールがやらかすとんでもない現象は他にもいろいろあるのだという。
10. 超超高速スピン
ついに超大質量ブラックホールの回転速度が正確に計測された。
あっと驚く光速の84パーセントという猛スピードだ。
6000万光年離れたところにあるNGC 1365銀河。その中心にあるブラックホールは、
320万キロの幅でありながら、質量は太陽の数百万個分に匹敵する。
想像不能な速度で回転しながら、周囲の時空を引きずり、
X線を吐き出すガスとチリの大渦巻きを作り出す。
ブラックホールに落ちる物質は1つの方向からのみ落ちており、そのために一方向に押し出されて
超超高速スピンが生まれるらしい。
9. 群で徘徊する
これまで観察されたなかで最大の銀河には、超大質量ブラックホールが散りばめられている。
それはあまりにも巨大で、たった1つの恒星から生まれたとは考えられないものだ。
専門家は、星団、死につつある連星のグループ、複数の小型ブラックホールなどが互いに衝突して、
この超巨大ブラックホール集団が誕生したと考えている。
直接的な証拠もある。X線解析によって検出された、天の川の中心に位置する12の潜在的ブラックホールの集団だ。
それらは中心にある超大質量ブラックホール(いて座A*)の周辺を周っている。
この事実からは、銀河の中心にはさらに2万ものブラックホールが旋回している可能性すら示唆されている。
8. ときおり木星サイズの唾を吐き出す
ブラックホールの理論とシミュレーションによると、いて座A*には1万年に一度に頻度で近づき過ぎた星が落下し、
スパゲッティのように引き伸ばされているという。そのとき、犠牲者の半分は飲み込まれてしまうのだが、
もう半分は宇宙に放り出される。
さらに落下する犠牲者の一部は、ある距離で合体して惑星くらいの大きさの破片になる。
おそろしいのは、その破片が海王星か、下手をすると木星くらいの大きさになって時速320万~3220万キロという
速さで宇宙に向かって吐き出されるという点だ。
この現象を潮汐破壊現象(tidal disruption event)というが、これによって天の川の一生のうちで
1億個もの天体が吐き出されるだろうと考えられている。なかには地球に向かって飛ばされるものだってあるだろう。
7. 銀河の過去を暴露する
アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計によって、初となるブラックホール周囲に形成されたドーナツの
イメージが撮影された。それはモワッとしており、ブラックホールの吸い込み口の周囲を周る破片で構成されている。
このドーナツは4700万光年離れたくじら座にある。幅はわずか20光年しかない。
このドーナツを観察すれば、銀河の過去についても読み解くことができる。その非対称性と動きからは、
大昔に別の銀河と融合したらしいと推測される。
6. 想像を絶する速度で物質を加速させる
10億光年離れたPG211+143銀河は、中心のブラックホールのせいでとんでもなく明るい。おかげで地球くらいの塊が
ブラックホールに落下する場面も観測されている。それは光速の30パーセントほどの速さで、これまで観測された何よりも速い。
通常、宇宙にある多くの天体は別の天体と協調しているものだが、ブラックホールに落下するものについては例外であるようだ。
これらの物質のリングは無秩序だ。お互いに衝突し、回転速度を殺しながら、秒速10万キロという速度まで加速する。
5. 放浪する
ブラックホールはときどき銀河から追い出されることがあるという理論がある。その強力な証拠が
80億光年先からもたらされた。
3C 186というクエーサーは、太陽10億個分というとんでもない質量を持つ。驚いたことに、
それがもともとあった銀河団から出て行こうとしているのである。そこにあるガスの雲を計測したところ、
時速760万キロという、地球から月まで3分で到達できる速度であることが判明した。
原因は、2つのブラックホールが合体したことで生じる重力波であるようだ。
これによって、超新星1億個分という力でもともとあった場所から押し出されているのである。
4. 大きなブラックホールから盗む
これまで合体して重力波を生じさせたブラックホールのペアは5つ確認された。
しかし、なかには大きすぎるものもあった。天文学者が予測した質量は太陽の10~15個分程度だったが、
実際にはそれぞれ20個分もあったのだ。
その原因は、それらが銀河中央にあるもっと大きなブラックホールから食べ物を奪ってしまうことだった。
このペアは合体する前よりも3倍近くも成長しているのだそうだ。
3. 磁場で食べる
ブラックホールの質量を決定づける主要な因子は磁場かもしれない。
6億光年離れたはくちょう座Aは、地球のもっとも側にある活動銀河(中心から膨大なエネルギーを放出する銀河)
で、中心にあるブラックホールから放射線のジェットが放出されている。
どうやら、その周囲に形成されている磁場はブラックホールの食事を助けているらしい。磁場がドーナツのような
形の中に物質を捕捉し、ブラックホールの口に押し込んでいるのである。
はくちょう座Aのような活動銀河と私たちのそうでない銀河との違いは、磁場があるかどうかではないかと
天文学者は考えている。
2. 小さな銀河のなかに隠れる
天の川には数千億個の星々があるが、ろ座UCD3にはたった1億個しかない。
しかし、それらは300光年の範囲内にある。小さな銀河かもしれないが、密度は最大級であるため、
超小型矮小銀河(ultracompact dwarf)に分類される。
中心には太陽350個分の質量を持つ超大質量ブラックホールが鎮座する。15万光年の幅を持つ天の川の
いて座A*にも匹敵する質量だ。
超小型矮小銀河のなかで発見されたブラックホールとしては4番目の大きさで、それがある銀河の総質量の
4パーセントを占める。普通は0.3パーセント程度であることを考えると、どれだけ特別なことであるか分かるだろう。
UCD3はかつてもっと大きかったのかもしれない。だが、自分より大きな銀河に遭遇して、
星を連れ去られてしまったと考えられている。
1. 太陽を2日で消し去る
120億年前の比較的穏やかだった初期の宇宙に、とんでもなく貪欲なブラックホールが発見された。
それはクエーサーで、2日で太陽を丸ごと飲み込んでしまえる。
しかも超高温のガスとチリをげっぷのように吐き出すおかげで、
それがある銀河の1000倍も明るく輝いている。
宇宙の黎明期にそこまで肥え太った理由は分からない。が、そのパワーは凄まじく、
もし天の川の中心(地球から2万5000光年)に置いたとしたら、満月の10倍は明るく輝き、
放出されるX線で私たちは死んでしまうことだろう。
written by hiroching / edited by parumo
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