ブラックウィドウ代表 Massimo Gasperini (マッシモ・ガスペリーニ)インタビュー
2016年に向けての活動予定
サイケ、プログレ、ハードロック、ダーク、フォークとユニークなバンドを紹介し続けるジェノヴァのレーベル、ブラックウィドウの代表マッシモ・ガスペリーニ氏に最新情報を聞きました。1990年に開業以来、それまでアンダーグラウンドに埋もれていた音楽に照準を当て、欧州及び全世界で事業展開に成功したキーパースンです。
INTERVIEW
聞き手 Alessandro Freschi @Distorzione.net
Q: 今日はよろしくお願いします。90年に開業以来、このニッチ分野に焦点を当てた動機はなんでしょうか。当時懸念などありましたか。
Massimo Gasperini (Black Widow Records) :懸念は全くなし!!!自分がやりたいことは分かっていましたから。大きな事を決断するときは、信念を持って取り組みます。レコード・フェアなどでの経験は豊富だったので、当時ジェノヴァで何が求められているか、またイタリアでは何を要求されているかはわかっていました。僕の人生において、決断は成功の鍵です。スポーツ、調査、仕事などは全部情熱で進めています。あと業界の広い理解も必要。そして、少しの「幸運」かな。イタリアでは何かが足りないと感じていました。もう他にあるものをまた作るのはばかげてるだろう、と。BWではすぐにLPに重点を置いて、レコードに集中しました。レコードはロックには理想的な媒体です。情熱と技術の双方が込められています。レコードはジャケットが重要なアートになっています。少なくとも、70年代はそうでした。僕たちは未だにその考えに共感しています。他のメディアではあらゆる媒体が絶えず進化しています。CD開発の当初目的は海賊版防止だって知ってましたか?今の状況を知ると、何とも言えませんね。レコードは健在。今ではメジャーもレコードを生産している。でも、BWは先駆者です。今ではストリーミングの話しも多いですが、それは合法ダウンロードには有効だと思います。でも、だからと言って、ミュージシャンに経済的な恩恵があるとは思えません。ストリーミングは音楽を聞くためのものだけど、その後結局CDを買ってるし、僕はこの方法が長く続くとは思えないです。
Q:BWのカタログを見ると、優れた新人バンドが多く散見されます。バンド発掘などはどうされているのですか。
MG:発掘作業に終わりはないですね。レーベルとしての方向性は一貫していますが、アプローチは多方面からあります。友人のすすめであったり、ミュージシャンのアドバイスであったり、デモを送られたり、ネット経由で聴いたり、ライブだったりいろいろです。まず一度聞いて、よりバンドを知り、その後契約というパターンが普通です。いいバンドが素晴らしい音源を送ってきても、私たちの話しに聞く耳を持たなかったり、提案を聞かなかったりすると、チャンスはないですね。理想のバンドは、知性と教養、いいアイデアがあり、ワタシたちのレーベルと仕事をする気があるバンドです。こういうバンドは沢山のチャンスに恵まれます。
Q:BWカタログには新人だけでなく、大ベテランもいますね。同じジェノヴァのデリリウムなど。
MG:若いバンドと大ベテランとの働き方は基本同じです。ワタシたちが企画するライブやフェスでも大ベテランは若手と同じステージを共有しています。こういうやり方をワタシたちは好むからです。そこではバンド同士の交流が生まれます。若いバンドはエネルギーと新鮮なアイデアをもたらします。ベテランからは経験と歴史を学びます。音楽というものは時間軸がありません。音楽は永遠なのです。
Q:レアな作品の復活もあります。プロジェクトを動かす動機の主たるものは何ですか。決断は自分だけで行うのですか。
MG:常に自分たちの興味のみです。古いバンドの復活で、商業的には売れそうでも、自分たちが好きでなければ、後押しはしません。古いバンドの場合は、その前に権利関係などが長年にわたり混乱しているので、まずその交通整理からです。中には50年前の盤の権利に高額なライセンス料をふっかけてくる人たちもいます。こういう方面は最新の注意が必要です。
Q:現在のBWの仕事ぶりを教えてください。
MG:バンドやレア盤の調査と販促が主な業務です。実店舗での販売や通販もあります。SNSへの露出もあります。同僚のピノ・ピンタボナは国際業務と広報を主に担当し、アートグラフィックも行っています。
最近ではピノの働きで、チェリーファイブやラ・ファブリッカ・デラッソルートなどのバンドとの仕事が進みました。アルベルト・サンタマリアは主にカタログ関係業務、店舗販売と通販を担当しています。イタリア国内出張も多く、多くのバンドとコンタクトを取っています。ワタシの妻のラウラは会計業務を担当しています。重要な決定事項は全員で行っています。
Q:2015年は傑作豊作の年でしたね。おもしろいアルバムが多数出ました。来年は何が控えているか教えていただけますか。
MG:極秘だよ!!!まあ、イギリスのダークなバンドLandskap(ランズカップ)のセカンドです。すごいバンドです。こんなすごいバンドを聞いたことがないです。ドアーズ、ブラック・サバス、アトミック・ルースター、ダンツィグを取り入れながら、自分の色もしっかり残している。聞くと驚くよ!!!
あとは、ゴブリン・リバースのダブルLP、CD-DVDのライブ盤です。Goblin 4 (Four of a Kind)のボーナストラック付CDも出す予定です。あとはイル・テンピオのサード・アルバムを世界的なゲストを迎えて制作予定です。Annunnakiというニック・ターナー(元ホークウィンド)、ヘリオス・クリードと他の英米ミュージシャンでサン・ラへのオマージュとして" Space is the Place "というアルバムも制作予定です。
あと、イタリアの伝説的なダーク・サウンドのバンドもあるのですが、まだちょっと発表できません...あとはヌオヴォ・イデアのパオロ・シアーニのセカンドでは元ニュー・トロルズのリッキー・ベッローニ、マルコ・ゾッケッドゥ、ジョルジョ・ウザイ、ロベルト・ティランティなど豪華ゲストが参加しています。
LPのみのリリース予定ですが、トリップの72年のライブ・アルバムを発売予定です。昨年亡くなったジョー・ヴェスコヴィに捧げるLPです。ヤクラのアントニウス・レックスも新作を予定しています。そして、ミトロジーという謎のバンドがいます!そして、偉大なバンビ・フォッサーティの新譜。きっとサプライズも沢山あるかと思います。
Q:最近でのいちばん気になる音楽の動向はなんでしょうか。
MG: いい音楽ならなんでも好きです。でも自分に欠かせないのはこの人たち。Tレックス、マーク・ボラン、ホークウィンド、ニック・ターナー、Can、ハイタイド、ブラック・サバス、マグマ、アンジュ、Redまでのキング・クリムゾン、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ユーライア・ヒープ、アモン・デュール、モット・ザ・フープル、ブルーオイスターカルト、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド、ダムド、ジョイ・ディヴィジョン、(Meddleまでの)ピンク・フロイド、アーサー・ブラウン、キャラヴァン(5枚目まで)、’Movin Pictures’ ‘2112’のラッシュ、レナード・スキナード、ファミリー、ブラック・ウィドウ。それから、プログレ、ダーク、ハード、へヴィ、グラム、パンクの間にいる何百ものまだ知られていないバンド、一枚で消えたバンドなど。勿論、イタリアのプログレも好きです。アレアからヤクラ、デリリウム、ゴブリン、ヌオヴォ・イデア、ガリバルディ、アントニウス・レックス、ラッテ・エ・ミエーレ。スキャントスは5回見ましたが、最もオリジナリティを感じるイタリアのバンドだと思います。もうファンクでも、ベティ・デービスでも何でも聞きます。
2016年はというと、北欧系があります。そしてニック・ターナーとビリー・コブハム、スティーブ・ヒレッジの "Fusion Space Odyssey"、チェリーファイブ、ラ・ファブリッカ・デラッソルートなど。まだ何か忘れているかもしれません。
Q:今、ジェノヴァで何か仕込みが始まっていることはありますか。
MG:次回の音楽フェスティバルFIMを企画中です。今回はジェノヴァから離れて行うつもりです。7月にジェノヴァでポルト・アンティーコ、とその周辺のライブハウスで数回コンサートを企画しています。マランゴロとピニャテッリのゴブリン・リバースはもちろん、イル・セーニョ・デル・コマンドとカップリングします。FBの公式ページをご覧ください。いつも目を見開いて、注意深く、悪い人に騙されないように、そしてロックを楽しみましょう。Prog-On Forever.
http://www.distorsioni.net/canali/interviste/elogio-del-vinile
要約:Rockprogresso