ユーノスというのは、マツダがバブル期に多チャンネル化をやったときの一つのブランド名です。
ごく雑な言い方をすれば、トヨタのレクサスのようなものだったんだと思います。マツダは、マツダのイメージを消したかったのかも知れない。
ユーノスブランド立ち上げに際して、最初に投入したモデルがユーノスロードスター。これが爆発的に売れたもんだから、マツダは尚更勘違いを進めてしまったのかもしれない。
今、ユーノスと名のついたモデルを思い浮かべてみる。
ユーノスプレッソ、ユーノス500、ユーノス800・・・どれも流麗なデザインが美しいんですよね。
でも忘れてはいけないのがユーノスコスモ。

よく、バブル真っ盛りの89年や90年は名車がたくさん誕生した年などとして、32スカイラインにGTOにNSXにアルシオーネSVXにロードスターに32Zに・・・というのが語り草みたいだ。
けど、なによりももっともバブルを象徴したクルマって、実はユーノスコスモなんじゃないか、と。
このクルマ、改めて今見ても本当に美しい。なんとも不気味な静けさと存在感が同居したたたずまい、一つの「作品」といって良いべさ。見事。
このクルマ、流麗なデザインのためにフルサイズの3ナンバーサイズ。なのに4人乗りクーペで、実質2人乗り。
言ってみればソアラのマツダ版。
RX-7と同じ13B-REWを搭載。2ロータリーツインターボで230馬力。
これで充分速いと思うんだが、驚くなかれ。
さらにその上には、専用新開発の3ローターロータリーエンジン(!)の20Bをツインターボで加給。
国内最高の280馬力、トルク41kg/m(GT-Rより上)を誇ったのだ。
当時すでに280馬力のクルマはいくつかあったが、それらよりも絶対に馬力は出ていた、という伝説まで・・・(ホントかよ)
なにしろ3ローターだからな。
3ローターですよ。
その滑らかさはV12エンジンに匹敵するとか。
もうV8だろうがV10だかV12だか、俺には関係のない話だけどね。
で、嫌な話をしますと、燃費はカタログ値6.1km/l。
突拍子のない数値で、いったいこれが何を意味する数字なのか分からないくらいだ。
カタログ値で6って。
実際には4とか5ということでしょうね。
でも、「そんなこと誰が気にするよ?」というのがバブルというモノだったそうです。
俺はまだチャランポランの餓鬼でしたが。
そして、このクルマは530万円とかしたみたいで、価格もバブリーなんだけど、でも実際にはマツダは1台ごとに1000万円とも2000万円とも言われる赤字が出ていたんだとか。
つまり、究極的にお買い得なモデルだったみたいです。
もし、このクルマにジャガーやアストンマーチンのエンブレムを付けて売ったら、2000万円でそこそこ売れたんじゃないだろうか。
むろん、ロータリーエンジン=マツダなのだからそれは無理なんだけど、きっとそこが理由だったんじゃないでしょうか。
ブランド力。
ブランド力を強化すべく立ち上げた5チャンネル体制。でも結局、商品に対してブランド力が追いついていなかった、といったトコロでしょうか。
さらにユーノスコスモについては
こちらに詳しい。