作楽会 いけばな 草月流

作楽会いけばな教室 生徒さん募集中!
於:お茶の水女子大学国際交流留学生プラザ1階
月3回(金曜2回・土曜1回)

210226 New Challenge Exhibition 水のない いけばな展 2期

2021-02-26 18:11:00 | 草月展など
あちこちで早咲きのカワヅザクラが見ごろです。切花の啓翁桜が店頭に出ていました。桜の枝が入った小さなブーケを持った方とすれ違いました。
 
水のないいけばな展の2期
草月のHPで、お家元のリモート鑑賞ツアーが公開されています
くわしくは、そちらをご覧ください
 

せっかく見に行きましたので、正面からではない方向からも撮影してみました。今回も、勝手に感想を添えました。

お家元の観賞ツアーを参照し、作者名、題、花材、観賞ポイントを青字で追記します


お家元の作品です

こちらが正面、なんとなく、右を向いた人の顔に見えます

階段の下から見たところ

勅使河原茜家元/Reborn-Ⅱ/鉄
鉄で作品作ったのは初めて。手書きの線を書いて鉄を切り、顔に見えるというところから出発した。同じ鉄でも違いを出した。楽しかったので、これからも鉄をやっていきたい。
  

あらためまして入り口に近い方から作品を見ながら上がっていきました
白で統一した木の構成、動きがあって素敵です

竹之内昇紀/白きエチュード/晒タレクワ・着色ルスカス
タレクワの表情を生かした流れにルスカスの軽やかさがきれいに一体化していて、この場にぴったり、空間がきれいに見える


小さな作品、全体にトーンが統一されていて仏像の様です

木南有美子/依り/ゲットウ・ローズマリー根・梅
そのものの表情を変化させている、蝋?、緻密 


落花生が鉄で縛られたような作品

橋本佳蘭/錯綜/落花生
鉄がいい感じに一体化している、素材の面白さをどう引き出していくかが面白い
 

線の構成、放射状、見る方向で違って見える

関夕霧/希望・夢・未来/鉄オブジェ・竹ひご
繊細・色の広がりを出している、土台のシルバーが邪魔になっていなくていい
 
 

 お教室にある三角の花器でもこういう風にできるかしら、こちらからは正三角形、反対側は二等辺三角形

野中華川/昇華/アルミワイヤー・鉄・着色ツツジ赤・晒コウテングワ・べニア板
凄い完成度、色も独特
 
 

粗密のない均質な箱、軽くふわっとしている

渡辺光樹/風光る/カラスノエンドウ・ワイヤー
細かく丁寧、すべての面に丸みが出て柔らか味がある
 
 

金属でなく、木の実などでも素敵な作品になりそうな、枯れた葉の使い方が素敵枯らしてからこの形にしたのか、この形にしておいて枯らしたのか

多田涼泉/Coppersta-輝かしい未来へ/オーガスタ・銅たわし
おもしろく混ざり合っている。目線で違う。枯れオーガスタはうごかせないので、そこにどうたわしをかかわらせるか
 
 
 
小さな作品だけど、大きな世界が見える
遠藤桜泉/春へ/ヤナギ・ツゲ・タケ
とってもそれぞれの素材を大切に表現している

 


お作りになった方がおいでになっていて、お話を伺いました
赤い唇の女性の体を模していて、心臓はブルー、ネコヤナギのウイルスに侵かされている、でもそこから花が咲く、希望を表現しているのだそうです。いけばなはアート、造形だけでと思ったが いけばな なので花も使おうと思いました
・・・とのことでした。いけばなインターナショナルの先生だそうです。
松村魚瑛/コロナパンデミックを悲しむ女/和紙・ローリエ・ネコヤナギ・自作鉄オブジェ
タイトルはタイトルだが楽しんでいるような表情でユニーク、それぞれの素材を生かしている
 
 

軽やかなのにどっしりとした、妙な重心の作品
小山芳村/KANATA/ナラ・カラタチ・ナンテン実
チャーミング、カラタチがとげとげしいものなのに柔らかさが出ている
 

輪切りの木を突き抜けてにょにょきと這い出てくる枝、なんで黒くしたのだろう
筋野奈美/出でる/木・マツ・アルミ
見るところで感じが全然違い面白い、ここをこう見せたいというところをはっきり出している。塗料がなまなましく、強さにつながっている。
 


石の穴の中から這い上がって巻いてさらに伸びていく
番匠流樹/源/アルミワイヤー・雑木
上に向かって力が働いている。どういう場所に置かれるのがよいか考えてここに置いた。平らな所に置くより活かされて、強さにつながった。置く場所がとても重要。
 
 

軽やかに立っている。簡単に構成したように見えるけれど、こういう風にきれいに作るのは難しいだろうなと思う
中川彩萠/かけはし/シナベニア
綺麗、軽やか、建物の模型みたい、繊細な作品を作っている人、このまま大きくしたらオブジェとして成立する
 


骸骨のような白、中に銀色のハスも使っている
竹森真弓/内なる脈動/針金・和紙・枯れハス
何とも言えない質感、動き出しそうな表情を出している。石の上にあることで動きにつながっている。
 


お家元が5000本のグロリオサで球体を作られた、そのせいか球体の作品が複数ありました
齋藤庭黎/「一輪の花が明日を変える」に触発されて・・・/イイギリ
あったかい感じがする、かわいい、中が赤、楽しさにつながる
 

高い高い雲に見えるよう下から撮りました。割り竹と輪切りの竹
高野綵花/雲/タケ・綿
いろんな風に見える、下に水面、高さがいい
 

2枚の葉に力がある
杉林邑星/いにしえ時計/オモト・オガラ・石膏・鉄・木
考えがあって出来上がった作品なのだろう、素材も生かされている
 
 
異なる素材をいくつも重ねた作品
吉田陽霞/Mille-feuille/カラタチ・赤ナス・銀目ヤナギ・プラスチック・段ボール
色が独特、個性が出ている
 
 
軽やかに浮いた葉の勢い、枯れ物と着色シダなのに、いきいきとしている
近藤紫泉/翼-とぶ-/着色ヤマシダ・シュロ・雑木
組合わせたものがぴったり、ふわっとどっかへ飛んでいきそう



石井黄琳/水を感じて・・・/アンスリウム・蘭・アクリルボックス・ワイヤー・鉄
アンスリウムを追及している作家。動きの中にふわっと使っているのが魅力的。植物と異質素材の関係が面白い構成になっている
 
 
会場となった草月プラザについての解説です↓
 
・・・撮影と文責・綾星・・・

210218 New Challenge Exhibition 水のない いけばな展 1期、Re;座・草月いけばな展、日本間

2021-02-18 17:50:00 | 草月展など
先生から、勉強してくるようお知らせいただいた
水のないいけばな展の第1期を見に
草月会館へ 
 
受付で、写真撮影がOKであること、教室のブログなどへの公開もOKで
ぜひ積極的に宣伝してください
とのことでしたので、
以下、綾星の独断で何作品かをここに紹介します
今回は、作家名と題名がそれぞれ付されていました
 

お家元の作品です
4期にわたりそれぞれ違う作品を作成されたとのことで
制作風景がHPに公開されています
勅使河原茜家元/Reborn-1/マツ・タケ/
枝を斜めに切って組み合わせた、ちょっと何か欲しいと思ってタケを刺した
 
参考:
日経新聞2/13夕刊と
日経スタイルNIKKEY STYLE エンタメ!エンタウォッチング2/20 に
『3密避けて生け花楽しむ 水は使わない、動画でイロハ』
花展を紹介する記事が掲載されたとのことです。合わせてご覧ください
 
 


続いて

作楽会いけばな教室ゆかりの田所先生の作品「雪月花」です


階段をあがって、反対側からみたところ、こちらが正面
田所萩和/雪月花:自作鉄花器・カラタチ・ルトリ/
田所さんは色にこだわる方でピンクが何ともいえない、空間の面白さが出ている
 
以下、何作品か綾星の勝手な感想も一部副えて紹介します
作家名と題名はメモしてこなかったのでここには記せません、失礼をお許しください
→Facebookにて、家元によるリモート鑑賞ツアーが公開されましたので
 それを参考にして、出品者氏名(敬称略)と題名と花材を加筆します
 また、お家元がここがいいと講評されている点もすこし書き添えさせていただきます
 加筆部分は青字で示しました


明暗、裏表、オディールとオデットみたいです
嶋直香/Deux reves(二つの夢)/:ガラス・雑木・根・鉄土台/ 
縦の表情で下がすっきり上にどんどんふくらみも出て素材の面白さがでている


枝ぶりを生かした曲線に均等につけた実
江口玉枝/コロナ禍の贈物/枯れたキウイ蔓と枯れた実/
流れがあって動きそうな不思議な線の構成
 


着色した素材を球体にしたのだろうか、球体にしたあと着色したのだろうか・・・
堀田順子/小さな星/鉛筆/
よく考えた
 

枯れ物と異質素材・薄く柔らかく見えるけれど金属なのかしら
前田早苗/0(ゼロ)発信/アクリルミラー・サンキライ・ノバラ実


無造作に丸めて置いたただけのように見えて、印象的でした
こういう作品、床置きでいいのか台を付けたほうがいいのか
いい悪いではなくて作者の意図なのだろうけれども
お教室でこういけた場合、先生や皆さんでいろんな意見が出そう
横山華苑/Maru/サンゴミズキ・銅版/
色を意識して同系色にしているけど質感が違い流れがある


額縁のような四角いパーツをたくさん使った繰り返しの立体に
棒を挟み込んだ縄を絡めた作品
青木霞洋/黒と赤の融合:角材・ロープ・箸・発泡スチロール/
角に曲線が入って締めている
 
着色した木・蔓とソテツ、ソテツの葉のせいなのか流れ・動きを感じます
武良友瑞/更始/ソテツ・着色キウイ・着色ミツマタ花材/
黄色の器に対して強い色だが3種の素材の違いが面白く合体している。ソテツが入ったことがすごいいきている。枯れたソテツの色がこんなに強く出ているのが面白い
 
 

ツバキでしょうか、常緑の葉を連ねたレイで作った一種いけのような緑を見つめる曲線の作品
たかはし藤水/はっはっは/ツバキ/
葉を連続して針金に通した一つの物を作って、それをどう表現していくかというそこに楽しみがある


材の輪切りに着色してあるのか、金属質の材料をこんな風に重ねたのか
野村浩秋/進む/ソテツ・木/
リズミカル、面白さがある

うす橙色で統一した作品、透き通ったホウズキの実は何色かに着色してある
露華あつこ/深海の杜/流木・透かしホオズキ・麻/
ホオズキの散らばり具合がきれいで柔らかさが出ている


この作品の作者の方がお友達と話しておられました
お訊ねしてみると、
「今回は、作品を宅配して、会場への配置はスタッフにお任せだったので
どこにどんなふうに置かれるのかここへ来るまでどきどきしていた
四方見のつもりで作成したが、自分ではこの右側の方を正面と思っている」
とのことでした
「場でいける」いけばなの草月流なので、今回のような初めての試みでの心配があったんですね
ソテツはいけた後置いておくと枯れていって長持ちするので、
平成のころつかったソテツと最近のソテツを組み合わせたので「ときのながれ」なのかな?
石川静暁/ときのながれ(平成~令和)/ソテツ/
すべてソテツだが時間の流れを感じる、ソテツはとげとげしい素材だが曲線や色の変化で不思議な柔らかみ丸みが出ているのが面白い
 

2色の縄だけでこんな作品ができるんだ・・・
中原揪/結ぶ/縄・着色ドライカスミソウ/
ボリューム感・形が面白く出ている

題は「結び」
よく見ると線の細い太いがあって、
同質に見えましたが太いところは細い材料が巻きつけてあるようです
亀谷美樹/結び/キウイ蔓・木綿糸/
綺麗さがすごい、糸の色が少しずつ違う、中が密でそこから広がる空間がきれい
 


こういう縦長の作品と、丸い作品が多かった
他にも平面の作品や横長の作品もありました
青木紫葵/無/カキ/
いろんな柿の枝を切ってそれを自分で選び抜いて構成して使う面白さ


お教室のお稽古でも使ったことのある笊の作品があった
笊を合わせて綴じ、中に、異なる網と花をいれたバーツをくみ上げた作品
このように、パーツを作って組むという作品の作り方も参考になる
同じ大きさでなく大小があったらまた違う作品ができそう
野口寿泉/水なしでいけるいけばな展からの発展/竹籠・ビニールマット・レンズマメ/
素材のおもしろさ、うまく発見して組み合わせている、転がりそうな動きにつながっている
 


黒いネットに珊瑚のような花材と異質素材
天内知紅/境界/海藻・マルベリーシート・ワイヤー/
色合いが面白い組合せ、上から見たときの中の空間が光っていてよく素材の良さを出している

松葉でこんな立体ができるんだ これで輸送に耐える完成度だということがすごい
荒井栄園/Towards the Light(光に向かって)/
荒井さんが追及している素材、ほんとに繊細で、ちょっとした風でもバランスが難しい
 
この作品、初め上から一べつして、ただ紙が束ねてあるのかと思いました
先ほど話しておられた作家先生が、「どう置かれるかスタッフ任せ」といっていたので
あらためて、回り込んで下から見たら、白い紙に青い球体がはさまっていました
この作品、作家はどこから見てほしかったんだろう
草月のスタッフはどう見たらいいと思ってここに置いたんだろう
北島里夏/天への贈り物//
正面から見るのと上から見るのと見るところは一つではない面白さ、風でふわふわする

黒と生成りの三角のパーツをたくさん作って構成した作品
山田里楓/探索-Sustainability with Desire-/紙ストロー・鉄/
方向によっていろんな形に見える、動き出しそうにも静かに佇むようにも見える
 
こういうのも「いけばな」なんだな
いけばなは「彫刻」でもあるのだな
そう思った「水のないいけばな展」でした
 
HPのイベント情報によりますと
『4期それぞれの会期中、YouTube、Facebook、Instagramでの配信を予定している他、ホームページからも視聴することができます。公開後はいつでもご覧いただけます。』・・・とのことです




先生が、応募要項を知らせて下さいました
それを見ると
作品サイズは、縦+横+高さが160cm以内、重量30kg以内
素材は、枯れ物、着色花材、竹、雑木、流木、石、鉄など
水使用不可、破損の恐れが無い作品、生の素材でも水を使わない素材は可、造花、ブリザーブドフラワーは使用不可
とのことです
 
前期・後期、先着順ということでしたが、たくさんの応募があり、
結果、4期各50作品、総勢200名の花展となったそうです

・・・・・

同日、2階で公開されていました「Re: 座・草月 いけばな展」も見てきました

家元を支える草月アトリエスタッフで結成されたユニットによる
2020年春の東京ミッドタウンにおける作品・装花の再現です
竹と枯れ物をメインにした作品
その一部を紹介します
 

割って初めて見える竹の内側の色と節
深澤隆行/刀-KATANA-


たくさん作った輪切りのパーツを構成した作品
倉田康治/変奏1Veriation no.1


これらも「水のない いけばな」
飯岡湖武孜/雨滴


竹に窓を開けるとこんな構成もできるんだ
伊藤佑飛/Retreat


建築のような彫刻のような作品
深澤隆行/刻TOKI

竹もヒゴになると軽やか
倉田康治/Blooming in the sky


竹にもいろいろある、これは亀甲竹?
御手洗直己/亀甲ガラス肉体美

割いた竹を重ねてそらせたパーツを組み上げた作品
伊藤佑飛/TAKE OFF
参考: 座・草月展 展示は2/28まで
 
 
5階の日本間も見学してきました
お雛様が飾られていました

竹の字は勅使河原宏作

花材は紅白の桃・梅・雪柳


書 と花器は勅使河原宏
花材はネコヤナギとベンケイソウ
2/26まで 作家: 秋山美晴