
長じてウエストコースト系からカントリーロックのほうに関心を持つようになって、やっとニッティーグリッティーダートバンドとの接点ができた。彼等の最大の功績はロックやポップスからカントリー/ブルーグラスへの架け橋を担ったことだと思うが、残念ながらアメリカのルーツミュージックの底なし沼に入り込むまでには至らず、今も持っている彼等のアルバムは少しだけ。
1972年の「All The Good Times」は、彼等の出世作「Uncle Charlie & His Dog Teddy(アンクル・チャーリーと愛犬テディ)」と、彼等の代表作「Will the Circle Be Unbroken(永遠の絆)」との間にリリースされた第6作になる。
1. Sixteen Tracks
2. Fish Song
3. Jambalaya (On the Bayou)
4. Down in Texas
5. Creepin' Round Your Back Door
6. Daisy
7. Slim Carter
8. Hoping to Say
9. Baltimore
10.Jamaica Say You Will
11.Do You Feel It Too
12.Civil War Trilogy
13.Diggy Liggy Lo
なにしろ1966年の結成以来、数えきれないほどのメンバーチェンジを繰り返しながら今もなお活動を続ける稀有のバンド。半可通が知ったかぶりして語るのも畏れ多いが、ちょっと個人的な感想を述べるだけなので許してね。
ノリノリの「Sixteen Tracks」で幕を開け、「Fish Song」では曲の始まりと終わりにジャラジャラと鳴り続ける貝殻かなにかが擦れるような不思議な音色が耳に残る。スタンダードである「Jambalaya」がこのアルバムのハイライトになるのかな。自分の場合、この曲は彼等の演奏で初めて知ったから、少し後にカーペンターズ版がヒットしたときは砂糖菓子のような甘ったるさに面食らったものだった。1曲目からちょっとハードな「Down in Texas」まで親しみやすいメロディの曲が続くが、「Creepin' Round Your Back Door」はスライドギターにブルースハープとホルン?が絡むちょっと奇妙なインスト曲。
バンドのデビュー前にジャクソン・ブラウンが一時期在籍していたことは有名なエピソードだが、実際には最初期の数ヶ月のことだったらしい。このアルバムでも「Jamaica Say You Will」をカバーしているが、オリジナルよりもゆったりした曲調に仕上げてある。続く「Do You Feel It Too」はポコのカバー。こちらは泥臭いポコバージョンよりも軽快(ポコの初期バージョンに近い)。他人の曲のカバーが多いが、自作曲の中では「Baltimore」がいちばんコマーシャルなナンバーだな。
レコーディングは「永遠の絆」と並行して行なわれたようだ。前作「アンクル・チャーリーと愛犬テディ」は、こてこてのカントリーやブルースナンバーの合間にロックフィーリングに溢れたポップなナンバーを散らすという多彩な楽曲構成が魅力だった。本作もそういう多彩さを意識した構成になっているものの、前作のようなコンセプトっぽいものは感じられない。そのためか前作よりはやや散漫な印象も受けるが、彼等の抽斗の多さを実感することができて、これはこれで良いです。
(かみ)
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