私の記憶と感性 そして 下書きのない日記 №52

多可が50 去れども半世紀の人生で この三百六十五段の湯けむり漂う
町に来てからの記憶と感性です

★稼業人#5           とは・・・

2015-10-20 00:19:11 | 日記
 

新宿では ちょっと名の知れた ヤクザ者の竜二(金子)が妻と娘のためにヤクザから足を洗ってカタギになる決心をした
そして竜二は そこで初めて得た人間的な幸福にしばし浸るのだが それも長くは続かなかった……
実際にヤクザの世界に身を置いていたという金子正次が原作・脚本(鈴木明夫は金子のペンネーム)・主演をし
新人の川島透が演出した意欲的な作品だ
しかしこの映画が完成し公開される前に金子はガンで亡くなった 撮影中も病をおしての執念の演技だったという
映像的には低予算であまり注目すべきところはないが とにかくヤクザという人間を見せる演技や演出のリアリティが
半端じゃない例えば桜金造演じる竜二の子分が町を歩いていて何かのチラシを手渡されるシーンがある 
そこで 桜は チラシを一旦受け取ってからチラと見てすぐに興味なさそうに自分の頭越しに後ろへポイと投げ捨てるのだ
このシーンにぼくは 「おおっ!」とうなった 特にストーリーには関係ないシーンなのだが これがまさにチンピラ
ヤクザの行動 そのものだと思ったからだ
これが一般の人だと興味がなければ最初からチラシは 受け取らない あるいは 受け取ってしまうタイプの人の場合は
一応しばらくそれを持っていてあとでそっと捨てるものだ キチンと屑かごに入れはしなくても
カタギの人で頭越しにポイと投げ捨てる人は いない
しかし チンピラヤクザの場合はというと彼らは 何にでも興味を示すからチラシは 一応受け取るのだ
しかし もともとそんなものに興味があるわけじゃないからすぐに頭越しにポイと捨てるのである
実はこのシーンは 予告編にもあったシーンで本編は 今回が初見だが予告編で何度も見ていたのである
そして その時からずっと「これは!」と思っていたのだった
ストーリーは カタギになる夢を見てその夢に破れていくやくざの悲哀が淡々とした描写で描かれていて非常に好感が持てる
妙にセンチメンタル過剰にならず それでいて悲しさが伝わってくる 演出は 実にいい感覚だ 
また どの役者のキャスティングもぴったりとはまっていて本当に生きた人間を感じさせる
ただ ぼくは本質的にヤクザという人種が好きじゃないんだよね だから各キャラクターへの思い入れも50%といったところ
特に永島暎子演じる 竜二の妻の気持ちは ぼくにはまったくつかめませんでした
ということでこの翌年 金子正次の遺した脚本を川島透が脚色&監督し柴田恭平主演で『チ・ン・ピ・ラ』
(1984年 プルミエインターナショナル・フジテレビジョン)が公開され こちらも当時話題となったが、ぼくは見ていません


映画の竜二

脚本家、俳優 金子正次

本名 生江有二は 映画、竜二に主人公で出演して実の娘と映画の中で親子役を演じ33歳で病死しました

出演[編集] プロハンター 第16話「悪い女」(1981年)
      竜二(1983年)

脚本[編集]
竜二
チ・ン・ピ・ラ(1984) 監督:川島透、出演:柴田恭兵・ジョニー大倉・高樹沙耶
ちょうちん(1987)
獅子王たちの夏(1991)
盆踊り(未映画化)

★この作品は 観覧人数が一位に成りました 有り難う御座いました

s10683726@ybb.ne.jp

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