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にわか日ハムファンのブログ記念館

2004年8月から2014年6月にかけて更新してきた当ブログを静態保存しております。

〔津軽流れ旅〕(2)つぶ雪:蟹田にて

2013-01-07 07:02:16 | さすらいブロガー旅情編
 吹雪の中特急は蟹田に到着。津軽の地に降り立った。
 前年の夏にも昨夏にもこの地に足を踏み入れているのはいるのだが、前年は弘前近郊を回っただけで、昨夏は北海道から竜飛海底で降りて引き返しただけ。気分的には初めてと言っていいほどの土地である。
 ここから三厩行のディーゼルカーに乗るわけだが、待ち合わせの時間が40分ほどある。雪が小降りになった……と思うことにして、駅の周辺を歩いてみることにした。



 駅前の休憩所。なぜか観音像が立っている。


 
 ここから駅前通りを歩くとすぐ海に出た。
 僅かに凪いだ海原を覆う暗い雪雲、その彼方には青空に月が浮かぶ。北国の冬をろくに知らぬ身からすれば、この世のものとも思えない光景である。



 遥かに霞んで見えるは下北半島か。



 いきなり現実に戻るが、夕食を調達しなければならない。ここから先は列車の乗り換えにほとんど時間がない。ここで仕入れておかないと、9時前まで何にもありつけない可能性が高い。
 それでなくても、寒さで体力を消耗している。普段なら摂取したカロリーをいかに消費するかが悩ましいのだが、いまや状況は逆転した。
 「食ひ物に淡泊なれ」との太宰の教えも聞かばこそ、食料、いやむしろ熱源を調達しておいた。



 駅に戻ってきた。昼4時前というのにこの暗さ。既に日が落ち始めているのだろうか、とすら思ってしまう。



 駅前の句碑は雪に囲まれている。埋もれていないだけまし、と言うべきであろう。



 ようやく駅の待合室に入る。寒さ、雪、風からようやく逃れ、一息つく。



 蟹田を訪れた時の太宰の感想。私も同意しないではないが、太宰が訪れたのは初夏のこと、今はご覧の通りの季節である。風は風でも重さが違う、と言ってみる。



 そうするうちに三厩行の改札が始まった。既に日は暮れはじめ、これより気温が上がることはない。意を決してホームに向かう。



 ふとこんな標示板を見つけた。
 字体といい、海外の大都市を引き合いに出すところといい、いかにも昭和末期、あるいはバブルの時代の面影を残す標示である。といって最近立てられたとしたら話にならないが、見た目はいかにも、である。
 これが若者の関心を惹く、あるいは惹くと期待できる時代があったのだ。さすがに「ナウい」とまでは言われなかっただろうが。



 三厩行のディーゼルカーが入ってきた。もはや列車に乗れることより、暖かい場所に入れることの比重が私の中で大きくなっている。そそくさと乗り込むと、列車はすぐさまさらに北へ向かった。


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