5月5日の中日-ヤクルト戦でT.ウッズ選手が藤井投手を殴打した事件の余波が収まりません。ウッズに対する処分は6日に下っていますが、ヤクルト側が今後連盟へ提訴する可能性を示唆している他、事件直後の落合監督の発言が暴力行為を肯定するものであるとして批判が集中しています。
理由はどうあれ、相手を殴った以上ウッズ選手は処分を受けて当然です。ただここで問題となるのが、1.その処分が妥当なものかどうか、2.落合監督の発言が批判されるべきものかどうか、2点です。
ですので、ここでは上の2点について順に考えてみたいと思います。
1. 連盟からの処分は妥当なのか?
私も当日の試合を観たわけではないのですが、幸い『関西アレニュース』さんが掲載された画像で当時の様子を窺い知ることができました(本題からそれますが、画像にアイコンを合わせるとちょっと楽しいです。特に2枚目)。
これで見る限り、藤井投手の投げたボールはインハイとはいえ、十分よけられる範囲ではないかと思われます。この投球に対して危険球の判定が出ていないのも当然でしょう。
確かにそれまでの経緯もありますし、ウッズに対する藤井投手の表情もどうかと思いますが、それを考慮してもウッズ選手の行動に弁護の余地があるとは思えません。
連盟からウッズ選手に下された処分は出場停止10試合と制裁金50万円です。過去の例からすると重い処分であるという話ですが、暴行を受けた藤井投手はむち打ちの症状があり、全治10日程度の負傷ということです。
この点を考えると、今回の連盟の処分は被害状況に対して応分の罰とは言えないのではないでしょうか。
2. 落合発言の詳細と問題点
事件当日の落合監督の発言はスポーツ紙によって微妙に異なった報道をされています。ですので、ここでは各紙の記事を手がかりに、実際の発言がどのようなものだったかから考えてみましょう。
・ニッカン:中日ウッズ暴行、右フックで藤井ダウン
「アイツら(外国人選手)はあそこ(顔面付近)に来たら怒る。ぶつかるぶつからないという問題じゃない。(藤井が)謝っていれば、何でもなかったけど、挑発したみたいになったから」
「現場としては(ウッズに)一切、処分はない。乱闘や暴力行為があるのも野球なんじゃないか」
「こっちとしてはできれば今日(5日に)処分を出して欲しい。早くしてくれないと(チーム編成で)動きようがない」
・スポニチ:ウッズ大暴れで退場…でも20勝1番乗り
「右打者にあそこはめったにこない。気持ちは分かる」
「乱闘が起こるのも野球。暴力行為が起こるのも野球。命を懸けてやってるわけだから」
・サンスポ:中日・ウッズが藤井に暴行!ヤクルト激怒「計画的だ」
「アイツの気持ちもわかる。現場から処分は出さない。野球には乱闘や暴力事件はつきものだ。命がけでやってるんだから。それが野球だ」
・デイリー:ウッズ暴行退場 厳罰は必至
(記事中に落合監督の発言は掲載されず)
・報知:激高ウッズ、藤井を右フックKO 若松監督「日本で野球やる資格ない」
「きのう(4日)の山部といい、神宮の(4月6日の)五十嵐といい、抜けたとしても、あの高さに来るとあいつらは怒る。乱闘騒ぎが起こるのも野球だし、暴力行為が起こるのも野球。命をかけてやっているんだ」
・トーチュウ:「ウッズ出場停止10試合 ヤクルト戦で藤井に暴行」
「暴力行為も野球のうち」
(いずれもカッコ内は各紙による補足)
これらの記事を総合すれば、落合監督の発言の主旨はこのようなものだったと考えられます。
・頭部近くにボールが来ると外国人選手は怒るものだ。
・乱闘があるのも、暴力行為があるのも野球である。命懸けでやっているのだから。
・監督としてウッズに処分を下す考えはない。
このうち1つ目の部分は特におかしいとは思いません。避けもしないくせにぶつけられて投手を恫喝する某選手は別として、危ない球を投げられれば怒って当然ですし、自分の身を守るためには相手に凄みを効かせる必要もあるでしょう。
ただ2つ目と3つ目は大問題です。乱闘も暴力行為も野球のうちならルールなど必要ありません。グランド外で人を殴って10日以上のケガをさせれば最悪警察沙汰になる恐れもあるのに、グランドでなら許されるというのもおかしな話です。命懸けということなどこの際関係ありません。
そのうえ、全く処分する気がないというのでは話が済まないでしょう。何の措置も取らないということは、処分に相当することをしていないと言っているのと同じです。
落合監督は後に球団代表の事情聴取に対し「やってはいけないことだが、野球には乱闘が起こり得るということが言いたかった」と答え、前段階の部分が伝えられなかったことに不満を示したようです(ニッカン記事)。
ですが、この部分があったとしても、私は落合監督が今回の事件を悪いことだと捉えているようには思えません。監督が選手を弁護するのはある部分では当然ですが、一方で不祥事には毅然とした態度を取るのも当然のことです。そうでなければ、単に身内に甘いだけでしかありません。
さらに付け加えるならば、中日球団の対応は不誠実と言わざるを得ません。ウッズへの処分を厳重注意に留めたのも問題なら、上記のサンスポの記事もある「球団としての処分は前例がない」いう球団社長の発言にはさすがに呆れました。どこのお役人の発言なのでしょうか?
藤井投手という被害者が存在するにもかかわらず、落合監督にも中日球団にも暴力行為に対する反省はおろか、誠実に対応しようとする意識も感じられません。この日観戦したずたたんさんのエントリを拝読しましたが、ドラゴンズのファンのみがこのような肩身の狭い思いをするのは悲しい限りです。
この記事を書いている時点で、ウッズ選手や落合監督を含む中日球団から反省や謝罪の言葉は発表されていません。ウッズ選手は試合への出場停止にはなったものの、先日のウミウシ戦では1軍に帯同して試合前の練習も行っていますし、1軍の試合に出ない代わりに2軍戦に出場するようです。
理由はどうあれ、相手を殴った以上ウッズ選手は処分を受けて当然です。ただここで問題となるのが、1.その処分が妥当なものかどうか、2.落合監督の発言が批判されるべきものかどうか、2点です。
ですので、ここでは上の2点について順に考えてみたいと思います。
1. 連盟からの処分は妥当なのか?
私も当日の試合を観たわけではないのですが、幸い『関西アレニュース』さんが掲載された画像で当時の様子を窺い知ることができました(本題からそれますが、画像にアイコンを合わせるとちょっと楽しいです。特に2枚目)。
これで見る限り、藤井投手の投げたボールはインハイとはいえ、十分よけられる範囲ではないかと思われます。この投球に対して危険球の判定が出ていないのも当然でしょう。
確かにそれまでの経緯もありますし、ウッズに対する藤井投手の表情もどうかと思いますが、それを考慮してもウッズ選手の行動に弁護の余地があるとは思えません。
連盟からウッズ選手に下された処分は出場停止10試合と制裁金50万円です。過去の例からすると重い処分であるという話ですが、暴行を受けた藤井投手はむち打ちの症状があり、全治10日程度の負傷ということです。
この点を考えると、今回の連盟の処分は被害状況に対して応分の罰とは言えないのではないでしょうか。
2. 落合発言の詳細と問題点
事件当日の落合監督の発言はスポーツ紙によって微妙に異なった報道をされています。ですので、ここでは各紙の記事を手がかりに、実際の発言がどのようなものだったかから考えてみましょう。
・ニッカン:中日ウッズ暴行、右フックで藤井ダウン
「アイツら(外国人選手)はあそこ(顔面付近)に来たら怒る。ぶつかるぶつからないという問題じゃない。(藤井が)謝っていれば、何でもなかったけど、挑発したみたいになったから」
「現場としては(ウッズに)一切、処分はない。乱闘や暴力行為があるのも野球なんじゃないか」
「こっちとしてはできれば今日(5日に)処分を出して欲しい。早くしてくれないと(チーム編成で)動きようがない」
・スポニチ:ウッズ大暴れで退場…でも20勝1番乗り
「右打者にあそこはめったにこない。気持ちは分かる」
「乱闘が起こるのも野球。暴力行為が起こるのも野球。命を懸けてやってるわけだから」
・サンスポ:中日・ウッズが藤井に暴行!ヤクルト激怒「計画的だ」
「アイツの気持ちもわかる。現場から処分は出さない。野球には乱闘や暴力事件はつきものだ。命がけでやってるんだから。それが野球だ」
・デイリー:ウッズ暴行退場 厳罰は必至
(記事中に落合監督の発言は掲載されず)
・報知:激高ウッズ、藤井を右フックKO 若松監督「日本で野球やる資格ない」
「きのう(4日)の山部といい、神宮の(4月6日の)五十嵐といい、抜けたとしても、あの高さに来るとあいつらは怒る。乱闘騒ぎが起こるのも野球だし、暴力行為が起こるのも野球。命をかけてやっているんだ」
・トーチュウ:「ウッズ出場停止10試合 ヤクルト戦で藤井に暴行」
「暴力行為も野球のうち」
(いずれもカッコ内は各紙による補足)
これらの記事を総合すれば、落合監督の発言の主旨はこのようなものだったと考えられます。
・頭部近くにボールが来ると外国人選手は怒るものだ。
・乱闘があるのも、暴力行為があるのも野球である。命懸けでやっているのだから。
・監督としてウッズに処分を下す考えはない。
このうち1つ目の部分は特におかしいとは思いません。避けもしないくせにぶつけられて投手を恫喝する某選手は別として、危ない球を投げられれば怒って当然ですし、自分の身を守るためには相手に凄みを効かせる必要もあるでしょう。
ただ2つ目と3つ目は大問題です。乱闘も暴力行為も野球のうちならルールなど必要ありません。グランド外で人を殴って10日以上のケガをさせれば最悪警察沙汰になる恐れもあるのに、グランドでなら許されるというのもおかしな話です。命懸けということなどこの際関係ありません。
そのうえ、全く処分する気がないというのでは話が済まないでしょう。何の措置も取らないということは、処分に相当することをしていないと言っているのと同じです。
落合監督は後に球団代表の事情聴取に対し「やってはいけないことだが、野球には乱闘が起こり得るということが言いたかった」と答え、前段階の部分が伝えられなかったことに不満を示したようです(ニッカン記事)。
ですが、この部分があったとしても、私は落合監督が今回の事件を悪いことだと捉えているようには思えません。監督が選手を弁護するのはある部分では当然ですが、一方で不祥事には毅然とした態度を取るのも当然のことです。そうでなければ、単に身内に甘いだけでしかありません。
さらに付け加えるならば、中日球団の対応は不誠実と言わざるを得ません。ウッズへの処分を厳重注意に留めたのも問題なら、上記のサンスポの記事もある「球団としての処分は前例がない」いう球団社長の発言にはさすがに呆れました。どこのお役人の発言なのでしょうか?
藤井投手という被害者が存在するにもかかわらず、落合監督にも中日球団にも暴力行為に対する反省はおろか、誠実に対応しようとする意識も感じられません。この日観戦したずたたんさんのエントリを拝読しましたが、ドラゴンズのファンのみがこのような肩身の狭い思いをするのは悲しい限りです。
この記事を書いている時点で、ウッズ選手や落合監督を含む中日球団から反省や謝罪の言葉は発表されていません。ウッズ選手は試合への出場停止にはなったものの、先日のウミウシ戦では1軍に帯同して試合前の練習も行っていますし、1軍の試合に出ない代わりに2軍戦に出場するようです。
ってこのこと?
わしが、外務省の役人やったら滞在ピザ取り消し、本国へ送還やな!
野球をやるためにビサを出してるのに、ボクシングされてもね。。。
たしかに藤井の顔が、「スンマセン」とは言ってません。
しかしそれだからといって、いきなり暴力でいいのかという問題の回答にはなりません。
腹が立てば、殴っていいことになりますから・・。
「オマエ、今度来ると(もしくはぶつけると)行くぞ」と威嚇するのは、まあありかと。
しかし(暴力を)使ってしまうのは、どうか。
二軍戦に出る?コメントもありません・・。
ヤクルトは警察沙汰にするのでしょうか?
「あまりにも対応が不誠実なら、するぞ」とコメントするのは?
しかし、球場でボクシングされるのも問題ですが、それでも「殴り合い」だからまだマシでしょう。このように一方的に怒って、一方的に殴りかかるのは論外ですよね。
だからといって、やはり殴ったらいけませんよね。手を出したらその時点で出した方の負けでしょう。
>二軍戦
私が調べた限り、これまで1軍出場停止の期間中に2軍戦に出たのは讀賣在籍時のメイぐらいでした。それだけ異常なことなのでしょう。
少なくとも、謝罪や反省の意志を示したいのなら、こんなことはしないでしょう。中日球団や落合監督の事実認識がここに如実に表れていると思えてなりませんね。
個人的にはウッズ選手の気持ちはわからなくも無いんですよ。
ただ、暴力はイケナイ。
野球のルールがとかいう前以前の問題ですから。
制裁は当然のモノだと思います。
落合監督の発言ですが、スポーツ新聞に掲載されたものからすると、野球をする資格は無いと思います。
まぁ、監督として自チームの選手を守らなければならない+マスコミは恣意的な文章に変換するという二点があるので文字通り取れないとは思いますが。
あと、中日球団からの処分が無いのも二重懲罰になるという視点から見ると厳重注意でもしょうがないかなとは思います。
連盟の制裁が妥当かどうかは置いといてですが。
でも、二軍戦に出すのは・・・ハァ・・・。
ともあれ、暴力行為は許されないものですから猛省と謝罪を強く願います。
基本ヤジられてベソをかくようなシャイな男だし、挑発するつもりはなかったんじゃないかと思うんですね。
というわけで、私ごときがうだうだ言ってどうなるものでもないですが、もしも皆さんが不愉快に思われたのなら、癖だと思って許してやってください。御願いします。
>ドラゴンズのファンのみがこのような肩身の狭い思いをする
ファンにそんな思いをさせる球団って……orz
落合監督の発言ですが、各紙の報道を100%信用するわけではないものの、照らし合わせてみると暴力肯定といわれても仕方のないものだったのではないかと考えられます。
ウッズを弁護したいのであれば、もう少し別の方法があったと思うのですが、これでは火に油を注ぐだけですし、正直なところ監督の見識を疑ってしまいますね。
ただ、そういう事情があるのなら理解できます。ご教示ありがとうございました。
もっとも、監督の場合ご自身のご子息があの様子ですからねぇ……