今日も走っていないので車関係ネタです。
昨年11月に独ティッセンクルップ社がリニアモーターを使用した垂直方向にも水平方向にも移動できるエレベータの開発に成功し、2016年に試験運転を開始すると報じられました。
この技術によりエレベータ(カゴ)は軌道に沿って縦横に自由に移動することが可能になり、スキー場のゴンドラのように複数のカゴが一定間隔で循環し、乗降時は一次停止させることで、単位時間当たりの輸送量が1.5倍に増加するとのこと。
これはちょっと前に地上波でも放送された映画「トータルリコール」にでてきた立体的に動くエレベータそのものです。
直近の日経オンラインの記事によると、このようにドイツのものづくりが元気なのはメルケル首相が主導するものづくり高度化の取り組み「Industry 4.0」の成果だとのこと。
「Industry4.0」は多様な産業機器をネットワーク化するなどの手法で高度化する狙いで、企業と公的機関が連携して研究開発に当たるもので、膨大な研究開発費が投じられています。
停滞気味の日本企業にも頑張ってほしいし、日本政府にも競争力回復の策をしっかり打ち出してほしいものです。
さて、自動車分野では、BMWがすでに発売しているi3やi8でCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)車体を量産し先進性を発揮しています。
F1のカーボンモノコックボディは、プリプレグというカーボンでできた織物を
積層し、オートクレーブという炉の中で加熱して熱硬化性樹脂を固めるという手法で造られますが、時間がかかってしまうため量産に向かないし、非常に高額になります。
BMWが量産のために採用した技術は簡単に表現すると、
加熱予備成型されたカーボンシートを組み合わせたところに樹脂を高圧注入し接着し、必要な箇所には加熱処理を加えて強度を高めつつ硬化時間を短縮するというもの。
プレス資料によれば硬化が始まるまでに必要な時間はわずか90秒で、1時間半後には完全に硬化し、必要な箇所には加熱することで10分以内に完全に硬化させうるという量産に向いた技術です。
オートクレーブで成型したものより剛性は低いようですが、単位重量当たりの
強度はアルミや高張力鋼板の従来型ボディよりはるかに高いようです。
同じ強度なら軽量となり燃費が良くなるわけですから、省エネにも役立つことになります。
カーボン素材については日本企業が世界市場をリードしていますが、量産車採用ではBMWが先行しているという事実は、日本人としてはちょっと残念な感じがしますね。
しかし、BMWとトヨタは技術提携しており、このCFRP車体量産技術はトヨタに提供されるそうです。
噂ではBMW-Z4次期型とスープラ後継車がエンジンや車体モジュールを共用して来年発売されるようですが、この車体にCFRP量産技術が採用されるか注目です。