【Candlestick Park】
1966年 8月28日、ビートルズはLAにのキャピトル・レコード本社
にいた。ここで記者会見を行うことになっていたためである。翌日は
サンフランシスコ・キャンドルスティック・パークで、最後(結果的
にそうなった)のライブ・コンサートを開くことになる。
その頃になると、もはやビートルズは疲弊していた。記者のインタ
ビューにもうんざりしていた。しかし、それでも彼らは相変わらずの
「ウィット」を披露するのである。もう、これで「このようなうんざ
りしたこと」をしなくてもすむとわかっていたのだろう。
いくつかにわけて、そのインタビューの模様を紹介しよう。
(※J:ジョン,P:ポール,G:ジョージ,R:リンゴ)
◇◆◇
1.脚
記者:あなたがたと同じイギリス人のある人が昨日か一昨日に、「ア
メリカの女性は、ミニスカートをはかないからセンスが無い。しかも
脚の格好が悪い」と言っていました。アメリカの女性の脚について、
どのように思いますか?
R:ミニスカートをはかないのならば、なぜ脚の格好が悪いってわか
るんだい。(会場から笑い声)
2.ブッチャー・カヴァー
記者:アメリカで発売禁止になった「アルバム(註:"YESTERDAY AND
TODAY")」のジャケットは、人形と生肉を使ったものですね。それは
誰のアイディアだったのですか?
J:それを撮ったカメラマンだよ。
記者:どんな意味があったのですか?
J:そんなこと(カメラマンに)確かめなかったよ。
3.キリスト教冒涜発言問題
記者:アメリカに来てもう1週間くらいになりますね。宗教問題につ
いてもう一度、世間に答えてもらえますか?シカゴでの答えを繰り返
して、明確にしていただきたいのです。
J:(シカゴで)何を言ったのか覚えていないから、繰り返せないよ。
記者:それでは、あなたの発言についてはっきりさせていただけませ
んか?
J:あなたが、ボクがどう言ったと思っているのか、聞かせてくれな
いかな。そうしたら、その通りかどうか、ボクが答えるから。
記者:そう・・・ですね。ええと。あなたの発言が載っている新聞が
ここにあります。新聞には、「あなたはビートルズとイエス・キリス
トを比較して、ビートルズのほうが人気があると言った」とあります。
ご存知の通り、この発言がアメリカでかなりの論争と怒りの感情を引
き起こしています。
P:知っていたかい、ジョン? キミが怒りを買ったんだってさ。
記者:この発言を説明してもらえますか?
J:ああ、もう800回も説明しているよ。テレビか何かで言うべき
だったのかな。だけど、とても単純で明快なことなんだよ。ボクは、
テレビ局よりも少しだけビートルズのことを知っているから、引き合
いに出しただけなんだ。もっと違う表現で言えたはずだよ。でも、そ
うしたら、これほどのパブリシティにはならなかっただろうね。
(ポール笑う)
記者:4人に質問します。この論争は、あなたがたのキャリアにキズ
をつけることになると思いますか? それとも、仕事の上でプラスに
なると思いますか?
P:別にプラスにもマイナスにもならないと思うよ。神経質な人たち
がそういう風に考えて、偏見を持っている人たちが騒いでいるだけさ。
ほら、「彼ら」からすれば「あぁ、これはあいつらをやっつけるネタ
だぞ!」てなもんだよ。だけど、記事を読めば、本当は何も間違って
いないことがわかるよ。ジョンが「ボクらはキリストより有名だ」と
言ったと聞いて、(ジョンは)きっと傲慢なヤツに間違いないと思わ
れてしまった。それだけさ。昨日の晩テレビで「アイツ」を観たかい?
「トゥナイト・ショー」で言っていたよ。
4.税金
記者:アメリカ国税庁と、イギリスを通して納税するかどうか、まだ
交渉していますか? それに関連して、今回のアメリカ・ツアーでど
れだけ利益を計上するのか・・・。
G:ボクらは知らないよ。
P:ボクにはまったくわからないんだ。ほら、ボクら財政面には関わ
っていないから。
G:それに、とくに心配もしていないし。
J:最終的にボクらの手取り分だけしか聞かされないんだ。
記者:税金のことなのですが・・・。
G:税金は支払うけれど、いくら支払うとか、いくら稼いでいるとか
は知らないんだ。だって、そんなことまで気にしていたら今ごろノイ
ローゼになっているよ。
5.『タイム』誌の批評
記者:レノンさんとマッカートニーさんにお聞きします。『タイム』
誌が最近の号で「ポップ・ミュージック」を特集しました。そこには
'Day Tripper 'は○春について歌っていると書いてありますが・・・。
P:(冗談っぽくうなづきながら)オー・イェー!
記者:そして、'Norwegian Wood'はレ○ビアンについての歌だと。
P:(またまたうなづきながら)オォー・イェーイ!
記者:私はただ、曲を作ったときはどのような意図があったのか今日
の音楽についての『タイム』誌の批評をどのように思うのかお聞きし
たかったのですが。
P:ボクらはただ、売○と○ズビアンについての歌を書こうとした。
それだけさ。(会場、笑いと拍手に包まれる)
J:・・・リンゴをからかったんだ。
P:(含み笑いで)カット!
J:放送できないよな。
◇◆◇
つづく
TB、ありがとうございました。
'I'm Down'の最高音である、五線の上の「D」音
(武道館6月30日バージョンで「シャウトする部分」を除けば)
に比べ、'Yesterday'のそれは「G」(キーが「G」であれば)であるため
最高音が確かに低いのです。
しかし、ハード・ロックナンバーの歌唱に比べ
叙情豊かな・スローテンポナンバーの
歌唱では、一音いちおんを「ゆったり」と
発声する必要があり
高音域はおっしゃる通り、非常に苦しくなりますよね。
実際演奏されているLHCBさんならではの
鋭い考察です♪
それをベースを弾きながら歌ってしまう
ポールは、やはりすご~い♪