その犬はいつも軒先で繋がれて眠っていた。
歳を取っている様で、いつも寝ているのでどんな顔をしているのか見た事がない。
今の家に越してきて、半年ちょっと。
一度も起きている顔を見た事はないし、勿論鳴き声も聞いたこともない。
一軒家の小さな庭と地続きになっているコンクリートの駐車場の奥に繋がれていて、車を挟んで反対側に三角屋根の犬小屋があるが、そこに居たのも見た事はない。
夜、寝る時にはそこにいたのかもしれないが。
昨日の夕方。
どこからか「ひゃい~~~ん、ひゃ~~~ん」と言う吠えていると言うより悲鳴に近いような声が聞こえてきた。
外出から帰ると車から自宅まで我が家のメンバーさんと近所を一周りしてから帰るのが習慣だったので、声のする方に行って見ると・・・。
あのいつも寝ている犬が、いつもの繋がれている場所から違う場所で起き上がることも出来ず、まるで行き倒れのようになって鳴いていた。
おしっこをしているようで、お尻の周りの地面が濡れていた。
その前には玄関と大きな窓があり、窓にカーテンがかかっていたが明かりが漏れていた。
その明かりの前まで自力でなんとか移動したのか・・・窓の中の飼い主に向かって鳴いているように思えた。
ベルを押して飼い主に犬の状態を伝えようと思ったが、居るなら聞こえない訳はない。
失礼ながら、そんなに広いとは言えずむしろ狭い庭なのでサッシが超防音でもない限り犬の悲鳴は聞こえている筈だ。
犬は力を振り絞って鳴き続けている。
そのような状況を見て、果たして飼い主が見知らぬ訪問者の言う事に耳を傾けると思えなかった。
動物愛護センターに連絡をと思ったが、お役所は閉まっている時間。
考えあぐねた末、110番に通報した。
「動物愛護法」に違反していると理由を付けようと思ったのだ。
「事件ですか、事故ですか」
「どちらでもないとは思うのですが・・・犬が鳴き続けています。近隣に迷惑ですし見るとかなり弱っているようです。飼い主は在宅しているようですが動物愛護法に違反とは言えないのでしょうか」
いくつかやり取りをして、すぐにパトカーをよこしてくれる守備となった。
「ご近所にお住まいでしたら、その場で警官と直接話しをしない方がいいですよね」
「近くで見ていますが、出来たらどうなったのかは電話連絡頂きたいです」
近隣に迷惑と言った事を電話を切ってから後悔した。
その犬を厄介に思われやしないか・・・。
後で携帯に電話をもらえる手筈となり、残りのメンバーさんを自宅に戻しその家の近くに潜伏する事数分・・・。
赤灯だけを点滅させ、ミニパトがやってきた。追って原付警官も。
玄関のベルを鳴らしているのが見える。
「どうか留守でありますように・・・」
・・・皆さんのご想像通り、家主が出てきた。中年の男性。
それを見て自宅に戻った。取りあえずあの犬は放置されたままではなくなる筈。
後から貰った電話での話では、適切な飼育指導をしたとの事。
取りあえず犬小屋に戻し、近隣に迷惑がかからないよう。
以降、犬の管理を継続しているかパトロールの際には確認する場合もあると・・・。
ただ、気になったのは・・・。
警察官の「これでは近隣から苦情があるかもしれませんから」と言う言葉に「歳を取って吠えるようになってしまった」と言ったという。
(この警官の言葉の配慮に感謝した。苦情が出たとは言わないでくれた)
ほぼ毎日、その家の前を或いは近くを通り散歩に行くが前記したように一度も鳴き声を聞いた事はない。
半年以上一度も。
あの犬は何を言いたくて鳴いていたのか。
今朝、見に行ってみた。
犬小屋にもそれ以外の場所にも姿がなかった。
昼過ぎ、出掛ける際に見て通る。
倒れていた場所に空の食器とタッパーが置いてあった。
ご飯もらって、玄関の中に居るのかな・・・。
それが警察官の登場によってでも、あの犬は飼い主と一緒なら幸せなのだと思う。
犬は人に無償の愛をそそぐ。
その人が例えどんな人であろうと。だから不幸も生じる。
あの犬は何ヶ月もずっと寝ていて、あの日突然鳴いていた。
外犬だから一人で居るのが普通だったであろうに、鳴いて知らせていたのではないか。
飼い主がどんな接し方をしていようと、飼い主を呼んでいたのだと思う。
渡来はとにかく今を大事にしようと思っている。
いつ、自分の愛犬がなにか不幸な状況になっても「充分に接したから悔いはない」と思える位に毎日を大事にしようと思っている。
それが出来ているかは分からないし、メンバーさんがどう思っているかは一生分らない。
自分のただのエゴかもしれない。
介護も勿論精一杯するが、元気なうちに精一杯接するのが犬にとっては楽しいと思う。
犬は今を生きる生き物なので自分が将来どうなるかなどとは考えられない。
今、愛犬が元気なうちを一緒に一生懸命過ごせたら幸せなんじゃないかなぁ。
歳を取っている様で、いつも寝ているのでどんな顔をしているのか見た事がない。
今の家に越してきて、半年ちょっと。
一度も起きている顔を見た事はないし、勿論鳴き声も聞いたこともない。
一軒家の小さな庭と地続きになっているコンクリートの駐車場の奥に繋がれていて、車を挟んで反対側に三角屋根の犬小屋があるが、そこに居たのも見た事はない。
夜、寝る時にはそこにいたのかもしれないが。
昨日の夕方。
どこからか「ひゃい~~~ん、ひゃ~~~ん」と言う吠えていると言うより悲鳴に近いような声が聞こえてきた。
外出から帰ると車から自宅まで我が家のメンバーさんと近所を一周りしてから帰るのが習慣だったので、声のする方に行って見ると・・・。
あのいつも寝ている犬が、いつもの繋がれている場所から違う場所で起き上がることも出来ず、まるで行き倒れのようになって鳴いていた。
おしっこをしているようで、お尻の周りの地面が濡れていた。
その前には玄関と大きな窓があり、窓にカーテンがかかっていたが明かりが漏れていた。
その明かりの前まで自力でなんとか移動したのか・・・窓の中の飼い主に向かって鳴いているように思えた。
ベルを押して飼い主に犬の状態を伝えようと思ったが、居るなら聞こえない訳はない。
失礼ながら、そんなに広いとは言えずむしろ狭い庭なのでサッシが超防音でもない限り犬の悲鳴は聞こえている筈だ。
犬は力を振り絞って鳴き続けている。
そのような状況を見て、果たして飼い主が見知らぬ訪問者の言う事に耳を傾けると思えなかった。
動物愛護センターに連絡をと思ったが、お役所は閉まっている時間。
考えあぐねた末、110番に通報した。
「動物愛護法」に違反していると理由を付けようと思ったのだ。
「事件ですか、事故ですか」
「どちらでもないとは思うのですが・・・犬が鳴き続けています。近隣に迷惑ですし見るとかなり弱っているようです。飼い主は在宅しているようですが動物愛護法に違反とは言えないのでしょうか」
いくつかやり取りをして、すぐにパトカーをよこしてくれる守備となった。
「ご近所にお住まいでしたら、その場で警官と直接話しをしない方がいいですよね」
「近くで見ていますが、出来たらどうなったのかは電話連絡頂きたいです」
近隣に迷惑と言った事を電話を切ってから後悔した。
その犬を厄介に思われやしないか・・・。
後で携帯に電話をもらえる手筈となり、残りのメンバーさんを自宅に戻しその家の近くに潜伏する事数分・・・。
赤灯だけを点滅させ、ミニパトがやってきた。追って原付警官も。
玄関のベルを鳴らしているのが見える。
「どうか留守でありますように・・・」
・・・皆さんのご想像通り、家主が出てきた。中年の男性。
それを見て自宅に戻った。取りあえずあの犬は放置されたままではなくなる筈。
後から貰った電話での話では、適切な飼育指導をしたとの事。
取りあえず犬小屋に戻し、近隣に迷惑がかからないよう。
以降、犬の管理を継続しているかパトロールの際には確認する場合もあると・・・。
ただ、気になったのは・・・。
警察官の「これでは近隣から苦情があるかもしれませんから」と言う言葉に「歳を取って吠えるようになってしまった」と言ったという。
(この警官の言葉の配慮に感謝した。苦情が出たとは言わないでくれた)
ほぼ毎日、その家の前を或いは近くを通り散歩に行くが前記したように一度も鳴き声を聞いた事はない。
半年以上一度も。
あの犬は何を言いたくて鳴いていたのか。
今朝、見に行ってみた。
犬小屋にもそれ以外の場所にも姿がなかった。
昼過ぎ、出掛ける際に見て通る。
倒れていた場所に空の食器とタッパーが置いてあった。
ご飯もらって、玄関の中に居るのかな・・・。
それが警察官の登場によってでも、あの犬は飼い主と一緒なら幸せなのだと思う。
犬は人に無償の愛をそそぐ。
その人が例えどんな人であろうと。だから不幸も生じる。
あの犬は何ヶ月もずっと寝ていて、あの日突然鳴いていた。
外犬だから一人で居るのが普通だったであろうに、鳴いて知らせていたのではないか。
飼い主がどんな接し方をしていようと、飼い主を呼んでいたのだと思う。
渡来はとにかく今を大事にしようと思っている。
いつ、自分の愛犬がなにか不幸な状況になっても「充分に接したから悔いはない」と思える位に毎日を大事にしようと思っている。
それが出来ているかは分からないし、メンバーさんがどう思っているかは一生分らない。
自分のただのエゴかもしれない。
介護も勿論精一杯するが、元気なうちに精一杯接するのが犬にとっては楽しいと思う。
犬は今を生きる生き物なので自分が将来どうなるかなどとは考えられない。
今、愛犬が元気なうちを一緒に一生懸命過ごせたら幸せなんじゃないかなぁ。