僕「ワシントンさ、こんなインドジョークがあるの知ってるか?」
"ある男の人がデリーの駅で出発時間直後に駅に着きました、
すると男の人の目の前で電車は出発してしまいました。
男の人は怒って駅員さんに言います。
『おい!なんで時間通りに電車が発車するんだ!』
駅員さんはにこやかにこう答えました。
『お客さん、安心してください、今出た電車は昨日の列車ですよ』
男の人は安心してチャイを飲みに行きました。"
僕「ていうの、だからな、17分も列車が遅れてるなんて言ったら逆に笑われるぞ」
ワ「本当に?あはー!それおかしい!」
僕「本当だよ、時間通りに来る電車なんて滅多にないよ」
まさか自分がインドジョークでインド人の笑いを取る日が来るとは思わなかった。
でもワシントンにはかなり受けた。いいぞ、俺。
僕はインパールから一緒に来たワシントンとナガランド州のディマプール駅で列車を待っていた。
なんでこうなったかというと、以下のような経緯がある。
昨晩お兄さんと男の約束のような熱い話をしたのは前回記事で書いた通りだが、それには続きがある。
お兄「じゃあ、リョウ、ワシントンのこと、頼むぞ!」
僕「はい!ん?えっと、何をですか?」
お兄「ワシントンをベンガルールまで連れて行ってくれるって」
僕「いえ、僕は次にネパールへ抜ける予定なのですが…」
お兄「あれ、話が違ってるな、じゃあ、ベンガルール行きの電車に乗るまでか。な?」
僕「あ、それでいいならできますね!やりましょう!」
お兄「任せたぞ、弟には1000ルピーほど持たせた、それでなんとかベンガルールまで連れて行ってやってくれ」
僕「1000ルピー…?はい、頑張ります!」
※1ルピー1.7円
※ディマプールからベンガルールまで3000キロくらい?
お兄「ヤァ!」
ガシッ!!(握手)
その晩ワシントンは寝ていたので、翌朝聞いてみた。
僕「(昨晩の経緯を話して)さて、どうなっているんだワシントン君」
ワ「お兄ちゃん今仕事なくってお金ないから1000ルピーしかくれなくって、それでベンガルールまで行けるかわからないからYOUについて行くよ」
そうか、ついてくるのは別に構わないし、金が無いならそれなりに出してもあげる。
が、しかしだなワシントン君。
僕「キミ荷物まとめてるけど、もしかして今日出るつもり?俺ここでもう何泊かさせて貰おうと思ってたんだけど…」
ワ「もうこの村は飽きたから今日行こう!ほら、街に行くバスもう30分後だよ!ハリアップ!」
流されるまま、僕は即パッキングを済ませ村を出る。
ありがとう、コロニー村。
ワシントンに連れて来られ、ワシントンに連れ出された元首狩り族の心がとても暖かい村。
大好きでした。次来るときはクリスマスシーズンに来るね!
街までバスで2時間ほどあるので今後のスケジュールについて話していた。
事前に、ベンガルール行きの直行は週一回、金曜日にしか出ないし席もしばらく埋まっているから、とりあえずアッサム州の州都グワーティあたりまで行けばなんとかなるんじゃない?
というような話はしていた。
なのでワシントンはグワーティに行く気満々だ。
ワ「グワーティまではどうやっていくの?」
僕「線路があるなら電車だろう、圧倒的に安いし、多分このエリアだと車で行くよりずっと早くて楽だよ」
ワ「電車に乗るの初めてなんだよね、だから不安だ、エアコン付きがいいって友達が言ってたけど」
僕「これから乗るのは短距離線だからACも何もない、ジェネラルっていう座席の電車だとおもう」
ワ「エアコンの無い電車には泥棒がいるって」
僕「いるかもしれないけど取られなきゃいいんだ、ていうか、その後のベンガルール行きのもエアコン無しだからな。俺なんてエアコン車乗ったことないし、1000ルピーじゃ足りないという前に、1000ルピーでも足りる行き方を考えるんだ」
お兄さんの家にいる時からちょくちょく思っていたが、ワシントンはかなり末っ子気質で、時々、甘ったれんな!と思うことがある。(実際のところワシントンは6人兄弟の5番目、ちなみにお兄さんは長男、なんと6人全員が男らしい)
日本でほとんど兄貴っぽい気質を出したことが無いため、まあまあ疲れる。
ワ「まぁ、払ってくれるんだから僕はついて行くだけだよ」
朝の話し合いでとりあえずグワーティまでのお金は全部僕が面倒を見ることになっている。
途中サングラスで遊んだ。
バスが駅に着いて、すぐに電車のチケットカウンターに行ったら。
「今すぐ来る電車がグワーティ行きだよ」
とのこと。
ホームにて20分ほど待つ。
冒頭のインドジョークに戻る。という流れである。
それでも予定時間の30分後には電車は来て発車した。かなり時間通りな方だと思う。
列車に乗り込み、僕はナガランドでの記事をまとめていて、ワシントンは自分と同じ出身地の人間を探す旅に出ていた。なんでも自分の部族の言葉を話したいとか。
それはわかる、僕も日本語を話したい。
車窓の景色もやはりキレイだった。
車内禁煙のマークが貼ってあったときはびっくりした。前は喫煙天国だったはずなのに。
特になんのトラブルもなく列車はグワーティに到着した。ディマプール〜グワーティ、所要約6時間。
本当にインドは広い。
グワーティの駅を降りるとすぐにチケットカウンターへと向かった。僕はネパールの国境付近のわ街に行くため、ワシントンはベンガルールに行くためのチケットを取るべく。
チケットの取り方はうろ覚えだったがなんとかして申請用紙を書き込み、列に並び割り込まれたり割り込んだりしながら発券員の人に提出する。
「明日のコルカタ行きね、111人のウェイティングがあるわ」
と言われ唖然とする。
「それはつまり、111人キャンセルしないと乗れないって事ですか?」
「そういうこと、今はサマーバケーションで随分前からチケット取らないと乗れないわよ」
「ワオ、そうなの?出直します」
「その方がいいわね」
その旨をワシントンに話そうと彼のところに行くと、ワシントンが爆笑していた。
「ベンガルール行きは9月まで一杯だってさ!どうしよ!」
いや、9月まで一杯はウソだろ?
と、思ったがすぐに乗れなさそうなのは確かだ。
もう日も暮れていたのでとりあえず宿を取ってから考えることにした。
ワシントンが「地元の部族が経営しているホテルがいい」と言うので、その条件は飲むことにした。
そこに向かうのにオートリキシャのオヤジと交渉するワシントン、その時僕はかなり疲れていたんだと思う。
ワシントン「80ルピーだってさ」
僕「高いね、そんなに遠いの?」
ワシントン「わかんない、名前しか知らないから」
まあ仕方ない、と乗り込む。
オートリキシャは100メートルほど進んで停まる。
「ここだ」
と、ここでなぜか僕のスイッチが入る。
「おい、ここだ、じゃないだろ、これで80ルピー?こんなの20ルピーでも高いぞ」
「乗る前にそこのあんちゃんが80で決めただろ?」
「ふざけんな、特別に30ルピー出してやる、じゃあな」
「おい待て」
後ろの首元を掴まれる。
僕がすごくキレる。
「なんだ?殺すぞ、オイ」(日本語)
「ヒンディー語話せや」(ヒンディー語なので勘だが、ヒンディーという単語が聞こえたのと、話した単語の数的に多分そう)
既に頭と頭はガッチんこしてグリグリいる。
「ヒンディー語話したら安くしてくれんのか?それともぶん殴ったらいいのか?どっちだ?なぁ?どっちなんだよ?」(日本語、そしてグリグリ)
おっさんの後頭部が車にぶつかったあたりでおっさんが腕で僕を突き飛ばし、周りのやつに大声で何かを叫んでいる。
そこでワシントンに止められ、ドライバーに何か話している。
「払う、払うから」的なことを言っているんだと思う。
こういう時、引くに引けなくなってしまった自分が1番恥ずかしい。
「よし、もう終わった!行くよ!」ワシントンが言う。
その後、とりあえず飯屋に入り、カレーを注文する。
ワシントンはチケットの事を同じ州出身の女性と話している。
大分落ち着いてきた僕はまずワシントンに謝る。
「さっきは本当にごめんなさい」
「いや、アレはドライバーがひどい、あんなドライバーはマニプールやナガランドには居ない」
と言ってくれた。…が。
今になって思えば、あの状況で悪いのは僕の方だ。
そんなのは事前交渉制なのだから当たり前で、
なんであんな事で頭に血が上ってしまったのかわからない。本当に、本当に気をつけます。
が、そういやインドってこんな感じだったかも。
とは思っている。
インド北東部は、インドとはまた別の国だと思って旅が出来る、そんな場所かもしれない。
いまは、グワーティの宿でこれを書いている。
明日移動できるのかは、まだわからないが。
ここから先は、これまでとはまた違うインドが待っている気がしてならない。
"ある男の人がデリーの駅で出発時間直後に駅に着きました、
すると男の人の目の前で電車は出発してしまいました。
男の人は怒って駅員さんに言います。
『おい!なんで時間通りに電車が発車するんだ!』
駅員さんはにこやかにこう答えました。
『お客さん、安心してください、今出た電車は昨日の列車ですよ』
男の人は安心してチャイを飲みに行きました。"
僕「ていうの、だからな、17分も列車が遅れてるなんて言ったら逆に笑われるぞ」
ワ「本当に?あはー!それおかしい!」
僕「本当だよ、時間通りに来る電車なんて滅多にないよ」
まさか自分がインドジョークでインド人の笑いを取る日が来るとは思わなかった。
でもワシントンにはかなり受けた。いいぞ、俺。
僕はインパールから一緒に来たワシントンとナガランド州のディマプール駅で列車を待っていた。
なんでこうなったかというと、以下のような経緯がある。
昨晩お兄さんと男の約束のような熱い話をしたのは前回記事で書いた通りだが、それには続きがある。
お兄「じゃあ、リョウ、ワシントンのこと、頼むぞ!」
僕「はい!ん?えっと、何をですか?」
お兄「ワシントンをベンガルールまで連れて行ってくれるって」
僕「いえ、僕は次にネパールへ抜ける予定なのですが…」
お兄「あれ、話が違ってるな、じゃあ、ベンガルール行きの電車に乗るまでか。な?」
僕「あ、それでいいならできますね!やりましょう!」
お兄「任せたぞ、弟には1000ルピーほど持たせた、それでなんとかベンガルールまで連れて行ってやってくれ」
僕「1000ルピー…?はい、頑張ります!」
※1ルピー1.7円
※ディマプールからベンガルールまで3000キロくらい?
お兄「ヤァ!」
ガシッ!!(握手)
その晩ワシントンは寝ていたので、翌朝聞いてみた。
僕「(昨晩の経緯を話して)さて、どうなっているんだワシントン君」
ワ「お兄ちゃん今仕事なくってお金ないから1000ルピーしかくれなくって、それでベンガルールまで行けるかわからないからYOUについて行くよ」
そうか、ついてくるのは別に構わないし、金が無いならそれなりに出してもあげる。
が、しかしだなワシントン君。
僕「キミ荷物まとめてるけど、もしかして今日出るつもり?俺ここでもう何泊かさせて貰おうと思ってたんだけど…」
ワ「もうこの村は飽きたから今日行こう!ほら、街に行くバスもう30分後だよ!ハリアップ!」
流されるまま、僕は即パッキングを済ませ村を出る。
ありがとう、コロニー村。
ワシントンに連れて来られ、ワシントンに連れ出された元首狩り族の心がとても暖かい村。
大好きでした。次来るときはクリスマスシーズンに来るね!
街までバスで2時間ほどあるので今後のスケジュールについて話していた。
事前に、ベンガルール行きの直行は週一回、金曜日にしか出ないし席もしばらく埋まっているから、とりあえずアッサム州の州都グワーティあたりまで行けばなんとかなるんじゃない?
というような話はしていた。
なのでワシントンはグワーティに行く気満々だ。
ワ「グワーティまではどうやっていくの?」
僕「線路があるなら電車だろう、圧倒的に安いし、多分このエリアだと車で行くよりずっと早くて楽だよ」
ワ「電車に乗るの初めてなんだよね、だから不安だ、エアコン付きがいいって友達が言ってたけど」
僕「これから乗るのは短距離線だからACも何もない、ジェネラルっていう座席の電車だとおもう」
ワ「エアコンの無い電車には泥棒がいるって」
僕「いるかもしれないけど取られなきゃいいんだ、ていうか、その後のベンガルール行きのもエアコン無しだからな。俺なんてエアコン車乗ったことないし、1000ルピーじゃ足りないという前に、1000ルピーでも足りる行き方を考えるんだ」
お兄さんの家にいる時からちょくちょく思っていたが、ワシントンはかなり末っ子気質で、時々、甘ったれんな!と思うことがある。(実際のところワシントンは6人兄弟の5番目、ちなみにお兄さんは長男、なんと6人全員が男らしい)
日本でほとんど兄貴っぽい気質を出したことが無いため、まあまあ疲れる。
ワ「まぁ、払ってくれるんだから僕はついて行くだけだよ」
朝の話し合いでとりあえずグワーティまでのお金は全部僕が面倒を見ることになっている。
途中サングラスで遊んだ。
バスが駅に着いて、すぐに電車のチケットカウンターに行ったら。
「今すぐ来る電車がグワーティ行きだよ」
とのこと。
ホームにて20分ほど待つ。
冒頭のインドジョークに戻る。という流れである。
それでも予定時間の30分後には電車は来て発車した。かなり時間通りな方だと思う。
列車に乗り込み、僕はナガランドでの記事をまとめていて、ワシントンは自分と同じ出身地の人間を探す旅に出ていた。なんでも自分の部族の言葉を話したいとか。
それはわかる、僕も日本語を話したい。
車窓の景色もやはりキレイだった。
車内禁煙のマークが貼ってあったときはびっくりした。前は喫煙天国だったはずなのに。
特になんのトラブルもなく列車はグワーティに到着した。ディマプール〜グワーティ、所要約6時間。
本当にインドは広い。
グワーティの駅を降りるとすぐにチケットカウンターへと向かった。僕はネパールの国境付近のわ街に行くため、ワシントンはベンガルールに行くためのチケットを取るべく。
チケットの取り方はうろ覚えだったがなんとかして申請用紙を書き込み、列に並び割り込まれたり割り込んだりしながら発券員の人に提出する。
「明日のコルカタ行きね、111人のウェイティングがあるわ」
と言われ唖然とする。
「それはつまり、111人キャンセルしないと乗れないって事ですか?」
「そういうこと、今はサマーバケーションで随分前からチケット取らないと乗れないわよ」
「ワオ、そうなの?出直します」
「その方がいいわね」
その旨をワシントンに話そうと彼のところに行くと、ワシントンが爆笑していた。
「ベンガルール行きは9月まで一杯だってさ!どうしよ!」
いや、9月まで一杯はウソだろ?
と、思ったがすぐに乗れなさそうなのは確かだ。
もう日も暮れていたのでとりあえず宿を取ってから考えることにした。
ワシントンが「地元の部族が経営しているホテルがいい」と言うので、その条件は飲むことにした。
そこに向かうのにオートリキシャのオヤジと交渉するワシントン、その時僕はかなり疲れていたんだと思う。
ワシントン「80ルピーだってさ」
僕「高いね、そんなに遠いの?」
ワシントン「わかんない、名前しか知らないから」
まあ仕方ない、と乗り込む。
オートリキシャは100メートルほど進んで停まる。
「ここだ」
と、ここでなぜか僕のスイッチが入る。
「おい、ここだ、じゃないだろ、これで80ルピー?こんなの20ルピーでも高いぞ」
「乗る前にそこのあんちゃんが80で決めただろ?」
「ふざけんな、特別に30ルピー出してやる、じゃあな」
「おい待て」
後ろの首元を掴まれる。
僕がすごくキレる。
「なんだ?殺すぞ、オイ」(日本語)
「ヒンディー語話せや」(ヒンディー語なので勘だが、ヒンディーという単語が聞こえたのと、話した単語の数的に多分そう)
既に頭と頭はガッチんこしてグリグリいる。
「ヒンディー語話したら安くしてくれんのか?それともぶん殴ったらいいのか?どっちだ?なぁ?どっちなんだよ?」(日本語、そしてグリグリ)
おっさんの後頭部が車にぶつかったあたりでおっさんが腕で僕を突き飛ばし、周りのやつに大声で何かを叫んでいる。
そこでワシントンに止められ、ドライバーに何か話している。
「払う、払うから」的なことを言っているんだと思う。
こういう時、引くに引けなくなってしまった自分が1番恥ずかしい。
「よし、もう終わった!行くよ!」ワシントンが言う。
その後、とりあえず飯屋に入り、カレーを注文する。
ワシントンはチケットの事を同じ州出身の女性と話している。
大分落ち着いてきた僕はまずワシントンに謝る。
「さっきは本当にごめんなさい」
「いや、アレはドライバーがひどい、あんなドライバーはマニプールやナガランドには居ない」
と言ってくれた。…が。
今になって思えば、あの状況で悪いのは僕の方だ。
そんなのは事前交渉制なのだから当たり前で、
なんであんな事で頭に血が上ってしまったのかわからない。本当に、本当に気をつけます。
が、そういやインドってこんな感じだったかも。
とは思っている。
インド北東部は、インドとはまた別の国だと思って旅が出来る、そんな場所かもしれない。
いまは、グワーティの宿でこれを書いている。
明日移動できるのかは、まだわからないが。
ここから先は、これまでとはまた違うインドが待っている気がしてならない。