2006年のF1シーズンが幕を閉じた。終始白熱する素晴らしい
ブラジルGPだった。
このレースで勇退する
ミハエル・シューマッハ。予選では「Q1」まで進出もトラブルで10番グリッド。この時点で
アロンソが遥か前の4番グリッドなので、この時点でチャンピオンシップに向けてかなり優位。少なくともミハエルには結果はどうであれ、ベストドライビングでフィニッシして欲しいと願った。
レーススタート。母国グランプリでポールポジションの
マッサが安定したラップを確保し1位を独走する。序盤を終えたころ既にミハエルは10位から6位までポジションを上げるほど脅威の速さ。確かに予選でもトラブル前のQ2は最高のラップタイムで走っていたので、マシンが調子を維持できれば間違いなく順位を上げていくだろうと思っていた。
ところが、ルノー・
フィジケラをパスしてスグにタイヤがバースト。なんとかピットまで戻ったものの、順位を最後尾まで落とした。これには落胆したなぁ。最後なので「いい結果でミハエルを見送りたかったなぁ」と落胆していた。
ところがここからが見逃せないところ。レース復帰後は相変わらずのハイペース!常にプッシュのミハエルドライブ。ピットの間に給油も存分に済ませていたため、他チームが給油中もラップを稼ぎあっという間にレース中盤で5位までポジションをアップしてきた。この怒涛の「ミハエルオーバーテイクショー」には毎ラップ手に汗握る瞬間の連続だった。ミハエルも恐らくいい緊張感を保てて走れただろうし、逆に「F1の神様が落としてくれた試練」を楽しんでいるかのようにも思えた。
レース残り数周で前を走る
ライコネンに対して追従モード。次期フェラーリのシートに座るライコネンとそのシート譲るミハエルの争い。スリップストリームに入るミハエル。前のライコネンの車体より少し左にずらして走行ラインをとっての走行。この「少しずらして走行ラインをとっての走行」が前の車のサイドミラーに写る精神的プレッシャーの与え方で、これがミハエルらしいドライビングだった。このバトルを見ている間、そのスタイルが好きだった自分が居た。
すかさず、第1コーナーでインラインからライコネンをパス。これが本当に今シーズンで引退する人のドライビングとは思えなかった。かつてのフェラーリドライバー、プロストやマンセルもここまでは感じさせてくれなかった。そういう意味では、ミハエルは他の歴史的ドライバーの中でもズバ抜けたドライバーだと思える。
結果は、ミハエルが4位でフィニッシュ。優勝は同チームのマッサ。ブラジルGPでは
セナ以来の母国グランプリでの優勝で、観客共々体全体で喜びを分かち合っていた。
2位はアロンソ。2年連続のチャンピオンシップを獲得。フィニッシュ後のチームラジオを聞くと、観客、スタッフ、すべての人々に感謝の気持ちを伝えていた。ヘルメットのバイザーを上げて、涙を拭っているようなシーンを見たときは思わず涙してしまった。ここまで今シーズン完璧なレースをしてきたドライバは他に居なかったし、不利なレギュレーション変更やマシントラブルも乗り越えてきた。ミハエルと争ってのチャンピオンシップは一段と重があったと思えた。
3位はホンダ・
バトン。ミハエルに注目しっぱなしのレースだったけど、ベストラップをコンスタントに重ねていた。スタート14位からの3位表彰台はサスガっ!。これでまた来年のシーズンのホンダの飛躍に期待できる。
日本勢、10位入賞の
佐藤琢磨も最高のレースだった。中盤のラップタイムはマッサと同じくらいをキープしていたので、まさかと思っていたけど、10位完走。過去最高の結果。このチームにも来年大きな飛躍が待っていることを期待させてくれるレースだった。
また、一段と来シーズンが待ち遠しくなった。ミハエルのドライブはもう見れないけど、きっと世代交代を終えた若いドライバー達が新しい歴史を刻んでくれるシーズンになるだろうなぁ。
最後に、、、。ミハエル、ありがとう。この感動は忘れません。またいつか、どんなカタチでもレースに復帰してくれることを切に願ってます。