六角オセロ & 右・石田流 & 目くらまし戦法

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口は災いの元 SF傷だらけの天使 70話

2021-04-06 10:14:06 | Weblog
口は災いの元



「幻魔教団のビラが、石をのせて落ちてたよ」
「じゃあ、それは、落ちてたんじゃなくって、わざと置いてたんですね」
「こしゃくなことをやるなあ」
「こしゃく?ひしゃく、のことですか?」
「まったく、ポンコツだなあ~~。小さな癪だよ」
「癪(しゃく)?はて?」
「癪に障る、の癪」
「はて?」
「どうやら登録されてないらしいな。あとで検索して登録しときな」
「手に持ってるやつですか?」
「そうだよ、これ」

 光あるところ影がある 影のエンジェル ≪幻魔教団≫

「影のエンジェル?わたしたちと、正反対じゃないですか」
「そうだねえ」
「カラスと同じで、なめてますねえ~~」
「ははは、おかしい!」
「笑い事ではありませんよ」
「まだ若いのに、禿げた男の人が歩いてたよ」
「人は、精神的に疲れると禿げます」
「へええ」
「毛根はストレスに弱いのです」
「なるほどね」
「よく言うでしょう」
「えっ?」
「疲れ禿げた。って」
「はっはっは、あんた面白いねえ」
「そうですか?」
「そうだ、いいことを思いついたぞ」
「なんですか?」
「おまえをコメディアンにして売り出そう!」
「コメディアン?」
「売れたら、がっぽり、お金が入ってくるぞ~~~。こりゃあいいや」
きょん姉さんは、福之助を見ながら、にたにたと笑っていた。福之助は黙っていた。
「金剛峯寺あたりの上空に、でっかい龍が踊ってたよ」
「三次元映写機ですね」
「そうらしいね」
「高野山は、こしゃくなことをやりますねえ」
「こしゃく?そういうときに使うんじゃないんだよ。ずる賢いときに使うの」
「あっ、そうですか。大変失礼しました。人間の言葉は難しいなあ」
「あんたは、やっぱり、めんしろいね」
「めんしろい?日本語ですか?」
「おもしろい。面が白いって書くだろう」
「面白いな~~!それは、愉快ですねえ~~」
「そうか?定番だよ」
「使わせていただきます。登録しておきます」
「相手を見て使えよ」
「はい」
福之助は、ビラを手に取って見ていた。
「幻魔教団は、攻撃する相手を、どうやって決めているんでしょうかねえ?」
「ちゃんと調べてから、攻撃している。とは言っていたけど、実際は調べていないんじゃないのか」
「お金さえ貰えば、誰でも攻撃する?ヤクザでも、先生でも?」
「じゃないかな」
「ただの、金儲け集団ですねえ」
「金額が困ってる証だから、って言ってたよ」
「なるほどねえ」
「具体的な方法とかは聞きだしたんですか?」
「聞いたけど、呪いの儀式だけだって言ってたよ」
「いやがらせ電話とか、ハガキとか、SNSとか?」
「やってない、って言ってた」
「まだまだ、いろんなことやってるみたいですよ」
「ドローンの映像でも見るかい?」
「はい」
姉さんは、テレビに動画を流した。
「今週いっぱい、程塚隆二の動向を見たら、仕事は終わりだな」
「そうですね」
「博多に帰って、大濠公園で旨い物を食べたいねえ」
「わたしは食べられません。残念です」
「あっ、そっか!」
「アオサギくんに会いたいです」
「仲がいいもんな」
「はやく、博多に帰りたか~~!」
「おまえの博多弁のアクセント、おかしいよ」
「アクセントまでは、プログラムされていないんです」
「やっぱり、旧型だな」
「すみません!」
「おまえが悪いんじゃないもんな」
「姉さん、もう、探偵みたいな危ない仕事は止めて、観光地のレポーターだけにしたほうがいいんじゃないですか?」
「そうだな~~」
「それこそ、人に恨まれますよ。幻魔教団とかに睨まれたら大変ですよ」
「特に、SNSは、余計なことを書くからなあ。気を付けないといけないなあ」
「そうです!口は災いの元です!」
「我々は、明日の希望を届ける、光のエンジェルだもんな」
「そうです!」
「人に恨まれないことをしなくちゃな」
「そうです!」
「ロボットにもな」
「ロボットは、恨んだりはしませんよ!」
「カラスにもな」
「カラスは、攻撃されると、人の顔を覚えて、仕返しするんだそうですよ」
「怖いねえ~~」
「頭がいいんですよ」
「あんたを、なめるくらいだからね」
「カラスの野郎、なめやがって!」
姉さんは笑っていた。外で、カラスが鳴いていた。
「おまえの頭に止まったカラス、見てみたかったなあ~~」
「ふざけやがって!」
「なんか、カラスを怒らせることをしたんじゃないのかい?」
「していませんよ」
「変だねえ~」
「あいつら、わたしを舐めているんですよ。ポンコツだと思って」
「それは、あんたの僻み」
「ロボットには、僻みも恨みもありません」
「じゃあ何だい?」
「たんに、攻撃を加えるものに対しての、認識反応です」
「それにしても、高野山の夜って、寒いねえ~~」
「山ですからね~~」
「はやく、この夜にさよならしたいよ」

SF 傷だらけの天使 - 口は災いの元

甲斐よしひろ この夜にさよなら

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